なぜ「チョコモナカジャンボ」は20年以上売れ続けるのか。年間2億個販売のアイスシリーズ支える森永製菓の異常なこだわり

森永製菓のロングセラー商品「チョコモナカジャンボ」(左)と兄弟商品「バニラモナカジャンボ」。
各地で桜が開花し、新年度の新生活が訪れようとしている。春到来で気温の上昇とともに記者が無性に食べたくなるのが、アイスクリームだ。春はメーカーにとってアイス商戦の幕開けともいえる。
そんななか、「チョコモナカジャンボ」で年間2億個と日本の人口を超える数量を販売し、20年以上連続で売上拡大を続けている森永製菓が3月13日〜15日にかけて東京・渋谷でイベントを開催した。
Business Insider Japan編集部から近いこともあり、イベントに参加したところ、お手頃なアイス商品とは片付けられない、業界で「異例」と言われる、チョコモナカジャンボのロングセラーの秘密が見えてきた。

“日本一売れるアイス”、こだわり「鮮度」で事業拡大
同社は1972年、「チョコモナカ」(当時50円)を発売した。1980年に「チョコモナカデラックス」(1980年)へ刷新するも競合モナカアイスの後塵を拝し、売り上げが低迷。当時のアイス市場のトレンドが増量だったことなどを背景に「チョコモナカジャンボ」(1995年)として再出発し、以来20年以上連続で売り上げを拡大している。2011年には兄弟商品「バニラモナカジャンボ」を発売した。

1972年に発売した初代「チョコモナカ」。
現在でこそ、レジ設備大手の旧東芝データ(現東芝デジタルソリューションズ)が発表したレシートベースの調査(2024年12月)の「アイス」部門で年間1位という「定番のお茶の間商品」になっているが、森永製菓で「ジャンボ」シリーズのマーケティングを担当する冷菓マーケティング部の中村望さんは「本格的な事業拡大のきっかけは、2001年に始めた『鮮度マーケティング』にある」と説明する。
よく知られるように、基本的にアイスクリームには賞味期限がない。賞味期限のない商品に、なぜ「鮮度」を求めてきたのか。

アイスクリームには基本的に賞味期限はない。
中村さんによると、鮮度マーケティングは20年以上続く全社横断の取り組みで、工場から出荷して5日以内に店頭に届けることを目安とする。

「チョコモナカジャンボ」は20年連続で売り上げを伸ばしている。
同社が鮮度にこだわる背景には、ジャンボシリーズの食感を支える商品特性が関係している。
ジャンボシリーズは大きくモナカとバニラアイスクリームで構成されるが、アイスには多量の水分が含まれる。このため、時間の経過とともにアイス中の水分がモナカ側に浸透してしまう。
つまり、ジャンボシリーズの特徴であるアイスの滑らかさとパリパリ・ザクザクという食感は本来、両立が困難な関係にある。

出典:森永製菓「ファクトブック」
後述する、「チョコの壁」をいかした改良作もあるが、そもそもの鮮度が食感を保つために重要だと判断しているわけだ。
ただ、鮮度の管理は簡単ではない。
気象状況(気温)などの外部要因の変化から需給予測を見誤り、過剰生産してしまうと鮮度が落ちた在庫が大量発生するリスクも同時に抱える。
製造計画の精度を上げるため、同社では2017年から日本気象協会と連携を始めた。同協会が持つ日本各地の気象データを活用し、森永側は全国の配送センターに適した商品配分から、各エリアの気温変化に応じた生産量・出荷量の調整まで行う。
データ活用前は「ある人の考えをもとに、経験と勘で出荷量を決めていた職人芸のようなものだった」(森永製菓社員)という需要予測が、現在では「3カ月先の需要予測までできるようになった。気温と売り上げの相関を分析することで、需給の急変動にも耐えられる生産体制で確立している」(冷菓マーケティング部の中村望さん)という。
構想4年、開発した「チョコの壁」
パリパリ食感というユーザー体験(UX)を守るためのもう1つの工夫が、チョコレートを使った製品内部の“防壁”だ。
ジャンボシリーズのアイスとモナカの間には「チョココーティング」が施されている。モナカ内側に薄くチョコを塗布し、水分の移行を抑える構造だが、これだけでは不十分だった。上下のモナカを合わせた際、チョコでコーティングされていない両サイドの隙間から水分が逃げ、モナカへ浸透することが防げなかったためだ。