ふつうの年金以外に《シニアがもらえる公的給付》5選。60歳・65歳以上が対象の「申請しないともらえないお金」まとめ
65歳以上の”失業手当”「高年齢求職者給付金」、厚生年金の”家族手当”「加給年金」など

ふつうの年金以外に《シニアがもらえる公的給付》5選。60歳・65歳以上が対象の「申請しないともらえないお金」まとめ
2月に入り、寒さも本格的になってきました。この時期は確定申告の準備などで、家計や将来のお金について考える良い機会ではないでしょうか。
現役世代の方々は、今年の貯蓄目標やキャリアプランを練っているかもしれません。一方、シニア世代の方々にとっては、年金の受給額だけでなく、あまり知られていない公的な支援制度について確認しておくことが大切です。
実は、老齢年金以外にも、申請手続きをしないと受け取れないお金が存在します。この記事では、働き続けるシニアを支える「雇用保険からの給付金」3種類と、年金に上乗せで支給される「給付金・年金」2種類、合計5つの公的給付について詳しく解説します。
ご自身やご家族が対象になっていないか、この機会にぜひチェックしてみてください。
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
人生100年時代におけるシニアの生活基盤「仕事と年金」の重要性
内閣府が公表した「令和7年版高齢社会白書」によると、65歳から69歳で働く人の割合は男性で6割以上、女性で4割以上にのぼります。また、70歳代前半でも男性の約4割、女性の2割以上が就労を継続している状況です。
年齢とともに就労者の割合は緩やかに減少しますが、シニア層全体で見ると就業率は上昇傾向にあります。
しかし、60歳を過ぎると給与が減少するケースは少なくありません。現役時代と同じような条件で仕事を見つけるのが難しくなったり、健康上の問題で働き続けることが困難になったりする可能性も考えられます。
厚生労働省の「令和6年簡易生命表の概況」によれば、日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳です。65歳以上のシニア世代にとって、長くなる老後の生活を支えるためには、「公的年金」と「仕事による収入」が二つの大きな柱となります。
次の章からは、シニア世代が対象となる給付金や手当のうち、申請しなければ受け取れない「雇用保険に関連するお金」と「公的年金に上乗せされるお金」について、具体的に解説していきます。
働くシニア世代を支援する雇用保険からの給付金3選
就労意欲のあるシニア世代を支援するため、雇用保険から支給される3つの給付金についてご紹介します。
65歳未満が対象の「再就職手当」
再就職手当は、失業した方が早期に安定した職業に就くことを促進するための制度です。失業期間が短いほど、手厚い手当を受け取れる仕組みになっています。
再就職手当の支給要件
・対象者:雇用保険の受給資格者で、基本手当の受給資格を持つ方
・支給要件:基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある方が、雇用保険の被保険者として再就職するか、事業主として被保険者を雇用する場合など、定められた要件を満たした際に支給されます。
再就職手当の給付率
・手当の額:就職日の前日までの失業認定を受けた後の基本手当の支給残日数に応じて、給付率が変わります(1円未満は切り捨て)。
再就職手当の計算式

なお、再就職手当を受給し、新しい勤務先で6カ月以上雇用され、その間の賃金が離職前の賃金を下回る場合には、「就業促進定着手当」の対象となる可能性があります。
60歳から65歳未満の賃金低下を補う「高年齢雇用継続給付」
高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満で就労を続ける方を対象とする給付金制度です。60歳時点の賃金と比較して、現在の賃金が一定の割合まで低下した場合に支給されます。
高年齢雇用継続給付の支給要件
・対象者:雇用保険の被保険者期間が5年以上ある、60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者
・支給条件:賃金が60歳到達時の75%未満の状態で働き続ける場合
高年齢雇用継続給付の支給率
・支給額:最高で賃金額の10%(※)に相当する額
※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たした方は15%
【早見表】高年齢雇用継続給付(2025年4月1日以降)

出所:厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」
老齢年金を受け取りながら厚生年金に加入し、「高年齢雇用継続給付」を受給する場合、在職による年金の支給停止に加えて、最大で標準報酬月額の4%(※)相当額が支給停止となるため注意が必要です。
※2025年3月31日以前に支給要件を満たした方は6%
65歳以上で失業した際に受け取れる「高年齢求職者給付金」
高年齢求職者給付金は、65歳以上の雇用保険加入者が離職した際に、一時金として支給される給付金です。
高年齢求職者給付金の支給要件
・対象者:高年齢被保険者(65歳以上の雇用保険加入者)で失業状態にある方
・支給要件:以下のすべての条件を満たす必要があります。
高年齢求職者給付金の給付金額

出所:厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
・支給額
65歳未満の方が受け取る「失業手当」が4週間に一度の失業認定を経て支給されるのに対し、高年齢求職者給付金は一括で支給される点が大きな特徴です。
老齢年金に加えて受け取れる可能性がある給付金・年金2選
シニアの生活に密接に関わる公的年金には、本来の老齢年金を補うための制度がいくつか設けられています。
ここでは、老齢年金を受給している方が特定の要件を満たすことで、年金に上乗せして受け取れる2種類の給付について解説します。
所得が一定基準以下の年金受給者を支える「年金生活者支援給付金」
年金生活者支援給付金は、基礎年金を受給しており、所得が一定の基準を満たす方が対象となる給付制度です。老齢・障害・遺族の各基礎年金に対応した給付金があります。
今回は、特にシニアの生活と関わりの深い「老齢年金生活者支援給付金」について詳しく見ていきましょう。
老齢年金生活者支援給付金の支給要件

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
・65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
・同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
・前年の公的年金などの収入金額(※1)とその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下(※2)であること
※1 障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以降生まれで合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方、昭和31年4月1日以前生まれで80万6700円を超え90万6700円以下の方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
老齢年金生活者支援給付金の給付基準額
2025年度の老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は、月額5450円です。
ただし、これはあくまで基準額であり、実際の支給額は保険料の納付状況に応じて計算され、以下の①と②の合計額となります。
・①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5450円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
・②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1151円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月
例えば、国民年金保険料を40年間すべて納付した場合、2025年度は「月額5450円(年額6万5400円)」の給付金が支給されます(昭和16年4月1日以前生まれの方は計算方法が異なります)。
年金の家族手当ともいわれる「加給年金」とは
「加給年金」は、しばしば「年金の家族手当」と説明される制度です。
老齢厚生年金を受給している方が、年下の配偶者や子どもを扶養している場合に、一定の要件を満たすと年金額に上乗せして支給されます。
加給年金の支給要件
・厚生年金の加入期間が20年(※)以上ある方:65歳到達時点(または定額部分の支給開始年齢に達した時点)
・65歳到達後などに被保険者期間が20年(※)以上となった方:在職定時改定時や退職改定時(または70歳到達時)
※共済組合などの加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が、40歳(女性や坑内員・船員は35歳)以降に15年から19年ある場合も含まれます。
上記のいずれかの時点で、「65歳未満の配偶者」または「18歳に達する年度の末日までの子ども、もしくは1級・2級の障害がある20歳未満の子ども」がいる場合に、年金に加算されます。
ただし、配偶者が被保険者期間20年以上の老齢厚生年金や退職共済年金を受け取る権利がある場合、または障害年金などを受給している場合は、配偶者加給年金は支給されません。
加給年金の給付額

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」
2025年度における「加給年金」の年金額は以下の通りです。
・配偶者:23万9300円
・子ども(1人目・2人目):各23万9300円
・子ども(3人目以降):各7万9800円
さらに、老齢厚生年金受給者の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額に3万5400円から17万6600円の特別加算が上乗せされます。
加給年金は、対象の配偶者が65歳になると支給が終了しますが、その配偶者が老齢基礎年金を受け取る場合、一定の条件を満たせば「振替加算」として配偶者自身の年金に加算されることがあります。
2025年成立の「年金制度改正法」による変更点のポイント解説
2025年6月13日に成立した年金制度改正法は、働き方や家族構成の多様化に対応し、老後の所得保障機能を強化することを目的としています。
この改正により、年金制度や私的年金制度が拡充され、より安定した老後生活の実現が目指されています。ここでは、改正の主なポイントを整理して見ていきましょう。
年金制度改正における主な見直しの概要

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
社会保険の適用範囲の拡大
・短時間労働者の加入要件(賃金・企業規模)が見直され、いわゆる「106万円の壁」が撤廃される方向です。
在職老齢年金制度の見直し
・支給停止の基準となる調整額が「月62万円」へ大幅に緩和されます(2025年度は月51万円)。
遺族年金制度の見直し
・遺族厚生年金における男女間の差が解消されます。
・子どもが遺族基礎年金を受給しやすくなるよう見直されます。
保険料・年金額計算に用いる賃金上限の引き上げ
・標準報酬月額の上限が、現在の月65万円から段階的に75万円へ引き上げられます。
私的年金制度の拡充
・iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢の上限が引き上げられます(3年以内に実施)。
・企業型DC(企業型確定拠出年金)の拠出限度額が拡充されます(3年以内に実施)。
・企業年金の運用状況の透明化が進められます(5年以内に実施)。
これらの改正内容からも、公的年金制度が現役世代の働き方やライフプランと密接に関わっていることがわかります。
まとめ
今回ご紹介した手当や給付金のほかにも、受給資格がありながら請求手続きをしないと受け取れない公的な支援は数多く存在します。お住まいの自治体の広報誌やウェブサイトなどを活用し、日頃から情報を確認しておくことが大切です。
60歳代以降も働き続ける方が増えている現代において、自身のキャリアプランとあわせて、老齢年金をはじめとする各種公的給付を最大限に活用する視点を持つことが重要になります。
「老後のお金」と聞くと、貯蓄や資産運用といった「貯める・増やす」ことに意識が向きがちですが、国や自治体が提供する公的な支援制度にも目を向け、賢く活用していきましょう。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
・内閣府「令和7年版高齢社会白書」第2節 高齢期の暮らしの動向1 就業・所得
・厚生労働省「令和6年簡易生命表」1 主な年齢の平均余命
・厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」
・日本年金機構「年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整」
・厚生労働省「再就職手当のご案内」
・厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
・日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・日本年金機構「か行 加給年金額」
・日本年金機構「加給年金額と振替加算」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
【75歳~】後期高齢シニア医療費「3割負担になる人」所得目安は何万円?《1割・2割・3割》後期高齢者医療制度「窓口負担割合の判定基準」のイロハを解説
【60歳・65歳以上対象】手続きしないともらえない老齢年金以外の公的給付5選
【65歳以上 無職夫婦世帯】ふたり暮らしなら、ひと月の生活費はどれくらい?貯蓄・年金の平均額を紹介!