退職代行を頼んだ先に「食い物」にされた…女性は新たなトラブルに巻き込まれた 「モームリ」社長夫妻逮捕
退職を希望する依頼者を弁護士にあっせんし、違法に報酬を得たとして、警視庁保安課は3日、弁護士法違反(非弁行為)の疑いで、本人に代わって退職の意思を会社に伝えるサービス「退職代行モームリ」の運営会社「アルバトロス」(横浜市中区)の社長谷本慎二(37)、妻で同社退職支援事業部長の志織(31)=ともに東京都中野区=の両容疑者を逮捕した。2人は「弁護士法違反になると思っていなかった」と容疑を否認している。(西川正志)
◆弁護士資格がないのに、報酬目的であっせんか
逮捕容疑では、2024年7月2日~10月23日、弁護士資格がないのに、報酬を得る目的で、依頼者6人を弁護士事務所にあっせんしたとされる。

「退職代行モームリ」運営会社アルバトロスの谷本慎二社長=2025年4月、東京都品川区で
同課によると、谷本容疑者らは、未払いの給与がある依頼者などを提携する都内の弁護士事務所に紹介。弁護士事務所からは1人につき1万6500円の報酬を受け取っていたという。
退職代行サービスは、依頼者が会社と交渉せずに退職できるとして近年拡大する一方、トラブルに発展するケースもある。モームリを巡っては、昨年夏ごろに東京弁護士会から警視庁に相談があり、10月に同課がアルバトロス本社などを家宅捜索していた。
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◆労組加入勧めたのは、あっせんを隠すためか
捜査関係者によると、モームリを運営するアルバトロス社は、未払い給与の支給などを求める依頼者らに、自社の社員が代表を務める労働組合「労働環境改善組合」への加入を勧めていた。労組加入により、退職を巡って団体交渉権を行使できるという理由付けだったとみられる。ただ、この組合に約款や組合費の徴収はなく、警視庁保安課は実態がなかったとみている。

「退職代行モームリ」公式サイトのトップページ(スクリーンショット)
依頼者はアルバトロス社から弁護士のあっせんを受け、弁護士に報酬として5万5000円を支払い、会社側との退職交渉を依頼する。
一方、弁護士はあっせんを受けると、組合への「賛助金」や「アフィリエイト広告業務委託費」の名目で、依頼者1人当たり1万6500円をアルバトロス社側に振り込んでいた。
警視庁保安課は、報酬目的でのあっせんを隠すため、組合への賛助金名目などでの金銭のやりとりをしていたとみて調べている。
◆未払い給与の支給に進展なく「金づるにされた」
退職と未払い給与の支給を求めてモームリを利用した愛知県の50代女性は今回の逮捕後も「金づるにされた」と憤りを隠さない。

モームリでは「弁護士監修の適正業務」をうたっていた=公式サイトから(スクリーンショット)
紹介された弁護士は会社側に内容証明郵便を1通送っただけで、未払い給与は支給されていない。女性は「休みなく働かされて苦痛を受けたのに、さらにトラブルに見舞われた。退職に悩み苦しむ人を食い物にするビジネスだ」と話す。
モームリのウェブサイトには「顧問弁護士監修」「労働事件に強い弁護士をご紹介します」などと書かれており女性は「信用を逆手に取っている。提携している弁護士の資格を剥奪してほしい」と訴える。同課は、あっせんを受けていた弁護士についても弁護士法違反の可能性があるとみて捜査している。
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