ジョニー・アイブがフェラーリをデザインするとこうなる…物理的なボタンやノブが満載だ

フェラーリの最新の内装は、クラシックなレーシングカーの要素とアップルのデザイン哲学を融合させたものだ。
- 元アップルのデザイナー、ジョニー・アイブが率いるデザイン会社が5年の歳月をかけ、フェラーリの新しい内装を作り上げた。
- このスポーツカーには、フェラーリが「タッチ」を向上させ、伝説的なレーシングカーの歴史を想起させる物理的なボタンが多数搭載されている。
- フェラーリはこのEVプロジェクトの新たな名称、「ルーチェ(Luce)」も発表した。
ジョニー・アイブ(Jony Ive)は、iPhoneを設計したデザイナーだ。iPhoneはそれまで多くの携帯電話にあった物理的なボタンを思い切って排除し、画面に表示される操作ボタンへと置き換えたことで広く知られている。しかし、彼が手がけた新しいフェラーリ(Ferrari)の内装は、それとはまったく異なるアプローチが取られている。
フェラーリは自社初の電気自動車(EV)、ルーチェ(Luce)の内装デザインを形にするため、アイブとアップル出身のデザイナー、マーク・ニューソン(Marc Newson)が設立したデザインスタジオ「ラブフロム(LoveFrom)」と5年間協業してきた。
その結果、数多くの物理ボタンと先進的なスクリーンを共存させた車内空間が誕生した。これは、フェラーリの走行性能に対するこだわりとアップルの洗練されたミニマリズムの融合だ。
フェラーリは外観の写真や詳細な仕様一覧はまだ公開していない。だが、これまでに明らかにされた情報によると、ルーチェは4ドア、4人乗りのEVで、停止した状態から時速100kmに2.5秒で到達できるという。航続距離は約530キロになると予想されている。
ルーチェは、フェラーリの電動化への飛躍を象徴するモデルだ。その内装には、ジョニー・アイブならではの特徴的なデザイン思想が反映されている。以下でその内装を紹介しよう。
5年にわたる提携はバッテリーで走るクラシックなレーシングカーの再構築を目指していた

フェラーリの新たなEVには、ジョニー・アイブとマーク・ニューソンが設立したクリエイティブ集団、ラブフロムが手がけたデザイン要素が内装に採用される。
エンジン音がうなりを上げる高性能車の代名詞だったフェラーリが、今、バッテリー駆動による静かな世界へと踏み出そうとしている。
電動化への移行を進めるにあたって、フェラーリはラブフロムと協力し、内装に使う素材や形状、操作系のデザインを磨き上げてきた。
その結果、既存の多くのEVとはまったく異なるデザインが誕生した。ルーチェの車内には、指先に伝わる手応えを重視した装備が並んでいる。金属を削り出したトグルスイッチや物理スイッチが整然と配置されており、それらは画面をなぞるのではなく、心地よいクリック感を味わうために設計されている。
ヘアライン加工が施されたアルミニウム、スリムなレザーの質感、そして無駄をそぎ落としたレイアウト。アップルのファンであれば、どこか見覚えのある意匠に気付くはずだ。
ハンドルにボタンが!

新しいフェラーリには、ハンドルやその周りに非常に多くのボタンが配置されている。同社は、「触れたときの感覚、分かりやすさ、そして直感的に操作できること」に設計の重点を置いていると述べている。
3本スポークの細身のステアリングホイール。ウインカーなどの方向操作スイッチをスポーク上に直接配置することで、極めてシンプルな設計を実現している。
その下にも、さらにいくつかのボタンが配置されていて、主要な機能のほとんどが親指を伸ばせば届く位置に収められている。
左側にはクルーズコントロール、走行モード、メーター照明、右側には出力特性(パワーモード)、サスペンション設定、ワイパーの操作スイッチが配置されている。
音量やトラックの操作ボタンはハンドルのスポーク裏に隠れるようにつけられている。一方、パドルシフトは従来のギアチェンジを模倣したトルク伝達を制御する。EVであってもフェラーリはドライバーに自らギアを選んでいるような感覚を味わってほしいと考えているのだ。
運転席と助手席の間にはアップル製品を彷彿とさせるタブレットが配置されているが、ノブやスイッチもある

ルーチェのインテリアには、iPhoneユーザーにとって馴染み深いデザイン要素が取り入れられている。インフォテインメント・システムにはアップル製品を彷彿とさせる曲線的なエッジを採用し、側面に物理ボタンを設置して操作性を高めている。
中央のインフォテインメント・ディスプレイは、大きなApple Watchのような外観だ。フェラーリのこのシステムには、風量調節やシートヒーターの操作機能に加え、円形のアナログ時計が組み込まれている。
タブレット状の画面はボールジョイント(球状の関節)で支えられており、運転席側にも助手席側にも向きを変えることができる。
フェラーリによると、画面下部のシルバーのバーはパームレストだ。これがあれば、急なカーブでもSpotifyのプレイリストを切り替えるために手を固定することができるという。
ガラスに覆われたシフトノブや遊び心が溢れるスマートキー

フェラーリは、シフトレバーの素材に高強度ガラスを採用している。
フェラーリはルーチェの内装にガラス素材を多用しており、シフト操作部を含む多くのパーツの表面にコーニング(Corning)社製のゴリラガラス(Corning Gorilla Glass )を採用している。
同社によると、この素材は一般的なスマートフォンのガラスよりも割れにくく、日常的な使用による傷も付きにくく作られているという。
スマートキーには遊び心も取り入れられている。四角いフェラーリ・エンブレムがキーとなっており、これをセンターコンソールに差し込むとキー本体が黒く変化し、周囲の内装パネルに溶け込むように同化する。
スマートキーを手に取って車から離れると、その表面はブラックからフェラーリの象徴であるレーシングイエローに変化する。
ヘリコプターのようなメーター

フェラーリによると、メーターパネルはデジタルインターフェースに「伝統的な自動車のデザイン要素」を融合させたものだという。
ステアリングホイールの奥に配置された計器盤は、ヘリコプターのコックピットから着想を得たものだという。
フェラーリによると、デジタルメーターはステアリングコラムに直接固定されていて、重要な情報が運転者の視線内に固定されるようになっている。こうしたハンドルとメーターが連動するレイアウトは、フェラーリにとって初の試みだ。
中央にはハイブリッド式の速度計が配置されている。曲面レンズを通して表示される重層的なデジタル運転データの上に物理的な針が浮かび上がるデザインだ。現代の車の多くはアナログの針を完全になくしてしまったが、フェラーリはあえてこれを残した。デジタルの最新技術と、昔ながらの運転の楽しさを融合させている。
まったく新しいEVには新しい名前が与えられた

フェラーリは初のフル電動プロジェクトの名称を、当初の「エレクトリカ(Elettrica)」から「ルーチェ(Luce)」に変更した。
フェラーリは2025年10月、初のフル電動プロジェクトを「エレクトリカ(Elettrica)』という仮称で公開したが、現在、正式名称は「ルーチェ」に決定している。
イタリア語で「ルーチェ」は「光」を意味する。
次の情報公開は2026年5月の予定

フェラーリはクリエイティブ集団のラブフロムと2021年からパートナーシップを提携している。写真は左からフェラーリのベネデット・ヴィーニャ(Benedetto Vigna)CEO、会長のジョン・エルカーン(John Elkann)、デザイン責任者のフラビオ・マンゾーニ(Flavio Manzoni)、ラブフロムのジョニー・アイブ(青い服)、マーク・ニューソン(赤い服)。
2021年に初めて報じられたフェラーリとラブフロムの提携は、EV体験をゼロから再構築するという、フェラーリの野心的な姿勢を象徴する内装を生み出した。
外部のデザイン会社を起用することが滅多にないフェラーリにとって、これは異例のことだ。
フェラーリはプレスリリースの中で、「チームはあらゆる解決策を洗練させ、その純粋な形へと磨き上げることに注力した」と述べている。
車両のその他の部分はフェラーリが自ら開発を手掛けており、その全貌は2026年5月に公開される予定だ。なお、この新型EVの価格や発売時期についてフェラーリはまだ正式な発表を行っていない。