【タイ】飲料モグモグ、世界で5億本[食品] セッペ看板商品、比や韓国で定着

韓国ソウルのコンビニに並ぶモグモグ。「ピンクグアバ」や「ブラックカラント」などレアなフレーバーもそろえる(NNA撮影)
タイの飲料大手セッペの看板商品であるナタデココ入りフルーツ飲料「モグモグ」の年間販売本数が5億本を超えた。販売は全て海外向けで、フィリピンや韓国ではコンビニエンスストアでほぼ必ず見かける定番商品として定着している。多様なフレーバーとカラフルな見た目に加え、ジュースの甘味とナタデココの食感を組み合わせた商品特性が、子どもや若者に受けている。交流サイト(SNS)を活用し、インドネシアやインドでの販売拡大にも期待する。
セッペ(当時の社名はピヤジット)は2001年にタイでモグモグを発売した。ナタデココの原料であるココナツの調達段階からこだわって開発し、「食べる」と「飲む」を同時に楽しめる「スナックドリンク」という新たなコンセプトで商品化した。子どもや若者に親しまれたが、競合他社が後追いで安価な類似商品を投入したため、21年にタイ国内での販売を停止した。

一方、00年代から積極的に輸出を進め、23年までに100を超える国・地域で販売するまでに拡大した。セッペは3月に開いた事業説明会で、モグモグの年間販売本数が5億本を突破したと発表。25年の売上高(52億5,300万バーツ=約256億円)のうち海外が70.5%を占め、その大半を主力のモグモグが支えている。
■1位フィリピン、消費者と共に成長
セッペの海外事業担当者は3月に東京都内で開かれた食品展示会「FOODEX JAPAN(フーデックスジャパン)」でNNAの取材に応じ、モグモグは「フィリピンでの販売が最も多い」と話した。首都マニラに駐在する日本人が「セブンイレブンで販売されており、よく見かける。タイの商品とは知らなかった」と話すなど、現地で広く浸透している。
フィリピンでの販売は08年に開始した。当初は学校のイベントなどを中心に販売していたが、5年足らずで全国に流通網を構築。ナタデココがフィリピン発祥で違和感なく受け入れられたことに加え、甘味やフルーツ系飲料、視覚的に鮮やかな商品を好む現地の嗜好(しこう)に合致していたことが普及を後押しした。
価格は320ミリリットル入りで50フィリピンペソ(約132円)。現地の女子中学生(13歳)は「少し高いけど甘過ぎず、ゼリー(ナタデココ)が入っているのが好み。味はライチとグレープが好き」と話すなど、子どもや若者に人気だ。セッペ経営陣は「進出から20年近くたつが、売り上げは伸び続けている。モグモグは、現地の若い世代と共に成長してきたブランドだ」と述べた。
■発信力で韓国重視
フィリピンに次ぐ重要市場は韓国だ。ジュマックス(Jumax)とウィースト(Weast)の地場2社を代理店として販路を拡大。フィリピン同様、首都ソウル在住者が「どこのコンビニでも売っているので韓国の製品だと思っていた」と話すほど定番化している。
韓国メディアによると、同国のコンビニ「CU」での販売は24年10月までに累計3,800万本を突破。CUのフルーツ系飲料のカテゴリーで「数年間トップ5に入るベストセラー」だという。
韓国ではSNS映えする見た目が若者に受けたとみられるほか、子どもからの支持も厚い。ソウル在住のユジン君(9歳)は「味の種類がいっぱいあって、いつもどれを飲もうか迷う。甘くておいしいし、ナタデココの食感も大好き」と話した。
経営陣は、韓国が「世界のトレンド発信地」であり他国への影響も大きいとみて、重点市場に位置付けている。24年には一時、日本でも人気の韓国の13人組男性アイドルグループ「SEVENTEEN(セブンティーン)」をブランドアンバサダーに起用。現在もSNSで韓国のインフルエンサーを起用したプロモーションを展開し、ブランド認知の向上を図っている。

モグモグの韓国(左)とインド(右)のインスタグラム公式アカウント。現地のインフルエンサーとコラボして若者に訴求する(スクリーンショット)
■大国に期待、SNS注力
巨大な人口を抱えるインドネシアとインドは、成長余地が大きく、期待の高い重点市場だ。インドネシアでは「アルファマート」「インドマレット」「ファミリーマート」といったコンビニのほか、「アルファミディ」「スーパーインド」「インドグロシール」といったスーパーマーケットで販売。売上高はフィリピンや韓国に次ぐ規模となっている。

セッペは4年連続でフーデックスに出展。日本でも販路拡大に向けて、新たなパートナー探しに積極的に取り組む=3月13日、東京(NNA撮影)
インドでは、地場のサンビーム・マーチャンタイル・ベンチャーズが代理店を務め、電子商取引(EC)に力を入れている。都市部で普及するクイックコマース(食料品や日用品を短時間で配達するサービス)の大手「ブリンキット」「インスタマート」「ゼプト」などを通じて販売。25年のEC売上高は前年比80%増となった。
実店舗では局地的に浸透が進み、南部ベンガルールでの普及が目立つ。25年時点で市内のスーパーや団地内の売店などで取り扱われ、身近な存在となっている。市南部に住むアターブ君(9歳)は「甘いジュースも、かみ応えのあるゼリーもおいしい。友だちもみんなモグモグが大好き」とコメント。インドでも子どもを中心に人気と認知が広がっている。
セッペは26年に各国・地域の売上高を15%伸ばすことを目標に掲げている。モグモグのマーケティングは主要各国でSNS活用を重視。インスタグラムなどで現地のZ世代(1990年代後半~2010年代初頭生まれ)のインフルエンサーを起用してコンテンツを配信し、Z世代とアルファ世代(10年以降生まれ)の間での認知度向上を図る。
フィリピン、韓国、インドネシア、インドではいずれも近代的小売り(スーパー、コンビニなど)に比べて個人商店などの伝統的小売りへの浸透が弱いことから、各国で伝統的小売りでの流通拡大にも力を入れる。