ボンボンドロップシール、たまごっち…「平成女児ブーム」の勢いが止まらないワケ

品薄続出!1300万枚突破の「ボンボンドロップシール」旋風, シール人気に火をつけた「平成女児ブーム」, 平成女児ブームによって、懐かしのキャラクターたちがリバイバル, 懐かしさが購買力に変わる, 時を経てバズる「IP(知的財産)ビジネス」

ボンボンドロップシールのブームが止まらない。その背景にあるのは…… Photo:PIXTA

今週、しまむらオンラインとロフトが相次いで「ボンボンドロップシール」の販売中止を発表しました。最近、ThreadsなどのSNSにはボンボンドロップシールにまつわるママたちの嘆きがあふれています。シール帳を持ち歩く女の子たち、娘とともに、シールを買うために開店前から並ぶママたち……そう、「シール」の大ブームが起きているのです。今子育てをしている彼女たちはかつての「平成女児」。懐かしさ×バズ×IP(知的財産)が、“平成女児ブーム”という大きな市場を新たに作り出しているのです。(ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー 鈴木朋子)

品薄続出!1300万枚突破の「ボンボンドロップシール」旋風

 今、熱狂的な「シール」ブームが起きているのをご存じでしょうか。幼稚園から中学生までの女子を夢中にさせているシール集めですが、中でも人気なのが、大阪市中央区の文具メーカー「クーリア」が開発、製造している「ボンボンドロップシール」(略して「ボンドロ」)です。

 ボンボンドロップシールはつやつやの樹脂製で透明感があり、ぷっくりとした立体になっている点が特徴で、絵柄はオリジナルデザインのものや、サンリオ、ディズニー、ちいかわなどの有名キャラクターのものまで多数存在します。クーリアによると、2025年11月末時点で累計出荷数は1300万枚に上るそうです。

品薄続出!1300万枚突破の「ボンボンドロップシール」旋風, シール人気に火をつけた「平成女児ブーム」, 平成女児ブームによって、懐かしのキャラクターたちがリバイバル, 懐かしさが購買力に変わる, 時を経てバズる「IP(知的財産)ビジネス」

「すみっこぐらし」の「ボンボンドロップシール」(サンエックス公式サイトより引用)

 ボンボンドロップシールはどこの店舗でも品薄状態が続き、入荷日には開店前から行列ができることも珍しくありません。店舗側は「1家族2点まで」など制限をかけて販売していますが、売り場では客同士が押し合うなどのトラブルも起きています。ボンボンドロップシールのあまりの人気ぶりに偽物も登場。公式サイトでも注意を呼び掛ける事態となっています。

 他にも、おしりを立体化した「おしりシール」や、水とスパンコールが入っている「ウォーターシール」、フロッキー加工されている「ふわふわドロップシール」も人気です。

 入手したシールは「シール帳」に貼り替え、コレクションを眺めたり、触ったりして楽しみます。また、友達と「シール交換」をするのも大切な遊びです。ボンボンドロップシールはボンボンドロップシールと交換する、もしくはボンボンドロップシールと手に入れやすいシール数枚と交換、というように、お互いに希少性から「レート」を判断して交換します。そのため、シール帳を何冊も持ち歩き、お互いの持っているシールを見せ合います。

シール人気に火をつけた「平成女児ブーム」

 この熱狂的なシール人気の背景にあるのが、「平成女児ブーム」です。平成女児ブームとは、平成時代の女児が愛用したグッズやファッション、行動をリバイバルする現象です。「平成女児」は「2025 T&D保険グループ新語・流行語大賞」にもノミネートされました。

 ブームの主体となっているのは、1990年代後半~2000年代前半に少女時代を過ごした世代と、当時の文化を新鮮に感じる世代の女性たち。平成特有の「ビビッドなピンク」「ラメ」「原色キャラクター」といったデザインや色使いが「平成レトロ」として再評価されています。

 かつての平成女児にあたるのは、現在20代以降の女性たち。大人になった彼女たちは、今や、自分でシールを山ほど購入できる財力を持っています。親におねだりする必要もなく、好きなだけ「大人買い」ができます。また、平成レトロを「エモい」と感じる10代を含めた下の世代は、SNSを通じて平成に流行った文化と触れ合っています。理由はそれぞれではありますが、こうして世代を超えた平成女児ブームが巻き起こっているのです。

 前述のボンボンドロップシールについても、就学前のお子さんを育てているママ世代はちょうど平成時代に女児だった人たちです。自分のシール帳をいまだに持っている人もいて、懐かしさと我が子かわいさからボンボンドロップシール入手競争に挑んでいるわけです。

 20代以降の女性がよく利用しているSNS「Threads」では、「娘にボンボンドロップシールを買いたいが売っていない」「ようやく買えたボンボンドロップシールを、娘が安いシールと交換してしまった」といった嘆きをよく見かけます。娘よりもむしろママたちが熱くなっている状態です。ブームが落ち着き、好きなシールを買えるようになるといいのですが、そうなればブームの終焉なのかもしれません。

平成女児ブームによって、懐かしのキャラクターたちがリバイバル

 平成女児ブームは、当時流行ったキャラクターの人気も再燃させています。

 平成女児が夢中になったデジタルペット玩具「たまごっち」(BANDAI)は、1996年11月に発売されて以降、さまざまなシリーズが世界中で販売されています。2025年7月に発売した「Tamagotchi Paradise(たまごっちパラダイス)」の販売が好調だったことなどにより、2025年7月31日には国内外累計出荷数1億個を突破しています。

品薄続出!1300万枚突破の「ボンボンドロップシール」旋風, シール人気に火をつけた「平成女児ブーム」, 平成女児ブームによって、懐かしのキャラクターたちがリバイバル, 懐かしさが購買力に変わる, 時を経てバズる「IP(知的財産)ビジネス」

新発売の「Tamagotchi Paradise(たまごっちパラダイス)」(バンダイ公式サイトより引用)

 また、2000年代前半に流行したジュニアアパレルメーカー「ナルミヤ・インターナショナル」の「ナルミヤキャラクターズ」の人気も再燃しています。

「エンジェルブルー」「メゾピアノジュニア」「ポンポネットジュニア」「デイジーラヴァーズ」といったキャラクターの雑貨やぬいぐるみなどが発売され、大人気となっています。こちらも、懐かしさを感じる世代と新鮮さを感じる世代のどちらからも支持されていて、ポップアップショップでは整理券が配布されるほどの人気ぶりです。

品薄続出!1300万枚突破の「ボンボンドロップシール」旋風, シール人気に火をつけた「平成女児ブーム」, 平成女児ブームによって、懐かしのキャラクターたちがリバイバル, 懐かしさが購買力に変わる, 時を経てバズる「IP(知的財産)ビジネス」

平成女児の心を掴んだ「ナルミヤキャラクターズ」(ナルミヤ・インターナショナル公式サイトより引用)

品薄続出!1300万枚突破の「ボンボンドロップシール」旋風, シール人気に火をつけた「平成女児ブーム」, 平成女児ブームによって、懐かしのキャラクターたちがリバイバル, 懐かしさが購買力に変わる, 時を経てバズる「IP(知的財産)ビジネス」

メゾピアノジュニアは平成を感じさせるフードパーカも発売(ナルミヤ・インターナショナル公式サイトより引用)

 アクセサリー通販「サン宝石」のオリジナルキャラクター「ほっぺちゃん」の人気も再燃しています。サン宝石は現在、みっとめるへん社のサン宝石事業部として事業を展開しています。「ほっぺちゃん」の誕生15周年を記念してキラキラ仕様の限定モデル「レインボーほっぺちゃん」も発売されました。

 Xでは「着ぐるみのほっぺちゃんに足がある」と衝撃を受けた人たちのポストが拡散されたり、TikTokではダンス動画も人気になっています。TikTok Shopもすでにオープンしており、雑貨と相性が良いと言われるTikTok Shopでの今後も気になるところです。

品薄続出!1300万枚突破の「ボンボンドロップシール」旋風, シール人気に火をつけた「平成女児ブーム」, 平成女児ブームによって、懐かしのキャラクターたちがリバイバル, 懐かしさが購買力に変わる, 時を経てバズる「IP(知的財産)ビジネス」

限定モデル「レインボーほっぺちゃん」(みっとめるへん公式サイトより引用)

品薄続出!1300万枚突破の「ボンボンドロップシール」旋風, シール人気に火をつけた「平成女児ブーム」, 平成女児ブームによって、懐かしのキャラクターたちがリバイバル, 懐かしさが購買力に変わる, 時を経てバズる「IP(知的財産)ビジネス」

TikTokではほっぺちゃんの ダンス動画 も(みっとめるへんより)

懐かしさが購買力に変わる

 今は大人になった元平成女児に向けた企画も展開されています。ペンダントアクセサリーとチョコレートがセットになった女子向け玩具菓子「セボンスター」(カバヤ食品)は新横浜プリンスホテルとコラボ、コンセプトルームやコラボレーションスイーツ、コラボレーションカクテルを販売しています。SNS映えしそうな部屋やスイーツを見ると、今の10代にも刺さりそうです。

品薄続出!1300万枚突破の「ボンボンドロップシール」旋風, シール人気に火をつけた「平成女児ブーム」, 平成女児ブームによって、懐かしのキャラクターたちがリバイバル, 懐かしさが購買力に変わる, 時を経てバズる「IP(知的財産)ビジネス」

アクセサリーとチョコレートが入った「セボンスター」(カバヤ食品公式サイトより引用)

品薄続出!1300万枚突破の「ボンボンドロップシール」旋風, シール人気に火をつけた「平成女児ブーム」, 平成女児ブームによって、懐かしのキャラクターたちがリバイバル, 懐かしさが購買力に変わる, 時を経てバズる「IP(知的財産)ビジネス」

セボンスターのコンセプトルーム(西武・プリンスホテルズワールドワイド公式サイトより引用)

時を経てバズる「IP(知的財産)ビジネス」

 ここまでご紹介したとおり、平成女児ブームは新たな「IP(知的財産)ビジネス」を生み出しています。かつて消費者の心を掴んだキャラクターが、時を経てバズコンテンツの輝きを取り戻しています。

 一般的なキャラクターの人気の寿命は短いかもしれませんが、幼少期や多感な時期に憧れたキャラクターやブランドは、大人になっても心に刻み込まれています。やがて自分たちが購買力を持つとその思いを爆発させ、大ブームとなるのです。

 矢野経済研究所が2025年7月に公表した国内のキャラクタービジネス市場に関する調査では、2025年度のキャラクタービジネス市場規模は前年度比102.6%の2兆8492億円を予測しています。今はマスメディアやリアル店舗だけでなく、SNSなどのネットによってキャラクターとの接点が大幅に増えています。さらに購入者がSNSで発信する拡散力も味方につけ、ますますIPビジネスは活性化していきそうです。