楽天証券の売れ筋上位を「オルカン」「S&P500」など主要インデックスファンドが占める理由は?

楽天証券の売れ筋上位を「オルカン」「S&P500」など主要インデックスファンドが占める理由は?

各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、楽天証券のデータをもとに解説。

楽天証券の投信売れ筋ランキングの2025年12月のトップ2は前月と同じでトップは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)、第2位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」だった。前月第3位だった「楽天日本株4.3倍ブル」は第7位に後退し、第3位には前月第4位の「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」、第4位には「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」が上がった。また、トップ10圏外から「楽天・プラス・NASDAQ-100インデックス・ファンド」が第8位に、「ニッセイ・S米国グロース株メガ10インデックスファンド<購入・換金手数料なし>」(愛称:メガ10)が第9位にランクインした。

過去3年間で圧倒的な成績を残したインデックスファンド

楽天証券の売れ筋ランキングのトップ10はおおむね主要な株式インデックスに連動するインデックスファンドで占められている。主要なインデックスとは、全世界株式を対象とした「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」、米国株式「S&P500」、「NASDAQ100」などだ。目立つのは、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim」シリーズと楽天投信投資顧問の「楽天・プラス」シリーズで、同じ株式インデックスに連動するファンドが同時にランクインしていることだ。極端な例が、トップの「オルカン」と第4位の「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」、そして、第2位の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と第3位の「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」の重なりだ。

そもそもインデックスファンドは、インデックスに連動する運用成績をめざすファンドであるため、同じインデックスに連動をめざすファンド間でパフォーマンスの差はほとんどない。違いとして鮮明なのは運用コスト(信託報酬率)の差だ。運用コストが低いほど、そのファンドに投資する投資家のメリットは大きくなるため、運用会社各社は信託報酬率を引き下げることで商品の魅力を高めようと競争してきた。その結果、主要なインデックスファンドの信託報酬率は年0.1%を下回る水準になった。中でも極端な手数料引き下げ競争になった「全世界株式」のインデックスファンドは「オルカン」が年0.0525%(税抜き)の水準で、圧倒的な支持を集めた。現在の純資産残高は約9兆1400億円になっている。

これに対し、「楽天・プラス」シリーズは、「業界最低水準」を打ち出し、楽天証券および楽天グループのユーザーに徹底的なメリットを提供するファンドとして登場している。「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」の信託報酬率は年0.051%(税抜き)で「オルカン」を下回る。さらに、同ファンドを保有していると毎月の平均保有残高に対して年0.017%の楽天ポイントが付与される。楽天ポイントは楽天市場など楽天グループで利用できるだけでなく、楽天Payや楽天カードなどを通じて広く多くの小売店舗等で利用できる「キャッシュ」に近い存在になっているため、ポイントバックはキャッシュバックに等しい価値がある。楽天証券を利用する投資家にとっては、圧倒的に保有コストで有利なファンドになっている。

同じことは「S&P500」連動型のインデックスファンドにもいえる。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の信託報酬率は年0.074%、「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」は0.070%だ。加えて、楽天ポイントの還元率は年0.028%になっている。楽天証券で購入するのであれば、「楽天・プラス」シリーズのファンドが圧倒的に優位だ。しかも、現在のラインアップは「NASDAQ100」、「先進国株式(除く日本)」、「SOX」、「日経225」に広がってきた。「eMAXIS Slim」シリーズが債券やリート、バランス型など16本のラインアップになっていることと比較すると「楽天・プラス」の商品数は少ないが、ニーズの高い主要インデックスへの対応は進んだ。今後、投資家の合理的な商品選択が進めば、楽天証券における「楽天・プラス」シリーズの人気は確固たるものになっていくと考えられる。

新顔「メガ10」のインパクト

楽天証券の売れ筋ランキングで主要インデックスファンドが目立って多いのは、それ以外のファンドへの広がりが少ないことの裏返しでもある。過去3年間を振り返ると、「MSCI ACWI」は米ドルベースで2023年にプラス22.81%、2024年にプラス18.02%、2025年はプラス22.87%と毎年20%近い値上がりを続けてきた。ドル円の円安効果も加味されることから、「オルカン」の過去3年間の累計リターンは92.19%(2025年11月末時点)という成績だ。「オルカン」を購入して保有し続けることで過去2年で資産残高は約2倍になった。同じように「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の3年累計リターンは101.16%、「iFreeNEXT FANG+インデックス」(大和アセットマネジメント)は302.59%だ。これほどの成績が得られるのであれば、他のファンドを選ぶ必要がないということなのかもしれない。

しかし、過去の市場を長期で振り返れば数十年にわたって上昇し続けるような資産はない。「MSCI ACWI」の過去15年を振り返っても、4年以上連続して上昇したことはない。2012年~2014年(+16.80%、+23.44%、+4.71%)、2019年~2021年(+27.30%、+16.82%、+19.04%)、そして、2023年~2025年は3年連続で上昇したが4年目はいずれも下落し、2022年の下落率は17.96%と比較的大きい下落になった。2026年が2022年のような下落相場になってもおかしくはない。

2025年11月に新規設定された「メガ10」(ニッセイアセットマネジメント)が売れ筋トップ10に食い込んできているのは新しい動きだ。同ファンドはグロース株の超大型10銘柄に均等投資するファンドで、テクノロジー株式に特化した10銘柄に投資する「FANG+インデックス」とは異なる銘柄で構成されている。「メガ10」の構成銘柄にはヘルスケアの「イーライリリー」や金融の「VISA」、「マスターカード」が入っている。従来の人気カテゴリーであった「IT」関連以外の銘柄にも目配りしようというファンドが支持を集めているのは、3年連続で同じような人気銘柄が続いた後だけに健全な動きと感じられる。このような新しい投資の視点がランキングに表れてくるものか注目していきたい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

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