【S&P500投信、2025最安は2年連続でコレだった】eMAXIS Slim、はじめてのNISA、楽天・プラス対決/新NISA応援

「eMAXIS Slim」「はじめてのNISA」「楽天・プラス」の2025年の運用報告書がそろった。S&P500のインデックス投信の今期最安はどれだ?【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025冬号」から抜粋しています】

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 新NISAでは米国の株価指数S&P500に連動するインデックス投資信託(以下、投信)も人気。SBI証券投資情報部シニア・ファンドアナリストの川上雅人さんに、選び方の基本を聞いた。

「新NISAのつみたて投資枠では年間120万円まで、つみたてられます。1カ月に換算すると10万円。長期でつみたてるならインデックス投信が定番。

 中身が同じS&P500なら、運用中にかかるコストが安い投信を選べば、自然にリターンはよくなります」

 S&P500に連動するインデックス投信は米国株500銘柄をまとめ買いしてくれる。

「人気の『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の組み入れ比率を調べると、1位がエヌビディアで7.7%、2位はマイクロソフトで6.7%、3位はアップルで6.6%でした(2025年9月30日現在の月次レポートより/以下同)。4位以下も米国の巨大IT株が並びます」

 S&P500の投信って、どれくらい儲かるんですか? 全世界株式とどっちが上?

「eMAXIS Slimの場合、過去3年のリターンはS&P500が95.0%、全世界株式が89.9%です。

 過去1年ではS&P500が22.4%、全世界株式が22.1%と差が縮まっています。2025年は米国株にわずかな陰りが見えています」

 ただ、米国株はこの先10年、AI技術の進化により世界最強の座に君臨し続ける可能性が高い。

 もしS&P500と全世界株式のどちらかで迷うなら、両方を半分ずつ買って心の平穏を。その場合、米国株比率が約80%になる。

■激安3本はコレ

 S&P500に連動するインデックス投信で新NISAのつみたて投資枠対象になっているのは全19本(2025年10月31日現在、金融庁資料/以下同)。

 米国に上場するほぼすべての銘柄に投資する「全米株式」の投信は2本。これらの中から主なものを次ページの表にまとめた。

 その表を見れば明らかだが、S&P500のインデックス投信で、信託報酬と呼ばれるコストが安いものは限られている。本誌が推すのは3本。

●「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(以下、eMAXIS Slim)…運用/三菱UFJアセットマネジメント

●「はじめてのNISA・米国株式インデックス(S&P500)」(以下、はじめてのNISA)…運用/野村アセットマネジメント

●「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」(以下、楽天・プラス)…運用/楽天投信投資顧問

 信託報酬は楽天・プラスが0.077%(年率、税込み、上限/以下同)でパンフレット表示上では最安。

 eMAXIS Slimは0.0814%以内。

 はじめてのNISAは0.09372%。

 eMAXIS Slimは純資産総額が増えると信託報酬が安くなる方式なので、2025年10月21日現在の純資産総額(8兆9070億円)から計算すると、現在の信託報酬は0.07672%。この3本の中で実質最安だ。

「信託報酬の差は表示上の最大で0.01672%。100万円に対して167円程度です。

 直近1年のリターンは『eMAXIS Slim』が22.37%、『はじめてのNISA』と『楽天・プラス』が22.35%。ほぼ同じです」

 と川上さん。そのわずかな差を競っているのに冷静すぎる!

■2025年最安ファンド

 さて、気を取り直して比較。これら3本の2025年の運用報告書が出そろったので、信託報酬だけでは見えないコストまで含めて表にまとめた。

 保管費用、監査費用などの「その他コスト」もプラスした「総経費率」は? さらに、総経費率に売買手数料や税金を加算した「トータルコスト」は? S&P500の投信、2025年の最安対決、結果発表!

【総経費率で最安は?】

●楽天・プラス…0.087%

●eMAXIS Slim…0.09591%

●はじめてのNISA…0.111%

【トータルコストで最安は?】

●楽天・プラス…0.089%

●eMAXIS Slim…0.09791%

●はじめてのNISA…0.117%

 本誌は全世界株式のコスト比較(全世界株式コスト比較の記事はこちら)も行っている。

 全世界株式の信託報酬は楽天・プラスが最安だが、総経費率やトータルコストで比較すると、はじめてのNISAが最安になるという逆転劇があった。

 それに比べて、こちらのS&P500は信託報酬の低い順と、順当な結果である。総経費率で見ても、トータルコストも、楽天・プラスが今期の最安となった。

 楽天・プラスを運用する楽天投信投資顧問代表取締役社長の東眞之さんから控えめなコメントが寄せられた。

「お客さまにご支持いただき、純資産総額も成長してきました。良質な運用成果をお返しすべく、費用面でも徹底的にコスト削減に取り組んだ結果と感じております」

 2023年10月27日の設定から約2年だが、純資産総額は7369億円(2025年10月21日現在)まで増加した。

 楽天・プラスシリーズは楽天証券専売で、保有残高に応じたポイントプログラムを実施している。

「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」は保有残高に応じて年率0.028%の楽天ポイントがつく。

 コストの内訳を見ると、保管費用などが他の2本より低かった。

■規模がコストに影響

 eMAXIS Slimは総経費率、トータルコストのいずれも楽天・プラスの次だった。

「『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』は期中の2025年1月25日に信託報酬の引き下げを実施しております。

 純資産総額に応じて計算した現在の信託報酬は0.07672%(2025年10月21日現在)となっています。

 信託報酬という点では現状で最安水準であり、リターンも相対的に良好です」(三菱UFJアセットマネジメント商品開発部/犬伏 和さん)

 その他コストの保管費用が前年度の0.009%から0.006%まで下がったのは、「先物の活用で運用効率性を高め、海外保管銀行の費用の見直しを行ったため」だそう。

 株式の売買手数料が残り2社と比べて格段に安い理由は?

「残高が相応に大きくなり、規模メリットが働きやすいことに加え、先物を活用して運用効率を高めるなどの努力をいたしました」

 はじめてのNISAに関しては、野村アセットマネジメント インデックスソリューション部の池田奈央さんに聞いた。

「2023年7月10日の設定から2年と少しですが、まだ当初の残高が小さかった時期の売買にかかる固定コストなどが今期のコストに影響しました」

 残高の小さいうちは先物取引を活用するが、そのコストがかかった。また、期中の資金流入が加速したことで回転率が高くなり、株式の売買手数料も増えた。

「残高は順調に拡大しており、資金フローの影響は逓減されていきます。今期はこれらコストがより低くなると考えております」

 インデックス運用、年金運用の確固たるノウハウを持つ野村アセットなので心配無用である。

 そもそも今回比較した3本とも直近1年のリターンは22.3%台と高水準。つみたてているうちに大きな差がつくことはないだろう。

■SBI・Vも人気

 ところで、SBIアセットマネジメントが運用する「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」も純資産総額が約2.4兆円で、規模的にはeMAXIS Slimの次に大きい。

 これは海外ETF「バンガード・S&P500 ETF」(VOO)をシンプルに買い付ける投信で、安定した人気を誇る。直接運用ではなくETFでの売買のため、今回の3本と同列での比較はしなかった。

取材・文/中島晶子(AERA編集部)、安住拓哉

東 眞之(あずま・まさゆき)楽天投信投資顧問 代表取締役社長。大手証券で投資モデル開発や英国現地法人の副社長を務め、2016年に楽天証券投資運用室長。2017年より現職

川上雅人/SBI証券 投資情報部 シニア・ファンドアナリスト。慶應義塾大学卒業後、丸三証券(日本株アナリスト)、大手運用会社、国内証券会社を経て2022年から現職

池田奈央/野村アセットマネジメント インデックスソリューション部 マネージャー。投資信託の販売会社へのサポート業務を経て、現在は商品企画立案、リテール向け情報提供など。2019年より現職

編集/綾小路麗香、伊藤忍

『AERA Money 2025冬号』から抜粋

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