タワマンの資産価値はどうなる?「価値が上がる物件」と「下がる物件」の決定的な違い

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「眺望がよく、共用部も充実し、都心でスマートに暮らす金持ちの象徴」そんなイメージゆえに、タワマンは資産性が高いと信じられてきた。しかし、豊洲や晴海、武蔵小杉といったタワマン街を歩くと、その神話が崩れ始めていることに気づく。空前のタワマン供給が続いた結果、何が起きるのか。タワマンの今後を不動産の専門家が占う。※本稿は、不動産評論家の牧野知弘『50歳からの不動産 不動産屋と銀行に煽られないために』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。

空前のタワマンブームで

デベロッパーはウハウハ

 タワマンという定義は実はありませんが、タワマンという単語はすっかり定着した感があります。マンションデータを取り扱う不動産経済研究所では、20階建て以上のマンションのことをタワマンとして統計を取っています。

 2004年から2023年までの20年間、首都圏でどのくらいの量のタワマンが供給されたかというと、実に696棟、21万9478戸です。この間の新築マンション供給戸数は91万9005戸なので、供給された新築マンションの23.9%、およそ4戸に1戸がタワマンという計算になります。

 眺望が開けていて、共用部も充実、資産性もある、などの理由でタワマンは大人気です。特に都心部のタワマンは東京の夜景が楽しめるなど、所有者の虚栄心をくすぐる要素もあり、デベロッパーも積極的に供給しています。

同書より転載

 デベロッパーの側からみてもタワマンは美味しい事業です。マンションを建てるにあたって、普通のマンションでもタワマンでもかかる手間はあまり変わりがありません。土地を仕入れる。建物を建設する。住戸を販売する。規模の大小があっても仕事自体はあまり変わりがないのです。

 ところが普通のマンションとタワマンとでは利益を上げるための効率が違います。

 通常、マンションの原価構成は土地代、建設費に関連経費が約30%上乗せされ、デベロッパーの利益は5%から10%程度です。たとえば50戸のマンションを販売するときに、5戸売れ残ってしまうと利益が出ません。

 販売に苦戦しているマンションで残5戸などの表示が出ているマンションは、ときに売り手側が大幅な値引きに応じてくれると言われる理由は、この利益率にあります。

普通のマンション20棟を売るよりも

タワマン1棟のほうがはるかに儲かる

 タワマンの場合、低層部より高層にいくほど販売価格がどんどん高くできます。上層階ほど人気があるため、物件にもよりますが、低層部より高層部が2割から4割くらい高く売れるケースもあります。また一度に大量の住戸をさばきますから販売効率もよいです。

 一時に実額で大きな利益を稼ぐことができるので、大手デベロッパーが積極的になるのです。たとえば1000戸のマンションを戸あたり8000万円で販売すれば売上は800億円です。利益率が15%として120億円です。

 普通のマンション1棟50戸で同じ売上を達成しようとすれば20棟造らなくてはなりません。それぞれに経費がかかりますので、利益率は落ちてしまいます。

 1990年代半ばくらいまでは、都心部の容積率は今ほど緩くなかったのでタワマンを供給できるエリアはごく限られていました。ところが1990年代半ば頃から容積率が大幅に緩和された結果、デベロッパーは美味しい商売にありつくことができたのでした。都心居住のニーズを大いに刺激したのがタワマンなのです。

資産価値が暴落する前に

タワマンから逃げ出せるか?

 タワマンはその姿かたちから何となくプラウドだ。タワマン住まいは都心でスマートに働く人たちの舞台、そして都心にある不動産は当然資産価値が高く、今後もその価値は維持されていく。多くの人たちがそう信じています。

 でも少し見方を変えて考えてみてください。この20年間で首都圏において供給された新築マンションの4戸に1戸がタワマンです。世の中で購入者の4人に1人が買っている品物にすごい価値があるものなど存在するでしょうか。

 しかも今後、永遠にその価値を保ち続けていくものなのでしょうか。ダイアモンドや金はその埋蔵量の希少性とそのもの自体が劣化しないために永遠に価値があるとされます。タワマンは所詮建物にすぎず、今後も大量に供給されていくものです。永遠の価値を論じることができるのは建物ではなく土地でしょう。

 ブランド立地にあるタワマンならばまだしも、湾岸部の埋立地に建つタワマンが将来もその価値を保ち続けるとは到底思われません。投資として魅力的な間は、投資の思惑も手伝って価格が上昇するでしょうが、どうでしょうか。

『 50歳からの不動産 不動産屋と銀行に煽られないために 』(牧野知弘、中央公論新社)

 すでに湾岸エリアのタワマンの中でも築20年を超える物件が増えてきました。新しく建設される最新鋭のタワマンはたしかに格好が良く、きらきらと輝いて見えます。しかしその隣に立つ築20年超のタワマンは共用部を含めてやはり時代を感じさせます。

 豊洲や晴海、武蔵小杉といったタワマン街ではこれからも多数のタワマンが建設されます。これはいわばアパートの乱立に似た事象です。つまりこれから続々と建設される最新鋭タワマンの影に隠れて築古のタワマンは隅に追いやられていく運命にあるということです。

 10年から20年前に憧れのタワマンを購入した55歳。今、価格が高騰しているうちに売却してキャッシュに替えることをお勧めします。少なくとも今住んでいるタワマンがさらに価値を上げていく保証は、ブランド立地である青山や麻布、六本木などにあるタワマンを除いてどこにもないのです。

 今住んでいるタワマンから逃げ遅れないことです。