「女性ばかり優遇?」の声に、企業はどう応えるか。りそなが示した“制度の次のかたち”

2005年に発足したりそなホールディングスの社内諮問機関「りそな Women’s Council」。女性従業員のみで構成されていたが、2025年度から男女混合に変わった。
「女性の声を経営に届ける」——その目的で始まった、りそなホールディングスの社内諮問機関「りそな Women’s Council(ウーマンズカウンシル)」。2025年度、その枠組みが大きく変わった。女性限定の構成から、男女混合・手挙げ制へ。背景には、女性活躍の制度整備が一定の成果を上げたこと、そして“すべての従業員の働きやすさ”を見据える視点の広がりがある。
世の中を見渡すと、女性活躍や登用が多くの企業で進められる一方で、「女性ばかりが優遇されているのではないか」といった声が一部で聞かれるようにもなってきた。そうした揺り戻し的な風潮や、ダイバーシティの「その先」を求める空気が、企業の制度設計にも少しずつ影響を与え始めているようにも映る。
女性限定の諮問機関を、なぜ今“男女混合”に?

2025年度の「りそな Women’s Council2.0」の様子。
りそなホールディングスは、社内の女性活躍推進を担ってきた「りそな Women’s Council」について、2025年度から男女混合の体制に変更した。約20年にわたり女性行員のみで構成されてきた、この経営直轄の諮問機関は、女性社員20人前後が1年間かけて議論し、経営陣に制度提言を行ってきた。これまでに育児休業の取得可能期間の延長や、一つ上の職位取得に向けた女性限定の研修制度の実施など、数多くの施策を実現している。
「女性の働きやすさに関する制度は、かなり整ってきました。最近では性別を問わない提言も増えてきていて、であれば多様な考え方を持つ人が集まった方がいい。そう考えて、女性限定をやめることにしました」
りそなホールディングス人財サービス部ダイバーシティ推進室の黒川暁子室長は、制度変更の背景をこう語る。
変更は構成メンバーの性別だけにとどまらない。これまで人材育成の観点から“指名制”で選出していたメンバーを、意欲重視の“手挙げ制”へと切り替えた。名称も新たに「りそな Women’s Council 2.0」と改め、再スタートを切った。
初年度となる2025年度は、女性14人・男性6人で構成。りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、みなと銀行、りそなアセットマネジメント、りそなビジネスサービスのグループ6社からメンバーが集まり、月に1回、対面で一日がかりの議論を重ねる。これを1年間続け、経営陣への提言へとつなげていく。
今年度のテーマは、「人材育成・マネジメント力の向上」と「グループを盛り上げるための施策」の2つ。取材で訪れた会議では、それぞれのチームが机を囲み、ホワイトボードに意見を書き出しながら活発な議論を交わしていた。参加メンバーのひとりである、関西みらい銀行の景山雅也氏は、提言の実効性にこだわりたいと話す。
「議論をまとめて発表して終わり、では意味がありません。制度や施策として経営に反映できるよう、具体性を持った提言にまで落とし込んでいきたい。今参加しているメンバーも、そうした意志を持って集まっていると感じています」
また、りそな銀行の杉山明日香氏は、取り組みの内容そのものに変化を感じているという。
「過去の議事録を読むと、たとえば女性向け住宅ローンの提案など、女性の視点に特化した内容が多く見られました。企業として、女性にフォーカスして制度を整えてきたことは必要な取り組みだったと思います。ただ今年は、そうしたテーマにとどまらず、より広い視野で議論が進んでいる印象を受けます」
原点は「りそなショック」と“女性登用”の必然

りそなホールディングス人財サービス部ダイバーシティ推進室の黒川暁子室長。2000年あさひ銀行(現埼玉りそな銀行)入行。「りそなショック」を経験した一人だ。
「りそな Women’s Council」が発足したのは2005年。先駆的な取り組みとして注目されたが、その背景には、2003年の“りそなショック”がある。りそな銀行は当時、自己資本の不足により経営危機に陥り、公的資金が投入された。処遇の悪化や将来不安などから、当時中核を担っていた男性の総合職が大量に離職。外部採用も難しい状況下で、「今いる人材を最大限に活用する」ことが急務となった。
黒川氏はこう振り返る。
「活躍の余地が大きかったのが女性社員でした。そこから、管理職登用や女性支店長の抜擢が一気に進みました」
実際、再建を主導した細谷英二氏によって、女性支店長が5人誕生。「りそな Women's Council」も、こうした流れの中で生まれた。
「当時はまだ、女性の声が経営や制度設計に十分反映されていない時代でした。女性が働き続けたいと思える会社にしたい、女性のお客さまから選ばれる会社にしたい——そんな思いが原点でした」(黒川氏)
こうして比較的早い段階から女性活躍を推進してきた、りそなグループ。背景には「進めざるを得なかった」という事情もあるが、その積み重ねが成果につながっている。
現在、りそなグループの女性管理職比率は34.4%(2025年3月末時点)。他の大手金融機関が20%前後にとどまる中で、突出した数値だ。もちろん、男女平等が完全に実現されたわけではない。だが、国内の大企業の中では先進的な取り組みを進めてきた企業の一つと言える。