【シニア向けの公的な給付金】申請しないとゼロ円のまま? 高齢者が見落としやすい「国の手当・支援金」5つの制度とは?

「2026年4月から」在職老齢年金の見直しで基準額はいくらに引き上げられる?

長生き時代、シニアの生活設計における「仕事」と「年金」のバランス, 就労中のシニアが対象となる雇用保険関連の給付金, 1. 65歳未満の方が対象「再就職手当」, 2. 高年齢雇用継続給付について, 3. 65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」, 老齢年金に加えて受け取れる可能性がある支援制度2つ, 1. 年金生活者支援給付金, 2. 加給年金とは, 「2026年4月から」在職老齢年金の見直しで基準額はいくらに引き上げられる?, 在職老齢年金制度の変更点, 申請が必要な制度を理解し、老後の生活資金を確保しましょう

【シニア向けの公的な給付金】申請しないとゼロ円のまま?高齢者が見落としやすい「国の手当・支援金」5つの制度とは?

4月に入り、新年度がスタートしました。桜の便りが聞かれるこの季節、生活設計を新たに見直す方も多いのではないでしょうか。

長寿化が進む現代の日本では、シニア世代にとって「年金だけで暮らす」のではなく、「働きながら年金を受け取る」というライフスタイルが一般的になりつつあります。

しかし、物価の上昇や医療費の増加など、家計への負担は軽視できません。

実は、高齢者向けの公的な支援制度には、自ら申請しなければ給付を受けられないものが数多く存在します。

制度を知らないままでいると、本来受け取れるはずのお金を見逃してしまうかもしれません。

この記事では、働くシニアや年金生活者が対象となる国の手当や支援金について詳しく解説します。

あわせて、年金制度改正の重要なポイントも確認していきましょう。

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長生き時代、シニアの生活設計における「仕事」と「年金」のバランス

内閣府が公表した「令和7年版高齢社会白書」によれば、65歳から69歳の男性の6割超、女性の4割超が働いています。

また、70歳代前半においても、男性の約4割、女性の2割以上が就労を継続している状況です。

年齢が上がるにつれて就労者の割合は緩やかに減少しますが、シニア層全体として見ると就業率は上昇傾向にあります。

しかし、60歳を境に給与が減少する事例は少なくありません。

現役時代と同じように希望の職に就くのが難しくなったり、健康問題で就労継続が困難になったりする可能性も考えられます。

厚生労働省の「令和6年簡易生命表の概況」では、日本人の平均寿命が男性81.09歳、女性87.13歳と報告されています。

65歳以上のシニア世代にとって、長くなる老後生活を支えるためには、「公的年金」と「仕事による収入」が二つの大きな柱といえるでしょう。

この先の章では、シニア世代を対象とした給付金や手当の中から、自ら申請手続きをしないと受け取れない「雇用保険に関連する給付」と「公的年金に上乗せされる給付」について、それぞれ詳しく解説していきます。

就労中のシニアが対象となる雇用保険関連の給付金

就労意欲のあるシニアを支援する「雇用保険関連」の給付金制度を3種類ご紹介します。

1. 65歳未満の方が対象「再就職手当」

再就職手当は、失業した方が早期に新たな仕事を見つけることを支援する制度です。

失業してから再就職や起業までの期間が短いほど、給付額が大きくなる仕組みになっています。

再就職手当を受け取るための条件

・対象となる方:雇用保険の受給資格があり、基本手当を受けられる方。

・支給の条件:雇用保険の被保険者として再就職するか、事業主として被保険者を雇用する場合が対象です。基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っており、その他の一定要件を満たす場合に支給されます。

再就職手当の給付率はどのくらい?

・手当の金額:給付率は、就職日の前日までに失業認定を受けた後の基本手当の支給残日数によって変動します(1円未満は切り捨て)。

再就職手当の具体的な金額

長生き時代、シニアの生活設計における「仕事」と「年金」のバランス, 就労中のシニアが対象となる雇用保険関連の給付金, 1. 65歳未満の方が対象「再就職手当」, 2. 高年齢雇用継続給付について, 3. 65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」, 老齢年金に加えて受け取れる可能性がある支援制度2つ, 1. 年金生活者支援給付金, 2. 加給年金とは, 「2026年4月から」在職老齢年金の見直しで基準額はいくらに引き上げられる?, 在職老齢年金制度の変更点, 申請が必要な制度を理解し、老後の生活資金を確保しましょう

再就職手当の具体的な金額

ちなみに、再就職手当を受給し、新しい勤務先で6カ月以上雇用された場合、その6カ月間の賃金が離職前の賃金を下回っていれば、「就業促進定着手当」の支給対象になる可能性があります。

2. 高年齢雇用継続給付について

高年齢雇用継続給付は、60歳から65歳未満で就労を続ける方を対象とする給付金制度です。

60歳時点と比較して賃金が一定以上低下した場合に受け取ることができます。

高年齢雇用継続給付の支給条件

・対象となる方:雇用保険の被保険者期間が通算5年以上ある、60歳以上65歳未満の被保険者。

・支給の条件:60歳に達した時点の賃金と比較して、現在の賃金が75%未満の状態で働き続ける場合に支給されます。

高年齢雇用継続給付の支給率

・支給される金額:最高で、支払われた賃金額の10%に相当する額が支給されます。(※)

※2025年3月31日より前に支給要件を満たした場合は15%となります。

【一覧表】2025年4月1日以降の高年齢雇用継続給付

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【一覧表】2025年4月1日以降の高年齢雇用継続給付

老齢年金を受け取りながら厚生年金に加入し、「高年齢雇用継続給付」も受給する場合、注意が必要です。

在職老齢年金制度による支給停止に加えて、最大で標準報酬月額の4%相当額が年金から支給停止されることになります。(※)

※2025年3月31日より前に支給要件を満たした場合は6%です。

3. 65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」

高年齢求職者給付金は、65歳以上の雇用保険加入者が離職し、失業状態になった場合に一時金として受け取れる給付です。

高年齢求職者給付金を受け取れる人とは?支給要件を確認

・対象となる方:高年齢被保険者(65歳以上の雇用保険加入者)で、失業状態にある方。

・支給の条件:以下のすべての要件を満たす必要があります。

高年齢求職者給付金の給付額

長生き時代、シニアの生活設計における「仕事」と「年金」のバランス, 就労中のシニアが対象となる雇用保険関連の給付金, 1. 65歳未満の方が対象「再就職手当」, 2. 高年齢雇用継続給付について, 3. 65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」, 老齢年金に加えて受け取れる可能性がある支援制度2つ, 1. 年金生活者支援給付金, 2. 加給年金とは, 「2026年4月から」在職老齢年金の見直しで基準額はいくらに引き上げられる?, 在職老齢年金制度の変更点, 申請が必要な制度を理解し、老後の生活資金を確保しましょう

高年齢求職者給付金の給付額

・支給される金額

65歳未満の方が受け取る基本手当(いわゆる失業手当)は、4週間に1回の失業認定を経て支給されますが、高年齢求職者給付金は一括で支給されるという点が大きな特徴です。

老齢年金に加えて受け取れる可能性がある支援制度2つ

シニアの生活に密接に関わる公的年金には、基本的な老齢年金を補うための制度がいくつか設けられています。

ここでは、老齢年金を受給している方が特定の条件を満たした際に、年金額に上乗せして受け取れる2つの給付制度について解説します。

1. 年金生活者支援給付金

年金生活者支援給付金は、基礎年金を受給しており、かつ所得が一定基準以下の方を対象とした制度です。

老齢・障害・遺族の各基礎年金に対応する給付金がありますが、ここでは特にシニアの生活に関わりの深い「老齢年金生活者支援給付金」に焦点を当てて見ていきましょう。

老齢年金生活者支援給付金を受け取るための条件

長生き時代、シニアの生活設計における「仕事」と「年金」のバランス, 就労中のシニアが対象となる雇用保険関連の給付金, 1. 65歳未満の方が対象「再就職手当」, 2. 高年齢雇用継続給付について, 3. 65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」, 老齢年金に加えて受け取れる可能性がある支援制度2つ, 1. 年金生活者支援給付金, 2. 加給年金とは, 「2026年4月から」在職老齢年金の見直しで基準額はいくらに引き上げられる?, 在職老齢年金制度の変更点, 申請が必要な制度を理解し、老後の生活資金を確保しましょう

老齢年金生活者支援給付金を受け取るための条件

・65歳以上で老齢基礎年金を受給していること。

・本人を含む世帯員全員の市町村民税が非課税であること。

・前年の公的年金などの収入額と、その他の所得の合計額が、生年月日に応じた基準額以下であること。

※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は、この計算に含みません。

※2 所得の合計額が上記の基準額をわずかに超える方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される場合があります。

老齢年金生活者支援給付金の基準額はいくら?

2026年度における「老齢年金生活者支援給付金」の給付基準額は月額5620円です。

前年度と比べ、3.2%の増額となります。

この基準額を基に、保険料の納付状況などに応じて給付金額が計算されます(下記の①と②の合計額)。

老齢年金生活者支援給付金の具体的な計算方法は次のとおりです。

・①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5620円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月

・②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1768円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月

保険料免除期間に乗じる金額は、毎年度の老齢基礎年金額の改定に応じて変動するしくみです。

2. 加給年金とは

「加給年金」は、しばしば「年金の家族手当」とも呼ばれる制度です。

老齢厚生年金を受け取っている方が、条件を満たす年下の配偶者や子どもを扶養している場合に、本来の年金額に加算して支給されます。

加給年金を受け取るための条件

加給年金の対象となるのは、厚生年金の被保険者期間が原則として20年以上(※)ある方です。支給が開始されるタイミングは、被保険者期間が20年に達した時期によって異なります。

65歳到達時点ですでに20年以上ある方:65歳になった時点から

65歳以降に20年に達した方:在職定時改定や退職時改定などの時点から

※中高齢の特例として、40歳(女性などは35歳)以降の厚生年金加入期間が15年~19年で対象となる場合もあります。

上記の時点で、生計を維持している「65歳未満の配偶者」や「18歳になった年度末までの子(または障害等級1級・2級の20歳未満の子)」がいる場合に加算されます。

しかし、配偶者自身が被保険者期間20年以上の老齢厚生年金や障害年金などを受け取っている場合は、配偶者分の加給年金は支給停止となります。

加給年金の支給額について

長生き時代、シニアの生活設計における「仕事」と「年金」のバランス, 就労中のシニアが対象となる雇用保険関連の給付金, 1. 65歳未満の方が対象「再就職手当」, 2. 高年齢雇用継続給付について, 3. 65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」, 老齢年金に加えて受け取れる可能性がある支援制度2つ, 1. 年金生活者支援給付金, 2. 加給年金とは, 「2026年4月から」在職老齢年金の見直しで基準額はいくらに引き上げられる?, 在職老齢年金制度の変更点, 申請が必要な制度を理解し、老後の生活資金を確保しましょう

加給年金の支給額について

2026年度の「加給年金」の年金額は次のとおりです。

・配偶者:24万3800円

・子ども(1人目・2人目):各24万3800円

・子ども(3人目以降):各8万1300円

老齢厚生年金受給者の生年月日に応じて「配偶者の加給年金額」に、3万6000円~17万9900円の特別加算が上乗せされます。

この加給年金は、対象の配偶者が65歳に達すると支給が終了します。

ただし、その後は配偶者の老齢基礎年金に、条件を満たせば「振替加算」として一部が引き継がれる仕組みがあります。

「2026年4月から」在職老齢年金の見直しで基準額はいくらに引き上げられる?

2025年6月13日に年金制度改革関連法が国会で成立し、多様化する働き方や生活様式に対応した制度への見直しが進められています。

この改正には、パートタイマーなどの社会保険適用拡大や遺族年金制度の見直しといった複数の重要な変更点が含まれています。

本稿では、その中でも特に就労するシニア世代に大きな影響をおよぼす「在職老齢年金制度の見直し」について詳しく解説します。

在職老齢年金制度の変更点

長生き時代、シニアの生活設計における「仕事」と「年金」のバランス, 就労中のシニアが対象となる雇用保険関連の給付金, 1. 65歳未満の方が対象「再就職手当」, 2. 高年齢雇用継続給付について, 3. 65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」, 老齢年金に加えて受け取れる可能性がある支援制度2つ, 1. 年金生活者支援給付金, 2. 加給年金とは, 「2026年4月から」在職老齢年金の見直しで基準額はいくらに引き上げられる?, 在職老齢年金制度の変更点, 申請が必要な制度を理解し、老後の生活資金を確保しましょう

2026年4月スタート 働きながら年金を受給する皆さま 在職老齢年金制度が改正されます

在職老齢年金制度とは、60歳以降に老齢厚生年金を受け取りながら働く場合に適用される仕組みです。年金の月額(※)と給与・賞与などの報酬の合計が一定の基準額を上回ると、年金の一部または全額が支給停止となります。

※老齢基礎年金は、この制度の対象外であり、収入にかかわらず全額支給されます。

年金が全額支給される基準「支給停止調整額」の変更

年金が支給停止となる基準額(支給停止調整額)は、毎年度改定されています。

・2022年度:47万円

・2023年度:48万円

・2024年度:50万円

・2025年度:51万円

2026年度:65万円

今回の法改正により、2026年4月からはこの基準額が2025年度の51万円から65万円へと大幅に引き上げられます。

厚生労働省の試算によると、この変更によって約20万人が新たに年金を全額受け取れるようになると見込まれています。

基準額の引き上げは、年金の減額を理由に就労時間を調整していたシニア層が、より柔軟な働き方を選択しやすくなることにつながると期待されます。

申請が必要な制度を理解し、老後の生活資金を確保しましょう

高齢者向けの給付金や手当は、個々の就労状況や年金の受給内容によって対象となるかどうかが変わります。

再就職を目指す方、雇用を継続する方、あるいは年金収入を主として生活する方、いずれの場合も自ら申請しなければ受け取れない制度が多いことを覚えておく必要があります。

ご自身が対象となる可能性のある制度を見つけたら、早めに支給条件や申請方法を確認し、受け取れるはずの支援を確実に活用しましょう。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

・内閣府「令和7年版高齢社会白書」第2節 高齢期の暮らしの動向1 就業・所得

・厚生労働省「令和6年簡易生命表」1 主な年齢の平均余命

・厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」

・日本年金機構「年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整」

・厚生労働省「再就職手当のご案内」

・厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」

・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

・日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」

・日本年金機構「か行 加給年金額」

・日本年金機構「加給年金額と振替加算」

・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

・日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」

・日本年金機構「2026年4月スタート 働きながら年金を受給する皆さま 在職老齢年金制度が改正されます」

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