「清掃を科学する」でビルメンテナンス業界の課題を解決。テルウェル西日本の「清掃コンサルティング」ってどんなサービス?

ビル清掃業務のイメージ(テルウェル西日本提供)
オフィスビルの清掃・管理業務をはじめ、さまざまな事業を展開しているテルウェル西日本 (大阪市天王寺区)では、2024年から「清掃コンサルティング」というサービスを提供しています。
美しい職場環境の維持は、働く人にとっての生産性や健康にも影響する重要なポイントです。多くのオフィスビルで、専門の業者に委託する形で行われている清掃ですが、そのコンサルティングサービスと聞くとあまりイメージがわかない、という人も多いのではないでしょうか。
「清掃コンサルティング」とはどのようなサービスで、どんなメリットがあるのか。BuzzFeed Japanでは、清掃業界で新たな取り組みを行うテルウェル西日本のコアビジネスプロデュース部門課長の大汐幸正さん、岡本和也さんに詳しく話を聞きました。
「コストカットによる清掃品質の低下」に課題感
――「清掃コンサルティング」を始めたきっかけを教えてください。
近年、清掃業界では人手不足や人件費の高騰、人材の高齢化といったさまざまな理由から、どうしてもコストカットの方向に向かいがちで、結果として清掃品質の低下を招いてしまっているという課題があります。
一方で、経産省が提唱している「健康経営※」の考え方にのっとって、従業員の健康を「コスト」ではなく「投資」と捉える考え方が広がりを見せています。
※従業員などの健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること。
そんな中で、ビルオーナー様が清掃の品質に疑問をいだいても、現状の清掃内容や金額が適正かどうかという判断をするのはなかなか難しいのが現実です。
我々は、これまで長年培ってきたビルメンテナンスに関わる事業の知見を活かして、プロの視点で「清掃の内容を可視化・評価」することで品質とコストのバランスを見直し、オーナー様の悩みを解消したいという思いから「清掃コンサルティング」を始めました。
ビルの清掃は、これまで「見た目の綺麗さ」に重きを置いて行われることが主流でした。
しかし、実際の清掃では衛生面、安全面、建物の維持管理といったポイントも踏まえて適切に行う必要があります。我々はオーナー様に適切な清掃の評価基準を提供すると同時に、「清掃にしっかりと予算をかけて、明確な目的を持って行うこと」の重要性も訴えていき、予算と清掃内容の最適化を図っていきたいと考えています。
客観的なデータを元に「清掃を科学する」

「清掃を科学する」というアプローチ(テルウェル西日本提供)
――「清掃コンサルティング」とはどういうサービスなのでしょうか。
清掃コンサルティングは、「清掃を科学する」をコンセプトに、見た目だけの綺麗さだけではなく、衛生や安全、建物維持の観点から清掃の品質を「数値化」し、最適な清掃業務の運用を設計するサービスです。
具体的には大きく4つのステップがあります。
1つ目のステップは、「インスペクション」という形で、実際に現地に赴いて現状行われている清掃の品質を可視化し、課題の明確化を行います。これにより、従来の清掃のやりとりで発生しがちだった、仕様書の清掃内容が不明確なためにオーナー側も清掃内容の良し悪しがわからない、といった課題を解消します。
2つ目は、インスペクションによる診断結果から、清掃仕様書や手順書をオーナーからの要望や現場に適した形に最適化します。人手不足などの理由からこの段階で清掃ロボットの導入が必要だと判断した場合は、その選定なども行います。
3つ目は、お客様からの要望があれば、新しく作成した清掃仕様書や手順書を清掃の研修や指導を実施します。
最後のステップでは、新たに設計し直した清掃の運用がうまく回っているのかどうかを定期的にチェックし、品質の維持や改善にいたるまで継続的にサポートしていきます。
「清掃コンサルティング」の狙いは、これまで属人的な勘や経験に依存しがちだった清掃の実態を、データに基づいた客観的な運用に変えていくためのサポートをする、という点にあります。
オーナーと清掃業者の間のギャップを解消するサポートを
――清掃コンサルティングを受けることで、ビルのオーナー側にはどんなメリットがあるのでしょうか。
仮にビルのオーナー様が「うちは安い価格で清掃できている!」と思っていたとしたら、その清掃内容は不十分である可能性が高いです。清掃は人の労働力を基準とした労働集約型の業務のため、値段と品質がそのまま比例しやすく、「安い=作業量が少ない」という状態に陥りやすいからです。
そのため、当社では各エリアで標準的な清掃内容と価格の整合をとっています。
一般的にはビルのオーナー様が清掃の仕様書を定めて、それを元に委託先を選定しているケースが多く、清掃の基準が人による主観的なものになりがちです。また、たとえば数十年単位で長期にわたって同じ清掃会社を利用している物件の場合、担当者どうしの長年のやり取りの中で、清掃内容と仕様書に乖離が生じているにもかかわらず、清掃担当者の暗黙知で運用され続けているというケースもあります。これでは人によって該当の清掃をしたりしなかったりとなります。
結果として、オーナー側にとっても清掃会社側にとっても、仕様書と実際の清掃品質のギャップはどうしても生まれてきますし、それが改善されることなく長年放置されているという状況も多く見られます。
清掃コンサルティングでは、オーナー様の提示した清掃仕様書をそのまま受け入れるのではなく、現場調査をした上で最適な清掃業務の運用を提案します。これにより、オーナー様と清掃会社双方のズレをなくすことができます。
また、導入後も定期的にインスペクションを実施し、実際に行われている清掃の品質を評価しつつ、必要に応じて仕様書や手順書の見直しも行っている点も特徴です。

ビル清掃業務のイメージ(テルウェル西日本提供)
――「清掃コンサルティング」では、オーナーが元々契約している清掃会社業者と連携する形で改善していくのでしょうか?
はい、基本的なスタンスとしては、オーナー様と清掃会社様の間に入って、中立的な立場で清掃の品質改善に向けたサポートを行う形です。
清掃コンサルティングでは契約書の内容を改めて見直したり、当初からの流れを紐解いたりといった作業も行うので、お客様から「元々のやり取りの内容が整理できて良かった」と言っていただけることも多いです。
また、お客様から清掃会社の見直しの相談を受けることもありますが、そこはもともと契約されていた清掃会社様とのこれまでのやり取りなどを鑑みて、慎重に行わせていただいています。
「清掃ロボット」によるDXで現場の負担を軽減
――清掃品質の評価基準についての信頼性は、どのような形で担保しているのでしょうか?
清掃コンサルティングのインスペクションでは、「ATPふき取り検査」や「光沢度計」などの汚れ具合を測る測定器を用いたデータを組み合わせ、「どれだけ汚れているか」を可視化します。
収集したデータを元に、ビル清掃に関する技術の有資格者が、目視による清掃状態と計測したデータを総合的に評価します。評価の妥当性は、弊社の有資格者が長年ビルメンテナンスに携わる中で蓄積してきた膨大なデータを元にした、独自の清掃基準と評価指標を用いています。
これにより、どうしても目視で確認するだけでは限界があった建物の衛生状態について、「仕様書通りにしっかりと清掃できているか」を誰がみても客観的な形で評価することができるようになるわけです。
――「清掃コンサルティング」を通じて、どのような社会課題を解決したいと考えていますか?
清掃コンサルティングを通じて「無駄を排除した効率的な清掃」を実現することで、冒頭でお伝えした人材不足や高齢化などによる、清掃業界の抱える課題を解決したいと考えています。
昨今、インバウンドの影響もあり、外国人旅行者が SNS 上で「日本のトイレは驚くほど清潔だ」「共用部の待合スペースが美しい」と発信しています。
こうした評価は、まさに我が国が育んできた わびさびの美意識 と 高い衛生意識・実践 によるものです。この文化を未来へ、そして世界へと広げていける形をつくりたいと考えています。
弊社では、清掃ロボットなどを用いた「DX」も推進しています。これにより、清掃業界に対する汚い、きついといったネガティブなイメージを払拭し、若手の働き手にとっても働きたいと思えるような業界に変えていきたいです。

清掃ロボットの稼働イメージ(テルウェル西日本提供)
――DX化によって実際に現場の負担が軽減されているという実感はありますか?
我々は実際に1200台を超える清掃ロボットを日々運用しているのですが、ロボットを導入した現場の清掃スタッフからも、「ロボットを入れたことで体力的にとても楽になった」という声は実際に多く出ているので、やはり恩恵の大きさを実感しています。
現場の負担軽減という点では、清掃業界特有の「業務開始前までに清掃を終わらせておく必要がある」という点も、人材不足の大きな理由の一つになっています。
たとえば早朝や深夜の作業が発生する点などが、若手の労働者にとって敬遠されるポイントになりがちなので、こうした時間帯の作業はロボットに任せるなど、DXを進めることで負担の軽減をはかっていきたいです。

清掃のDXを進めることで清掃業界の課題解決を目指す(テルウェル西日本提供)
清掃会社を選ぶポイントは「提案力」
――良い清掃会社を選ぶ際のポイントは、どのようなものがあるでしょうか。
まず「提案力」があるかどうかという点が大事です。
建物の種類や用途、利用状況といった情報を照らし合わせて、しっかりコストと品質、効率のバランスについて根拠のある提案ができる清掃会社は信頼がおけると思います。
続いて「契約後も改善や見直しをしてくれる」というところもポイントです。契約後も定期的にインスペクションを行ったり、業務の内容を振り返ったりして、改善につなげられるようなチェック体制が整った清掃会社が良いと思います。
さらに、誰が清掃しても一定の品質を保てるような、教育体制や運用体制が整っているかどうか、その清掃会社の直営の社員や、有資格者がどれくらいいるか、といった点も選定のポイントになります。
――「清掃コンサルティング」事業の今後の展望について教えてください。
今後の展望として「清掃DX」という観点で、3つの目標を掲げています。
1つは、清掃コンサルティングによる点検、教育、運用設計を通じた再現性と品質の高い清掃を実現したいと考えています。
2つ目は、清掃ロボットの運用実績で培ったノウハウを元に、清掃ロボットと人によるハイブリッド運用の標準化を成し遂げ、今後ますます加速する人手不足に対応していきたいです。
3つ目は、将来的には、ICT を活用した運用プラットフォームを構築し、AI と連携しながら清掃データをはじめとするあらゆる現場データを収集・活用することで、ビルメンテナンス業界が抱える「3K(きつい、汚い、危険)イメージ」を払拭し、次世代を担う若手が「働きたい」と思える魅力的な産業へ転換していきたいと考えています。

ビル清掃業務のイメージ(テルウェル西日本提供)
担当者のプロフィール情報
営業推進部
コアビジネスプロデュース部門
ロボティクス事業担当
担当課長 大汐 幸正
営業推進部
コアビジネスプロデュース部門
ロボティクス事業担当
岡本 和也