年収1500万円以上の共働き世帯が「一般世帯の2.7倍」支出している項目とは?

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お金持ちといえば、高級バッグやブランド物を好むイメージだが、実際に世帯年収3000万円を超えるスーパーパワーファミリーたちはどんな服を着ているのか?彼らの声を直接聞く中で見えてきた、見栄や流行とは違う合理的な洋服選びとは?※本稿は、コンサルタントの竹中啓貴、荒井匡史、野口幸司『「いつの間にか富裕層」の正体 普通に働き、豊かに暮らす、新しい富裕層』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。

世帯年収1500万円以上を誇る

「パワーファミリー」の実態

「スーパーパワーファミリー」(編集部注/潤沢なキャッシュフローを有する共働き高所得世帯)の基本的な属性情報について、統計データやインタビュー結果をもとにご紹介します。

 世帯年収3000万円以上の層は通常のアンケートではサンプル数が集まりにくいため、より広範な「パワーファミリー(注1)」に該当する層の統計情報や、限られたサンプルでの分布状況も加味しつつ、NRI(編集部注/株式会社野村総合研究所)が実施したインタビュー結果を踏まえてご紹介します。

 まずは世帯構成ですが、子あり世帯の比率は高いと考えられます。総務省の「労働力調査」をみると、個人年収700万円以上の夫婦世帯(世帯年収1400万円以上)における子あり率は2024年で67%になります。

 10年前である2014年当時の子あり比率は57%ですので、この10年間で子あり世帯比率は、10ポイント増加したことになります。働き方改革などの取り組みにより子育てと仕事を両立しやすい就業環境が整ってきたことが原因だと思われます。

(注1)日経クロストレンドでは、「世帯年収1500万円以上・個人年収700万円以上・共働き」をパワーファミリーとして定義しており、ニッセイ基礎研究所では夫婦ともに700万円以上の収入がある夫婦をパワーファミリーと定義している。

 またNRI生活者1万人アンケート調査(金融編)において、世帯年収1500万円以上で、夫婦ともに個人年収が約700万円以上である方はN=29名で、その中で子ありと回答した方はn=20ほど出現しており、同様の傾向が見て取れます。

 過去に子どもを持たない選択をするDINKSという家族形態が注目を集めましたが、スーパーパワーファミリーは子どもを有しながら豊かな生活を送っているという実態があります。

持家で支出を抑えつつ

資産運用で賢く資産形成

「スーパーパワーファミリー」は、大手企業に勤める共働き世帯が30代後半で突入し始めるケースが多く、年代分布としては40代、50代が中心であると思われます。夫婦ともに30歳前後で個人年収1000万円(世帯年収2000万円)が見え始め、管理職に登用される30代後半から、個人年収が1500万円となり、「スーパーパワーファミリー」の仲間入りをするイメージです。

「スーパーパワーファミリー」の金融資産残高については、個々の支出状況やライフイベントによる変動があるため、一概に断定することは難しいものの、50代で金融資産を1億円近く保有する可能性が高いと考えられます。

 例えば、30歳前後から世帯年収1500万円を超え、40歳で世帯年収3000万円を超えるようなケースを前提とすると、持家などで支出を押さえつつ、積極的に預貯金や運用に取り組む世帯では、50代で1億円近くになるケースも想定できます。

 さらに、確定拠出年金などの企業年金分を含めると、退職時には一定の金額の金融資産を保有することが見込まれます。40代以下のパワーカップルは住宅ローンなどの借入があったとしても、近年の相場環境から期待される資産運用利回りを前提に、借金をしつつも資産運用にお金を積み立てる傾向にあります。

「スーパーパワーファミリー」が

お金をかけている分野は?

 具体的な「スーパーパワーファミリー」の消費支出の実態を詳しく見ていく前に、データで見られる範囲で、一般的な共働き世帯と高所得共働き世帯の消費の違いを把握しましょう。

 総務省「家計構造調査」から、年収1500万円以上の高所得共働き世帯(子ども2人)の月間消費支出額を集計して、一般的な共働き世帯(世帯年収1500万円未満、子ども2人)の集計結果と比較してみます。月間の消費支出額を比べると、高所得共働き世帯が51万円、一般的な共働き世帯が29万円で2倍近い差がみられます。

 支出分野を中項目分類で見てみると、「住居」、「被服及び履物」、「教育」、「教養娯楽」、「その他の消費支出」では、高所得共働き世帯が、一般的な共働き世帯の倍以上の金額を支出しています。高所得共働き世帯が、各分類で月額いくら支出しているのかみてみましょう。

「住居」にかける高所得共働き世帯の費用は月額3.2万円で一般世帯の1.4万円の2.3倍になっています。その中でも「設備修繕・維持」費は3.2万円のうち、1.9万円を占めており、一般世帯の3.8倍です。住宅や庭などの設備器具や維持費に、特にお金をかける傾向にあることがわかります(編集部注/「家計構造調査」における住居費は、主に「家賃・地代」と「設備修繕・維持費」から成る。家賃ゼロの持ち家世帯なども含めた平均値であるため、一般的な家賃・地代相場からは乖離した数値となる)。

「被服及び履物」は月額3.1万円で、一般世帯の2.5倍になっています。「洋服」や「シャツ・セーター類」が大部分を占めます。

「教育」は月額7.2万円で、一般世帯の2.7倍です。「授業料」が5.7万円、「補習教育」が1.4万円であり、この2つの項目で大部分を占めています。

家族との時間や健康など

生活の豊かさを重視

「教養娯楽」は月額5.5万円で、一般世帯の2.1倍です。ピアノ等に代表される「教養娯楽用耐久財」は月額1万円で一般世帯の7倍です。

「その他の消費支出」は月額8.8万円で、一般世帯の2倍です。「こづかい(使途不明)」や「交際費」、「仕送り金」などで占められており、これらにかかる支出も一般世帯の倍程度あります。このあたりも、高所得共働き世帯の消費性向が高いと言われるゆえんかと思われます。

 また、中分類項目単位では倍以上の差は見られないですが、小分類項目で大きな倍率の差が見られたのは、「食料」における「外食」(月額3.3万円、一般世帯の2.0倍)、「家具・家事用品」における「寝具類」(月額0.2万円、同3.1倍)と、「家事サービス」(月額0.2万円、同3.3倍)、「保健医療」の「健康保持用摂取品」(月額0.2万円、同2.7倍)、「交通・通信」における「交通」(月額1.4万円、同3.0倍)でした。一方で、光熱費や日雑品、医薬品等、生活の基本となる支出については大きな差異は見られません。

 家族との時間を大切にする外食や、健康のためのサプリメントや寝具といった、豊かさを求めるための消費性向が高く、一般的なマス層との大きな違いと言えそうです。

同書より転載

高価な服を買うときに

重視しているポイント

 先ほどの家計構造調査の分析結果を踏まえると、フローリッチ世帯(編集部注/世帯年収1000万円以上世帯)はファッションへの支出性向は高いと考えられます。

 しかし、「スーパーパワーファミリー」のファッションに対する支出の中身を詳しく見ると、何でもかんでも高級品を買うわけではなく、彼らならではの「お金をかけるポイント」があることがわかります。

〈「スーパーパワーファミリー」の消費行動/ファッション・嗜好品消費など〉

・スーツはお客さんから見えるものなので多少いいものにしていますが、スーツ以外はファストファッションで、いわゆるブランドにはあまり関心がないです。あとは、基礎化粧品にはお金をかけてデパコスを。ファッションではないですが、ベッドにもお金をかけて高額なマットレスを使っています。(50代女性)

・お互いに仕事で使うアイテムは『勝負服』というイメージです。いいものを使って買おうね、という感じで百貨店にてオーダーメイドしたものを着ています。数十万円するようなバッグなどは、以前は買っていましたが、最近は手を出していません。(40代男性)

・カバンやアクセサリーは子どもが生まれた時など、記念のタイミングで買うことが多いです。健康グッズや美容グッズは買ってしまいます。昔買ったルームランナーなどは置きっぱなしになっています。(50代女性)

・私はブランドには興味があまりないし、購入しないですが、妻は一点ものの財布やバッグのブランド物を買うことはあります。ブランド物を買うときはリセールバリューを意識しているようです。ただし、普段は実用性重視です。(40代男性)

・Tシャツはアウトレットで買ったものを2、3年は着ていますね。アウターやバッグなど外からみえる部分は、数十万円するものを数年に一度買って、手入れをして長く使うようにしています。流行り廃りを多少は意識しているので、アウトレットやセレクトショップでコスパのいい服があれば買ったりしますが、年に1回ぐらいでしょうか。(30代男性)

・お金をかけるとしたら、仕事用ですね。私服はファストファッションやセレクトショップで買っています。夫もオーダースーツです。(40代女性)

普段着は安く済ませて

仕事着は良いものを

『「いつの間にか富裕層」の正体 普通に働き、豊かに暮らす、新しい富裕層』 (竹中啓貴、荒井匡史、野口幸司 日経BP)

 ここからうかがえるのは、お金をかけるポイントを絞るメリハリ消費です。普段着はファストファッションなど実用性を重視する一方で、人から見られる仕事着や毎日肌に触れる化粧品など、自分にとって価値が高いと判断したものにはお金をかけています。

 また、仕事道具はパフォーマンスを上げるための「勝負服」と捉えている点が興味深いです。これは見栄のためではなく、プロとしていい仕事をするための大切な道具であるという意識の表れだと考えられます。

 また、アクセサリーや高級バッグのようなアイテムは、記念日など特別な意味を持たせる方が多いように思われます。1つのものを長く大切に使うスタイルもみられ、その上で、購入時には「リセールバリュー」を意識するなど、合理的な視点も持ち合わせています。

 彼らにとっての「良いもの」とは、ブランドロゴを見せびらかすためだけのものではなく、自分の仕事のパフォーマンスを上げたり、日々の生活の質を高めたりする、実利に基づいた自分自身への投資のような側面を持つものだと思われます。