投資は「20年」乗り切れば「負け」はない? 少額でも「今すぐ」投資を始めるべき「たった1つの理由」

投資は「20年」乗り切れば「負け」はない?...少額でも「今すぐ」投資を始めるべき「たった1つの理由」
Mathieu Stern-Unsplash
<シンプルに考えよう。人生で一番お金がかかる「老後」までに、まだ時間があるあなたが取るべき選択肢は――>
投資に興味はあるけど、お金をすべて失ってしまったらどうしよう。そんなふうに考えて、一歩を踏み出せない人は少なくないだろう。
しかし、これまで300万人以上の女性たちの貯蓄や投資の手助けをしてきたトリ・ダンラップ氏は、「投資でお金を失うというのは誤解にすぎない。老後のためにも、投資は今すぐに始めるべき」という。
ダンラップ氏が執筆した『何があっても生き抜く わたしのお金の教科書』(かんき出版)から、投資に抱きやすい3つの誤解と、人生における投資の重要性について、一部を再編集して紹介する。
◇ ◇ ◇
誤解① 投資はギャンブル
この誤解には、微妙な意味がある。そのため、私の投資の鉄則を説明させてほしい。セクシーであったらダメだ。投資は、セクシーであってはダメなのだ!
投資と聞くと、映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」でレオナルド・ディカプリオが電話口で叫ぶ姿を思い描くのではないだろうか。でも本来の投資は、そうではない。華やかなもの(暗号通貨! デイトレード! 注目株!)の多くは、良くて投機的、悪くてギャンブルだ。
投資にはリスクがつきものだが、賢明な投資には一貫性と安定性があり、息が長い。そのような賢明な投資が効果的にリスクを軽減してくれる。これは長期戦なのだ。
ちょうどディカプリオが長年のノミネートののちにようやくアカデミー賞を手にしたのと同じように(皮肉にも「ウルフ・オブ・ウォールストリート」ではなかったが)、ここで私たちがプレイしているのは、成功に続く長期的なゲームなのだ。
本記事をしっかりと読んでほしい。株式市場にたった1日だけお金を入れたら、儲けを出す確率は歴史的に見て、50%だ。つまり、市場に投資してその株を翌日売却したら、儲けを出すのと同じくらい、損をする可能性がある。でもその株を1年持ち続ければ、儲けを出す確率は68%に上がる。
10年間待てば、利益を出す可能性は88%。長期的(20年以上)に投資することで、投資から利益が出る可能性は100%に上がる。これは、100年以上におよぶアメリカの株式市場という存在を観察した傾向をもとにしている。投資して20年乗り切れば、損失はない。
実のところ、どのタイミングの20年間であれ(そう、リーマンショックのときでさえ)、投資家は儲けを出したのだ。
長期投資(着実で忍耐強く粘り強い投資)は、損失を出さない。出したことがないのだ〔アメリカの株式市場の例。日本の場合は投資して20年乗り切っても損失が出た時期があったことには注意が必要〕。
短期決戦ではなく、忍耐強く
結局のところ、investment(投資)という言葉そのものに、「時間/労力/エネルギーを、価値のある結果を期待して何かにつぎ込む」という意味がある。すぐに満足を得られるものではなく、忍耐であり粘りであるのだ。
株式市場には山もあれば谷もある。しかしカギは、波に乗り、時間が味方になってくれると信じることだ。これも、過去ずっとそうだったことはデータにみてとれる。
TikTokのコメントでよく話題になっている、派手で「セクシーな」投資は、話がうますぎると感じるだろう。これは、ギャンブルだ。短期投資で金持ちになった人は、①非常に運が良かったか(確かに運は関係する)、②ウソをついているかだ。
ということで、もし損をするのが怖いなら、答えは、市場が暴落してもパニックしないことだ。ジェットコースターであることを忘れずに。ただし、本物のジェットコースターと違う点は、また上昇すると知りつつ、座席に20年以上縛りつけられる点だ。
誤解② 投資は待ってくれる
投資は長い時間をかける必要があると分かった今、「そうか。じゃあ、もっと歳を重ねてお金が手に入るまで待とう」と思ってしまいがちだ。
それはまったく妥当な考えだし、非常用の資金や学生ローン、クレジットカードの借金、さらには単になんとか生きていかなければならないことを考えればなおさらだ。ただ問題は、待つ余裕などないということ。
「質問。100万ドルを今すぐもらうのと、1カ月間毎日倍増していく1セントをもらうの、どっちがいい?」
この1セントが30日間でどうなるか、注目してほしい。

『何があっても生き抜く わたしのお金の教科書』より
そう、530万ドル。かなりの額だ。もしも31日ある月だったら、1070万ドル以上を手にしていたことになる。これが時間のパワーだ。
金額よりも時間を大切に
「何千ドルも持っていないから投資を始められない」と考える人は非常に多い。でも本当は、投資に関しては金額よりも時間の方がずっと大切だ。だからこそ、今すぐ投資を始めてもらいたいのだ。
1週間後でも、数年後でも、「もっとお金ができたら」でもなく。投資に回せるお金がたとえわずかでも、今すぐ始めよう。
投資とは、あなたをリッチにしてくれるものだ。わずか数百ドルで始めたっていい。塵も積もれば山となる。もしわずか100ドルを毎月30年間投資したとしたら(金利なしで合計3万6000ドル)、「未来の自分」はこの5倍以上となる約18万5000ドルを手にすることになるだろう。
問題は、増えるための時間がどのくらいあるかということだ。
誤解③ 投資は複雑で難しい
もう1つ、そこまで陰謀論とは言えない陰謀論がある。投資とウォールストリートを何十年も牛耳ってきた、そして株式市場を説明するための難しい専門用語を作ってきた金融業界の男たちは、一般人に対して謎めいた用語をわざと使うのが大好きというものだ。
空売り! ブルーチップ! 配当! 彼らがこれをしてきた理由は、あなたにはできない、と思わせるためだ。まるで外国語のように手ごわいものに感じさせ、取り組もうとするより、「いや~私には無理だわ」と思わせる。
実際のところ、投資はバカバカしいほど簡単だ。つまるところ投資とはシンプルに、お金を増やしてくれると期待しつつ金融商品にお金を入れることだから。
難しいのは、始め方を学ぶことと、一貫して続けることだ。投資の方法を学ぶことは、階段の上り方を学ぶようなものだ。1段目は6メートル以上あるかのように感じられるかもしれない。でもその後はただ、片方の足をもう片方の足の前に出すだけだ。
引退を考えるなら、投資は不可欠
「でも、なんで老後のために今から投資するの? かなり先なのに」
厳しく聞こえるかもしれないが、投資しない余裕なんてない。繰り返す。本当に、投資しない余裕なんてないのだ。引退には、生涯でもっともお金がかかる。家や大学、子どもの大学よりもお金がかかるのだ。
平均的な人の場合、投資しなければ、仕事をせずに老後を過ごすことなどできないだろう。あなたには、いつかは仕事を引退できるようになってほしい。
一つひとつ見ていこう。ざっと20歳から65歳まで、おそらく働き続けるだろう(約45年)。稼ぐために働き、そのお金を貯金したり投資したりして、いつかは働かなくて済むようにする。アメリカにおける女性の平均寿命は現在82歳だが、確実に延びている〔ちなみに日本人女性は87歳〕。
ということで、95歳まで生きるとしよう(全員そこまで生きられるといいな!)。つまり、働かずに30年間、自活しなければならない。
この30年間を1日も働かずに暮らせるようにするために、週5日以上、週40時間以上、40年間休まずに働く。そして医療費や生活費が上がるため、引退後は恐らく、人生でもっともお金がかかる時期になりそうだ。はぁ。
他人の過ちから学ぼう。アメリカのベビーブーム世代〔1946~65年生まれ〕がお金に関して一番後悔しているのは、引退に向けて早くから貯金しなかったことだと言われている。そして65歳以上の女性は、貧困にあえぐ可能性が男性の倍となる。
ということで、将来に備えた投資(財産の形成)は、絶対に不可欠なのだ。
「私、20代じゃないし。もう遅すぎるの?」と思っているなら、答えはノーだ。投資はあなたが18歳であれ、38歳であれ、88歳であれ、効果がある。投資を始めるのに、若すぎるとか歳を重ねすぎているなどない。繰り返すが、カギは実際に始めることだ。

『何があっても生き抜く わたしのお金の教科書』
トリ・ダンラップ[著]
かんき出版[刊]
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)
著者
トリ・ダンラップ(Tori Dunlap)
世界的なお金の専門家であり、ビジネス・ポッドキャスト人気ナンバー1の「ファイナンシャル・フェミニスト(Financial Feminist)」の司会。グッドモーニングアメリカなど多くのメディアに登場し、CNBCに「金銭的な自信を女性に与える声」と称され、これまでに300万人以上の女性たちを、給与の交渉、借金の完済、貯蓄の構築、投資でサポートしてきた。
監修者
安藤真由美
エグゼクティブコーチ・コンサルタント・投資家。国内外の金融機関等で22年勤務後にブリリアントライフ代表として独立。ファンドマネージャーやアナリストとしての実務経験を活かして経営層向けのコーチングや経営相談を行う。著書に『お金の知識があるだけであなたが見られるはずのとびきり輝く世界について』(日経BP)。
翻訳者
松丸さとみ
翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで6年強を過ごす。主な訳書に『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』(日経BP)、『THE FOREVER DOG 愛犬が元気に長生きするための最新科学』(ユーキャン)、『「人生が充実する」時間のつかい方』(翔泳社)などがある。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部