【金利30年ぶり大転換】金利のある世界で家計はどう変わる?「三重ショック」をノートで解説

日本で約25年続いた「金利のない世界」から、「金利がある世界」に戻ってきました。政策金利は昨年12月に0.75%に引き上げられ、10年物国債利回りは2%台と、どちらも約30年ぶりの高い水準となっています。
そうはいっても、株価や為替と違い、金利の上昇が私たちの生活にどのような影響を与えるのか、ピンとこないという方もおられるでしょう。
金利と私たちの暮らしについて、分かりやすくご説明します!
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■日銀は“騎手が馬に乗る時のように”
短期金利の代表である「無担保コール翌日物」は、金融機関どうしが日々の資金繰りのため、翌日には返すお金を借りる際の金利のこと。中央銀行である日本銀行(日銀)は物価を安定させるための金融政策として、この金利を調節しているため、「政策金利」とも呼ばれます。
「実質金利」という言葉を聞いた方も多いでしょう。こちらは名目金利(見かけ上の金利)から、物価変動の影響を除いた金利のこと。日本では金利が上がったとはいえまだ低く、さらに物価高が続いていることもあって、実質金利はマイナスの状況です。
景気と金利は連動しており、一定のサイクルがあると言われます。「景気が過熱→長期金利が上昇→政策金利を引き上げて、過熱を抑える→景気が停滞→長期金利が下落→政策金利を引き下げて、景気を支える」といったように、上がったり下がったりを繰り返しているのです。
ここで重要になるのが、日銀の役割です。景気が過熱している時は、ゆきすぎるとインフレが起こって物価がどんどん上がってしまうため、政策金利を上げる(金融引き締め)ことで企業や個人がお金を借りづらくなり、経済活動を落ち着かせてインフレを防ぎます。
逆に、景気が停滞している時は政策金利を下げる(金融緩和)ことで企業や個人がお金を借りやすくなり、経済活動のエンジンをふかすことができるよう後押しします。
まるで、騎手が馬に乗る時に手綱をピンと引いたり緩めたりするようなものですが、力加減を誤れば、私たちの生活に思いもよらぬ悪影響を与える可能性もあります。

■物価上昇に負けないためには
数年前まで、メガバンクの普通預金の金利は0.001%でした。これは100万円を1年間預けても、利息が10円(税引き前)であることを示し、まさに「銀行に預けてもお金は増えない」状況でした。
利上げに伴って同金利も0.3%程度まで上昇し、以前と比べて300倍にもなりました。この数字だけ見ると驚かれるかもしれませんが、2025年の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は前年と比べて3%以上も上昇しており、普通預金に預けるだけでは物価上昇に太刀打ちできません。
一方、個人向け国債の金利は、3月に発行された固定5年タイプが1.66%(税引き前)、変動10年タイプが初回1.48%(同)となっており、お金の“置き場所”としての人気も高まっています。
金利上昇による注意点として、新聞等で最も取り上げられているのが住宅ローンでしょう。
低金利の状況が長く続いたことから、今後も金利は上がらないと考えて変動金利タイプを選び、頭金ゼロで限度額いっぱいまで借りたという方も多い。昨今の物価高で既に家計がカツカツであれば、適用される金利が上昇して返済額が増えると、たちまち家計が立ち行かなくなるおそれもあります。
投資先やお勤め先の財務状況にも注意が必要です。借入金が多ければ、支払利息が増えることで業績が悪くなり、投資先の株価が下落する可能性もありますし、お勤め先であれば給与やボーナスが下がることも考えられます。
「注意点」に書いたことが一気に起きれば、まさに“三重ショック”となる可能性もあります。
金利は私たちの意思や努力で動かせるものではありません。だからこそ、できる範囲で備えておくことが必要です。

■金利を生活と関連付けて考える
金利は為替にも影響を与えます。さまざまな要因がありますが、一般的には金利が高い国の方が、お金を置いておいた時に増えやすいため、通貨の価値も高くなりやすい。現在、日本は利上げ、アメリカは利下げの方向に動いていますが、今なおアメリカの方が金利が高い状況。このためドルに人気が集まり、円の人気が落ちる、つまり円安につながることになるのです。
金利の動きに注意を払い、上がった場合や下がった場合の対応策を考えておくことも立派な“備え”と言えます。気付かないフリ、気付いているのに「どうにかなるだろう」と考えて何もしない、ということは避けなければいけません。
トランプ米大統領は、利上げによって景気が停滞することを懸念し、本来は独立しているはずのFRBに対して公然と利下げを要求してきました。次期議長についても、金融緩和(利下げ)に前向きな“ハト派”を指名すると予想していたため、今回の“タカ派”との見方もあるウォーシュ氏の指名は、個人的には意外に感じます。
ちなみに、日米の政策金利を決定する会合(日銀の金融政策決定会合と、アメリカのFOMCと呼ばれる連邦公開市場委員会)は、同時期に開催されることが多い。政策金利の変更は為替、ひいては株価にも大きな影響を与えるため、私はスケジュール帳に1年分の日程を書き込んで、その前後は特に注意しています。
一見、捉えどころのない金利ですが、ご自身の生活と関連付けて考えるようにすることで、少し身近に感じられるようになるかと思います。
(fumico)
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