ANAのSFC会員を「改悪」と嘆かせた制度変更 JALに聞いた「JGCはどうなる?」

 全日本空輸(ANA)が4月に、上級会員の制度を変更すると発表して会員たちから悲鳴があがっている、という記事を5月12日に配信した。いま注目されているのが日本航空(JAL)の対応だ。

 ANAでは、ANA便搭乗時などにたまるプレミアムポイントが年間5万ポイントに到達すれば、上級会員であるANAスーパーフライヤーズカード(SFC)の会員資格を得られる。SFC会員になれば空港ラウンジの無料利用、ANAやグループの「スターアライアンス」運航便への優先搭乗などの特典を受けられる。これまでは一度SFC会員になるとクレジットカードの年会費を支払うだけで会員資格を維持できたが、2028年4月からは、クレジットカードやANA PAYの年間決済額が300万円以上ないと、ラウンジ利用などの特典があるSFC「PLUS」の会員資格を失う、と制度変更が発表された。この発表は、特典の優越感に浸ってきた会員たちに衝撃を与え、「改悪だ」という声がSNSにあふれた。

 JALも同様に、上級会員の制度であるJALグローバルクラブ(JGC)がある。JAL系の特定のクレジットカードを持ち、JAL便の搭乗やJALカード、JAL Payでの決済、資産運用、住宅ローンなどでライフステータスポイントがたまり、1500ポイント以上になると会員資格を得られる。JGC会員になると、ANA同様、空港ラウンジの無料利用、JALやグループの「ワンワールド」運航便の優先搭乗などの特典がある。そして、現在のSFC同様、クレジットカードの年会費を支払うだけで、会員資格は継続する。

 ANAの制度変更発表後、SNSでは「JALはどうなるのか」という声が数多くポストされている。とりわけ、「修行」と呼ばれるANAのSFC会員資格を得る目的で搭乗を重ねてきた「修行僧」たちから、ANAからJALへの乗り換えをにおわすポストが多い。

〈SFC改悪を機にJGC修行を始めることにした〉

〈JGCがSFCに続く改悪がないことを祈る〉

■「JALに『修行』が流れている」

 SFC、JGCの会員になって10年以上というAさんは、SNSでSFCやJGCに関する発信も多くしている。Aさんがこう説明する。

「SFCの“改悪”もあってか、かなり『修行』がJALに流れている印象があります。私のところにもJGCに乗り換えようとしているユーザーからたくさんメッセージがありました。『どう修行すればいいか』とサポートを求めてきています」

 ちなみにAさんはその昔、マイルやポイントを獲得するためだけの目的でJALやワンワールドに搭乗する、究極の「修行」をしたことがある。

「日本からニューヨークに飛びます。ニューヨーク滞在時間は17時間。次に南米のチリに行き、一晩を過ごして、オーストラリアにトランジットして帰国しました。『修行』目的のために売られていたチケットのようでしたね。所要3日か4日で、確かチケット代は20万円ちょっと。2万ポイントくらい加算され、その当時では効率がよかった。ただ、『修行』にしてもあまりにハードで疲れました」

 ANAもJALも飛行機に搭乗しなくても、ポイントが加算される制度を導入している。記者にはSFC、JGCのどちらもメンバーになっている知人が10人ほどいるので、一斉にメッセージを送って意見を聞いてみた。多かったのが、JALが2024年から導入したライフステータスプログラムを評価する意見だった。

「JGCも以前は搭乗してポイントをためる方式だったが、JALライフステータスポイントを導入して、さまざまにポイント加算できる道が開けた。ANAよりJALのほうがポイント加算の幅が広く緩やかという感じがする」

 JALのネットショッピングサイト(JALマイレージパーク)から、対象となる他のショップのサイトに入って買い物をすると、JALライフステータスポイントの対象になることを評価する声もあった。SFC、JGCの両会員であるBさんはこう話した。

「JALのサイト経由でApple公式サイトに入って、家族のiPhoneを3台買い替えたので、一気にライフステータスポイントが貯まった。搭乗しなくてもポイントが増える制度はありがたい。JALに制度改悪がなければ、これからはANAを抑え気味にして、JALにシフトしたい」

■「JGC会員資格条件の変更は検討していない」

 JALの幹部に話を聞くと、個人的な見方だと断りながら、こう話した。

「コロナ禍で、うちもANAさんも『修行』をPRしていた面はある。その結果、『修行』ブームのようになり、うちでは上級会員が予想以上に増え、ラウンジの混雑などで長年ご利用いただいているお客様からクレームも聞かれるようになっている。ANAさんも似た状況だそうです。それが制度を変更された理由の1つではないかと思う。現場では、『SFCのようにJGCも制度変更するのか』とお客様からお尋ねがよくあると聞いています。ただ、ANAさんの制度変更に批判の声が多いのを見ると、当面、基本的なところは現行を維持したいと思う」

 JALの広報部にも、JGCの制度変更を検討しているのか聞いた。

「現時点において、JGCの会員資格維持条件について、年間決済額による区分導入への変更を検討している事実はありません。24年からライフステータスプログラムを始めたばかりで、お客様のご利用状況やニーズを注視しながら、最適なサービスを検討してまいります」

 幹部の話と同様で、当面の変更はなさそうだという。では、ラウンジの混雑はどうなるのか。

「一部の時間帯や施設で混雑が発生し、ご不便をおかけしているケースがあることは把握しています。これまでもラウンジ内の座席配置の見直しや運用の工夫など、快適にお過ごしいただくための改善を継続的に行っています。引き続き、設備および運用の両面からさらなる改善に努めてまいります」

 SFCからJGCに「修行」が流れている動きについて把握しているのかも聞いた。

「他社の制度変更に伴うお客様の動向について、具体的に把握していることはありません」

 もっとも、前出のJAL幹部は、こう話していた。

「SNSなどを見ていると、ANAさんの制度改正後、うちのほうで『修行』するという書き込みを見たりすることもあります。うちにお客様が流れて搭乗が多くなることはありがたい。5月下旬から7月はじめは比較的、飛行機も空席が多いシーズンですから」

(AERA編集部・今西憲之)

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