不二家のブランド力を結集! 新業態「ペコちゃんmilkyドーナツ」とは
菓子メーカー大手の不二家(東京都/河村宣行社長)がドーナツを軸に据えた新業態「ペコちゃんmilkyドーナツ」を次々と出店している。24年9月、神奈川県海老名市に1号店を出店したのを皮切りに、現在、全国で8店舗を展開する。不二家の持つ“ブランド力”が結集したドーナツ特化の新業態について、担当者に話を聞いた。

ペコちゃんmilkyドーナツ有明ガーデン店
ドーナツ特化の新業態、全国で8店舗を展開
ケーキ屋や洋菓子などの製造を手がける老舗菓子メーカーの不二家は、洋菓子やレストラン、カフェなどを運営する外食企業としての側面も持つ。
そんな不二家が創業114年を迎えた24年にオープンしたのが、ドーナツを軸に据えた新業態「ペコちゃんmilkyドーナツ」だ。同年9月、神奈川県海老名市の商業施設「ビナウォーク海老名」のフードコート内に「ペコちゃんmilkyドーナツ ビナウォーク海老名店」を出店した。
同業態のメーン商品である「milkyドーナツ」(各175円:以下税込)は、不二家の看板商品であるキャンディ「ミルキー」風味に仕上げたドーナツであり、プレーン、チョコレート、いちごの3種類を基本のラインアップとしている。ほかにも、中にミルキー風味のクリームを入れた「milkyクリームドーナツ」(199円)や、プレーンのmilkyドーナツを一口サイズにした「milkyボールドーナツ」(5個入り230円)などの常設メニューに加え、季節限定商品も並べる。

「milkyドーナツ」、左からプレーン、いちご、チョコレート(各175円)

中にミルキー風味のクリームを入れた「milkyクリームドーナツ」(199円)。包み紙はミルキーと同じデザインがあしらわれている
また、店舗のファサードにあしらわれた不二家のおなじみのキャラクターである「ペコちゃん」がドーナツをかじっているロゴマークも印象的だ。テイクアウト用のボックスにも同様のロゴがあしらわれており、新業態といえども、見た目だけで不二家の店舗・商品であることをお客に印象付けている。
1号店のオープン後、25年1月に2号店「有明ガーデン店」(東京都江東区)、2月に3号店「横浜ワールドポーターズ店」(神奈川県横浜市)を立て続けに出店。3月にはテイクアウト専門の4号店「目白駅店」(東京都豊島区)と、5号店「テラスモール松戸店」(千葉県松戸市)もオープンし、関東圏で順調に店舗網を拡大していった。
さらに4月に入ってからは神奈川県3店舗目の「イオンモール座間店」のほか、兵庫県に「エビスタ西宮店」、福岡県に「博多バスターミナル店」を出店。現在全国8店舗を展開する。
不二家で洋菓子事業本部営業本部長を務める金田剛氏は「1号店が想定以上に多くのお客さまに来店していただけたため、注目度が高まり、2号店、3号店と出店をスムーズに進められた。どの店も行列が絶えず、すでに多くのお客さまに支持をいただいている」と手応えを語った。

不二家で洋菓子事業本部営業本部長を務める金田剛氏
ドーナツ×ミルキーで生み出した新たな商品
そもそも、主に洋菓子店を展開する不二家が、なぜこのタイミングで“ドーナツ”の新業態を展開しようと考えたのか。金田氏は「多くのお客さまに不二家の商品を楽しんでいただきたいという思いがある。不二家というブランドを長く、多くの人に支持していただくには、新しい取り組みが必須となってくる」と語る。
実は不二家では、昭和30年代から「ソフトドーナツ」という商品を販売し続けている。柔らかい食感のドーナツに粉砂糖をまぶしたものだ。現在は毎週金曜のみ、地域限定での販売に留まってはいるものの、いまでもお客に好評で長年親しまれている商品だという。
他方で国内では、22年にオープンしたドーナツ専門店「I’m donut?(アイムドーナツ)」がヒットの火付け役として知られる柔らかくしっとりとした食感が特徴の「生ドーナツ」をはじめとして、若者の間で「第5次ドーナツブーム」が巻き起こっているとされている。
こうしたなか、ドーナツに造詣が深い役員からのアドバイスにより、同社で長年親しまれるソフトドーナツと、看板商品であるミルキーを組み合わせた“不二家らしい商品”が作れないかと考え、24年の春頃から商品開発に着手。ミルキーの風味を感じられる「milkyドーナツ」の開発に成功した。

ショーケース(提供)
「ペコちゃんmilkyドーナツ」の主なターゲット層は若者世代だ。実際、同商品は若手のメンバーが中心となり、開発されたという。不二家の社員の平均年齢は36.1歳と、業界内でも比較的若く、金田氏は「普段から若者目線の意見やアイデアを取り入れる風土がある」と話す。「ペコちゃんmilkyドーナツ」の商品開発においては、ターゲットである若者世代をねらいつつも、“自分たちでも買いたくなるような商品”を軸に開発に取り組んでいるという。
自社ブランド力のシナジーで出店の幅を拡大
「ペコちゃんmilkyドーナツ」の開発は、不二家にとって出店の選択肢が大きく広がることにもつながっている。同社によると、主力業態の洋菓子店は昨今、大型のショッピングモールや駅ビルなどへの出店がメーンとなっているという。しかし、洋菓子店は取り扱いアイテム数が多いため、冷蔵ケースやギフト棚など、一定の販売スペースの確保が必要となる。
一方で、「ペコちゃんmilkyドーナツ」は商品数を絞り込んでいることに加え、販売する商品は工場で製造して輸送するため、店舗内にキッチンを設ける必要がない。最低限のオペレーションのもと、限られたスペース内で、少数のスタッフにより運営ができるフォーマットとなっている。
つまり、洋菓子店ほどスペースを必要としない「ペコちゃんmilkyドーナツ」は、不二家として今まで検討しづらかったフードコートなどの比較的狭いスペースにも出店が可能なフォーマットなのだ。さらに、必要なスタッフの数も洋菓子店舗より少なく、人手不足が深刻な昨今でも展開がしやすい。将来的には会社全体の売上の底上げにつながる事業に成長させていく方針だ。
不二家は、伝統的な商品であるドーナツと、看板商品である「ミルキー」、おなじみのキャラクターの「ペコちゃん」というブランド力の結集で生まれた「ペコちゃんmilkyドーナツ」で、新たな価値創造のチャレンジを進めていく。