金(ゴールド)の現物を売買する際に、忘れてはいけない5つのポイント。コメ兵の担当者に訊いた

金(ゴールド)が高値を更新し続けるなか、金の売買も増えている(※価格は2026年2月19日もの)。
- 日本最大級のブランドリユースショップ「コメ兵(KOMEHYO)」では、利用客による金(ゴールド)の売買が盛んになっている。
- 同社の店頭買取の担当者・萩原大介氏は、田中貴金属の小売価格が1万円を突破した2023年8月頃から潮目が変わったという。
- 金価格が3万円前後を推移する今、金の売買を考える場合、どんなポイントに注意すればいいのか。
金(ゴールド)価格はふたたび、3万円台を取り戻した。
およそ1カ月前の1月末、史上最高値3万248円(国内小売価格)を記録した金価格。その直後、20%近くも急落しついに天井を打ったかと思われた。だが、3月に入ってイラク情勢の悪化により、ふたたび3万円前後を推移している。
そんななか、日本最大級のブランドリユースショップ「コメ兵(KOMEHYO)」では、利用客による金の売買が盛んになっているという。買取利用件数が前年比128%(2025年9月時点)、新規顧客数も前年比130%に上っている。
「相場の変動が激しくて、自分の理解も追いついていないことが最近多い」と、コメ兵のシニアチーフ萩原大介氏は語る。彼は新宿店の店頭買取の査定担当者だ。
「12年ほどこの仕事に携わっているが、以前とは状況が全然違う。最近の相場変動には驚かされてばかりだ」
3万円台を超えて、これから金の売買を考える人はさらに増えるだろう。荻原氏に聞いたそのポイントを共有する。

コメ兵新宿店。JR新宿駅から徒歩数分という場所柄、来客層も多彩だ。
1. 金相場の行方は、リユース店の査定員でも分からない
「まだ上がるのか?」という質問を受けることが激増した、と荻原氏は困惑する。しかし、査定員であっても、今後の金価格の行方は分からない。
「つい数年前まで、金価格が1万円を超えるとは誰も思っていなかった」と、荻原氏は言う。「それが、いまでは3万円前後を推移している状態なので、我々自身、驚きのなかで営業している」
ターニングポイントとなったのは、2023年の8月だ。その時、田中貴金属の小売価格が1万円を突破した。そこからわずか2年半で3倍になった計算になる。あまりに相場の急変が続くので、査定する側も信じられないような査定額が出るタイミングもあるという。
だから、金相場の今後について質問されても「分からない」と答えるしかない。しかし、地政学的リスク、インフレ・為替の状況から見ても、金が下落する材料は今のところ見当たらない。
「とはいえ、落ちる可能性も実際ある」と、荻原氏は釘を刺す。「だが、長い目で見ると上がり続けているのは確かだ」
2. キリの良い相場は、売買が増えるタイミングとなる
査定員でも相場の今後は読めないが、売買が増えるタイミングはわかる。それは、1万円・1万5000円・2万円・2万5000円と、相場がキリの良い価格を突破した時だ。たまたまかもしれないが、2月初旬の下落も3万円に到達した直後の出来事だった。
「そのようなタイミングでは、売る人だけでなく、買う人も増える。また、その売買の単価も増える」と、荻原氏は指摘する。
売買が増え、その単価も増えるということは、相場自体も大きく動く可能性があるということだ。つまり、キリの良い価格の周辺では、価格変動しやすいことになる。これから金の売買を考えるなら、そこは理解しておいた方がいいだろう。

コメ兵のシニアチーフ萩原大介氏。
3. 金価格は基本的に1日1回、午前9時半に更新される
コメ兵では、金製品の売買に田中貴金属の金相場価格をベースとしている。これは基本的に1日1回午前9時半に更新され、コメ兵における金製品の売買価格もそれに合わせて変動するという。
ただし価格変動が激しい場合、田中貴金属の金相場は1日に2回更新されることがある。それはだいたい午後2時頃だが、そういうケースはごく稀だ。1月末に史上最高値を超えたときは、まさに1日2回の更新があったそうだ。
「弊社では、1日に1回しか店頭価格は変えていない。相場が急変したときも変えたいのだが、やはり追いつかないというのが実態だ」と、荻原氏は打ち明ける。「なので、タイミングによっては、ものすごくお得な買い物になる方もいるかもしれない」
4. 金製品の価格は、基本的に「含有量」で決定される
コメ兵で売買される金製品の価格は、金の含有量が基準となる。そのため、売る場合なら、片耳だけのピアスとか、壊れたネックレスでも問題ない。買取価格は重量と含有量で算出されるからだ(※コメ兵では金メッキとか、金を模した製品について取り扱っていない)。
「例えば石のついたジュエリーとか、なにかデザイン性の高い製品については、そこも加味する」と、荻原氏は付け加える。
「ブランドジュエリーだと、当然ブランドの付加価値が乗るので、より価格が高くなる」
なお、査定に要する時間は、ノーブランド製品なら1分に満たない。専用の計測器で調べた金の含有量で決まる。ブランドジュエリーだとさらに調べ物に時間を要するというが、日をまたぐようなことはない。金の価格が変わってしまうからだ。

カルティエ(Cartier)の腕時計。同じ金製品でもブランド物の方が付加価値は高い(※価格は2026年2月19日もの)。
5. 急な価格上昇で「納税義務」が発生するケースもある
コメ兵での売買において200万円以上の取引になる場合、「お客様カード」に個人情報を記入しなくてはならない。それを税務署に申告することが義務付けられているという。
「これは、常に誰にでも同じ説明をしている」と、荻原氏は言う。「それ以上の詳細については、税務署に確認してもらいたい」
ただしコメ兵の経理部によると、売却で利益(売却価格ー購入価格)が出た場合、その利益は「譲渡所得」として課税対象になるという。なお、売却益が1年間の合計で、50万円以内なら基本的に税金はかからない。また、金を5年以上保有してから売却した場合、課税対象額が半分になる制度もあるようだ(※営利目的や継続的に売買をしている場合は、譲渡所得ではなく、雑所得や事業所得と見なされる場合があり)。
これだけ価格変動が激しいと、売却益を大いに期待できる部分もある。しかしその分、税金対策も考えておかないとあとで痛い目に合うかもしれない。いずれにせよ、詳細は個々の税務署に確認が必要だ。
まとめ
金を現物で所有するということは、「価値がゼロにならない」という究極の安全性を手に入れることを意味する。金はそれ自体が価値を持つ”実物資産“であるため、株式や紙幣とは異なり無価値になることはないからだ。
また、インフレで通貨の価値が下がると相対的に実物資産である金の価値は上昇する。そのうえ、現物の金(インゴットや金貨)は、世界中どこでも共通の基準で取引されており、高い換金性を持つ。
だが、現物の保有には「保管コスト」や「盗難のリスク」が伴う。銀行の貸金庫を利用すれば手数料がかかるし、自宅で保管するならセキュリティ対策が必要になる。金の売買には、そのへんのことも考えに入れておくことが必要だ。