軍艦の原子炉をデータセンターに再利用する計画が始動

アメリカの民間企業が、AIデータセンタープロジェクトに退役した軍艦の原子炉を転用する案を提出したことが分かりました。承認されれば、軍事用原子炉が民生利用に転用される初の事例となります。

AI data centers may soon be powered by retired Navy nuclear reactors from aircraft carriers and submarines — firm asks U.S. DOE for a loan guarantee to start the project | Tom’s Hardware

https://www.tomshardware.com/tech-industry/startup-proposes-using-retired-navy-nuclear-reactors-from-aircraft-carriers-and-submarines-for-ai-data-centers-firm-asks-u-s-doe-for-a-loan-guarantee-to-start-the-project

Nuclear Developer Proposes Using Navy Reactors for Data Centers - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-12-24/nuclear-developer-proposes-using-navy-reactors-for-data-centers

Texas developer pitches recycled Navy nuclear reactors as power source for AI infrastructure - SiliconANGLE

https://siliconangle.com/2025/12/25/texas-developer-pitches-recycled-navy-nuclear-reactors-power-source-ai-infrastructure/

テキサス州に拠点を置く電力開発業者のHGPインテリジェント・エナジーは、アメリカのエネルギー省に対し、退役した空母や潜水艦で使われていた原子炉をテネシー州オークリッジ国立研究所のAIデータセンターに配備する計画案を提出しました。

HGPが着目している原子炉は数十年にわたり軍艦の動力源として使用されてきた海軍の加圧水型原子炉です。これらは長期運転を想定して設計されており、世界原子力協会によればアメリカ海軍は100基以上の原子炉を50年以上にわたり放射線事故なく運用していて、その信頼性を実証しているとのこと。

HGPは2基の原子炉でそれぞれ約450MWと約520MWの電力を生産することを目指しています。

ただ、テクノロジー系メディアのSiliconANGLEは「軍事用原子炉を民生用に再利用することはそれほど難しいことではないはずだが、海軍の原子炉を再利用するための規定が設けられていないことによって問題が生じる」と指摘しています。重要な課題の1つが、海軍の原子炉は一般的に高濃縮燃料を使用し、密閉システムとして設計されているため、商用発電所に対する既存の原子力規制委員会の認可枠組みと整合していないということだそうです。

承認されれば、軍事用原子炉が民生利用に転用される初の事例となります。この措置の費用は1MWあたり100万ドル(約1億5600万円)~400万ドル(約6億2600万円)と見込まれています。一見すると高額ですが、AmazonやMeta、Googleなどのテック大手が提案する各種小型モジュール炉の建設費に比べれば低く抑えられるとのこと。費用対効果が高いだけでなく、廃棄されるはずだった原子炉を活用できるという点がメリットだとされています。

HGPはエネルギー省への融資保証申請を予定しており、プロジェクト総費用は18億ドル(約2800億円)~21億ドル(約3300億円)と見込まれています。HGPのグレゴリー・フォレロCEOは「我々は既に、これを安全かつ大規模に実施する方法を確立している」と述べました。