日本株、アメリカの金利低下で恩恵を受ける「プロ厳選・日本株5選」【新NISA】
金をはじめとする貴金属価格の高騰がとまらない。世界の共通資産として価値が認められる金は「有事の金」とも呼ばれ、経済危機や紛争などの混乱時には、投資家による安全資産としての評価が高まる傾向が強まる。また、近年の米国の政策金利引き下げ観測も追い風となっている。金は金利を生み出さないため、一般的に実質金利(名目金利からインフレ率を引いたもの)が低下する局面で相対的な価値が高まりやすい。
貴金属価格が歴史的な高値を更新していることで、「都市鉱山」への関心も改めて高まっている。使用済みの家電、パソコン、携帯電話などには貴金属やレアメタル(希少金属)が使用されているが、都市鉱山から希少資源を抽出・分離する採掘プロセスでは、多くのコストと手間がかかることが課題だ。
放っておけば単なる廃棄物でしかないが、地球から採掘できる資源には限りがあることは言うまでもない。金を現在の採掘ペースを維持すれば、10年から20年で枯渇するとの試算もある。ここ数年の貴金属価格の高騰により処理コストを考慮しても、都市鉱山からのリサイクル事業が当面は利益を確保できるとの見方が強まっているのだ。
また、希少資源の安定確保という観点からも、都市鉱山の重要性は増している。資源に乏しい日本は、希少資源のほぼすべてを輸入に頼る一方、スマートフォンやパソコンなどの電子機器の廃棄が多く、都市鉱山に蓄積された希少資源の量は、世界有数の資源国に匹敵するとも言われている。貴金属価格の高騰で評価が高まる企業へ改めて注目したいところだ。

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三井金属(5706)
■株価(9月5日時点終値)10550円 配当利回り(予)1.85%
技術力を活かしたエレクトロニクス分野の製品で高い世界シェアを誇っている。特に半導体パッケージ基板向けの極薄銅箔は、世界シェア95%以上を占める看板製品だ。スマートフォンの小型化や高機能化に不可欠な素材であり、リサイクル銅を100%使用するなど、環境にも配慮した生産体制も強みとしている。
特にAIデータセンターのサーバー用途の電解銅箔「VSP」は、需要拡大に伴って販売数量が大幅に増加している。会社側もAI・データセンター関連の旺盛な需要を取り込む構えで、生産能力の増強を進めている。AIサーバーなどに使われる基板材料の生産能力は、2026年3月までに現状の約1.6倍に増やす計画だ。
2026年3月期から2028年3月期を期間とする新しい中期経営計画では、銅箔事業のROIC(投下資本利益率)目標を、2025年3月期の実績27%から、2028年3月期には39%へ、さらに2031年3月期には49%まで向上させることを目指している 。また、DOE(株主資本配当率)3.5%に基づく安定配当も注目に値しよう。
三菱マテリアル(5711)
■株価(9月5日時点終値)2598.5円 配当利回り(予)3.85%
ビジネスモデルを「精鉱製錬」(鉱石から金属を取り出すこと)から「リサイクル製錬」(使用済み製品などから金属を回収すること)へ転換中の同社にとって、貴金属価格の高騰は収益力の改善を促す追い風となる。注力する「都市鉱山」事業では世界最大級の処理能力を誇り、長年にわたり培ってきた高い製錬技術を強みとしている。

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一方、中期経営計画2030のフェーズ1(2024年3月期~2026年3月期)は、外部環境の変化への対応が不十分だったため、大幅に下回る見通しだ。そのため、フェーズ2(2027年3月期~2031年3月期)の計画を練り直す事態に直面している。 2027年3月期から始まる新たな中期経営計画の内容次第では、成長性への評価も株価に加わる期待があろう。
同社は廃電子基板からの銅リサイクルの比率を高めることで収益性の改善を図っており、現在年間約16万トンを受け入れる処理能力を、30年度までに1.5倍の24万トンまで拡大させる計画だ。2026年3月期は、構造改革費用の計上により利益計画を下回る可能性があるものの、会社側は「量から質への転換」や「柔軟な投資配分」にスピード感をもって取り組む方針を示している。
JX金属(5016)
■株価(9月5日時点終値)1474.5円 配当利回り(予)1.22%
銅製錬などを手掛ける金属・リサイクル事業の投下資本利益率(ROIC)を数年間で倍増させる計画を掲げ、設備投資計画を前倒しで進めている。茨城県ひたちなか市では、新たなリサイクル拠点の「ひたちなかリサイクル物流センター(HRC)」を開設する計画だ。

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都市鉱山に眠る銅を原料として活用することで、銅製錬事業の製錬マージンの改善を狙うHRCでは、日本全国だけでなく、欧米やアジアからも銅スクラップを受け入れることが可能で、同社のリサイクル比率を2040年までに50%以上に高めることを目指す。
技術面では、使用済みEV電池などのリサイクルにおいて、熱処理を行う従来の手法を改良し、貴金属の回収率を90%まで高めていることも強みとなる。今後の収益牽引役では、半導体材料などの先端素材事業も注目できる。最先端半導体のライン増強が活発化するなか、中長期的には半導体用スパッタリングターゲット(半導体製造で薄膜を形成する際に使用される金属の塊)を中心としたポートフォリオシフトが進めば、さらなる企業価値の高まりが期待できそうだ。
AREHD(5857)
■株価(9月5日時点終値)2160円 配当利回り(予)3.70%
国内首位級の貴金属リサイクルを主力事業とする同社は、使用済み製品から貴金属を回収するリサイクルビジネスを国内外で展開している。歯科医療分野、エレクトロニクス分野、宝飾品分野など、幅広い分野の貴金属回収を手掛けている。

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2026年3月期第1四半期の連結営業利益は前年同期比63.9%増と大幅な増益を達成した。金を中心とする貴金属の販売数量が増加したほか、価格上昇も大きな追い風となったようだ。2025年4月には坂東工場第2期工事が竣工しており、自動車触媒などの処理を開始した。さらに10月頃には、エレクトロニクス分野の処理も始める予定だ。
また、北米では、鉱山由来の精錬・加工事業に加え、戦略的に貴金属リサイクルビジネスを拡大させている。世界的に貴金属リサイクルの重要性が高まるなか、多様な事業展開と設備投資により、さらなる回収量増加と収益性向上に繋がる期待を高めている。環境保全事業として手掛ける産業廃棄物の収集運搬や中間処理についても、業界再編が進むとみられ、事業成長の余地が高まる期待がある。
住友金属鉱山(5713)
■株価(9月5日時点終値)4194円 配当利回り(予)3.12%
ニッケル、銅、金などの鉱山開発・製錬事業を主力事業とする同社は、貴金属価格の高騰を背景に、使用済み電気自動車(EV)電池からの貴金属回収に注力している。2026年からは愛媛県内の2工場で、使用済みEV電池から希少金属を回収する設備の稼働を開始する予定だ。
ニッケル製錬技術における世界的な競争優位性を持つ同社による希少金属回収設備の稼働は、供給制約リスクの高いレアメタル(希少金属)などの安定供給に貢献する期待もある。2026年3月期から2028年3月期を対象とする「中期経営計画2027」では、金鉱山プロジェクトであるコテ金鉱山や、チリのケブラダ・ブランカ銅鉱山の戦力化、電池材料事業の立て直し、製錬事業の競争力強化などを掲げている。収益化の確度が高まれば、企業価値の向上に繋がろう。
定量的な目標では、2028年3月期における税引前利益1,400億円を目指す。また、株主還元方針を強化し、DOE(株主資本に対する配当額の割合を示す指標)の下限を従来の1.5%から2.5%に引き上げるとしている点も注目だ。
政府では「グリーンイノベーション基金」などを通じて技術開発への支援を進めるほか、企業や自治体との連携で資源を集約し、スケールメリットを活かすことに取り組んでいる。関連企業の収益環境がさらに整えば、都市鉱山は一転して「宝の山」へ変貌する期待もあろう。株価の調整局面では配当利回り面の魅力が高まりやすい銘柄が多いことからも注目したい。
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