年金は確定申告が必要?【確定申告不要制度】老齢年金「国民年金・厚生年金」の受給者で確定申告が必要な人・不要な人とは?!
老齢年金の受給額(月額)も一覧表でチェック

年金は確定申告が必要?【確定申告不要制度】老齢年金「国民年金・厚生年金」の受給者で確定申告が必要な人・不要な人とは?!
もうすぐ10月、2025年も残すところ3カ月あまりとなりました。
今年65歳を迎え、国民年金や厚生年金の受給が始まった方の中には、「年金って確定申告が必要なの?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
原則として、1年間(1月1日~12月31日)に所得がある場合には、所得税や復興特別所得税を納める必要があります。では、公的年金を受給する高齢者の場合、確定申告は必ず行わなければならないのでしょうか。
実は、「確定申告不要制度」によって、一定の条件を満たす方は申告を省略できる仕組みがあります。
本記事では、老齢年金受給者にとっての確定申告の必要性や、その判断基準について分かりやすく解説していきます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
そもそも「確定申告」って何?
確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの所得について「所得額」とそれに応じた「税額」を決定する手続きのことを指します。
申告の期間は原則として翌年の2月16日から3月15日までであり、この間に所得税および復興特別所得税を納める必要があります。
【公的年金】「国民年金・厚生年金」の受給者は確定申告が必要なの?
老後の収入の柱となる公的年金(国民年金・厚生年金)は「雑所得」に区分されるため、原則として所得税や復興特別所得税の確定申告が必要となります。
ただし、一定の条件を満たしている場合には申告を行う必要がなく、この仕組みは「確定申告不要制度」と呼ばれています。
確定申告が不要になる「確定申告不要制度」とは?
以下の2つの条件をいずれも満たす場合、「確定申告不要制度」の適用を受けることができます。
・公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
・公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である

確定申告不要制度のフローチャート
「公的年金等」に含まれる所得例をチェック
・国民年金や厚生年金
・共済組合
・恩給
・厚生年金基金
・国民年金基金 など
「公的年金等に係る雑所得以外」の所得例をチェック

公的年金等に係る雑所得以外の所得
◆給与所得(例:給与・賞与・パート収入など)
・給与等の収入金額ー給与所得控除=給与所得
◆公的年金等以外の雑所得(例:個人年金・原稿料など)
・総収入金額ー必要経費=公的年金等以外の雑所得
◆配当所得(例:株式の配当金・投資信託の分配金など)
・収入金額ー株式などの元本取得に要した負債の利子
◆一時所得(例:生命保険の満期返戻金)
・(総収入金額ー収入を得るために直接要した金額ー特別控除額【最高50万円】)×1/2
所得とは、収入額から必要経費を差し引いた残りを意味します。
各種所得については、上記の内容をもとに計算してください。
確定申告が必要か不要かは「公的年金等の源泉徴収票」で確認できる
確定申告の対象となる期間に、自分が公的年金をどれだけ受け取ったかは「公的年金等の源泉徴収票」で確認できます。
以下は公的年金等の源泉徴収票の見本です。

公的年金等の源泉徴収票
(1)「支払金額」に記載されているのは、税金や社会保険料が差し引かれる前の年間年金受給額です。
この金額が400万円以下であり、かつ他に年間20万円を超える所得がない場合には、確定申告をする必要はありません。
公的年金等の「源泉徴収票」はいつ・どこで見れるの?
公的年金等の源泉徴収票は、郵送に加え、マイナポータルやねんきんネットからも確認できます。
以下は令和6年分の発行スケジュールです。
・郵送:1月上旬頃より順次発送
・マイナポータル:1月上旬頃にマイナポータルの「お知らせ」に電子送付
・ねんきんネット:1月上旬頃より確認可能
公的年金「国民年金・厚生年金」の受給額は平均いくら?
国民年金や厚生年金といった公的年金の収入が年間400万円を超える場合、確定申告の対象となります。
年額400万円は、月額にするとおよそ33万円に相当します。
一方、厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、国民年金の平均月額は約5万円、厚生年金(国民年金分を含む)の平均月額はおよそ14万円となっています。
こうして比較すると、確定申告不要制度の基準である「年金収入400万円超」とは大きな差があるように見えます。
では、実際に年金収入が年間400万円以上の人は存在するのでしょうか。
そこで、現役時代の加入状況によって金額が大きく異なる点を踏まえ、同資料にある年金受給額の分布を確認してみましょう。
国民年金の受給額(月額)をチェック

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
国民年金《平均年金月額》
・〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
国民年金は、満額を受給しても月額6万9308円、年額にして約83万円にとどまります。
そのため、年金以外の収入が年間20万円を超えない限り、確定申告を行う必要はありません。
厚生年金の受給額(月額)をチェック

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
※記事内で紹介する厚生年金保険(第1号)の年金月額には国民年金の月額部分も含まれています。
厚生年金《平均年金受給額(月額)》
・〈全体〉月額:14万6429円
・〈男性〉月額:16万6606円
・〈女性〉月額:10万7200円
厚生年金は、現役時代の収入水準によって受給額が変動するため、月33万円・年400万円を超える人が存在する可能性はあります。
とはいえ、実際に月30万円以上を受け取っている人は1万4292人にとどまり、全体のごくわずかな割合です。
したがって、公的年金以外に年間20万円を超える収入がなければ、年金収入のみで確定申告が必要となるケースは極めて限られているといえるでしょう。
年金受給者の「確定申告に関する留意点」は何がある?
確定申告不要制度の対象であっても、所得税や復興特別所得税の還付を受ける場合には申告が必要となります。
また、公的年金に係る雑所得以外の所得が20万円以下で、所得税や復興特別所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が求められるケースがありますので注意が必要です。
確定申告に関しては所轄の税務署へ、住民税についてはお住まいの市区町村窓口で確認・相談するようにしましょう。
まとめ
この記事では、老後に受給する年金の確定申告について、制度の概要や確定申告が必要になるケースと不要になるケースについてそれぞれ確認していきました。
確定申告の要・不要は、年金受給額も重要な要素の一つではありますが、それ以外の収入がどれくらいになるのかも大きく影響してきます。
最近ではシニア世代でも仕事を継続している人が増えています。年金を受け取りながら仕事をして収入を得ている場合には注意が必要です。
確定申告のことを忘れており、うっかり申告漏れや期日が過ぎることのないように注意しましょう。
参考資料
・国税庁「公的年金等を受給されている方へ」
・日本年金機構「令和6年分 公的年金等の源泉徴収票」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」