YouTube広告なしで月額1280円は高い?→「数字に強い東大生集団」が計算した答え

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月1280円で広告が非表示になるYouTube Premium。便利なのは間違いないが、高いか安いか判断に困る…。そんなときに役立つのが、数学的な考え方だ。東大生集団は、損をしないためにどんな思考を働かせているのか?※本稿は、株式会社カルぺ・ディエム代表の西岡壱誠、東大カルぺ・ディエム『数字に強くなる30のトレーニング【東大生が徹底解明】』(TAC出版)の一部を抜粋・編集したものです。
文字で書かれた情報を
数式に落とし込んでみる
文章で書かれた情報を、「数式」に変換する力は、算数・数学の基礎です。
たとえば、「1袋6個入りのチョコを、30人に4個ずつ配るには何袋必要?」という問題。これは「30人×4個=120個必要」であり、「120÷6=20袋」と式に落とし込めれば答えが出せます。
この力は、単に方程式を立てるだけではなく、現実世界を「数字の世界」に翻訳する力でもあります。たとえば、「このサブスクに月額1280円の価値はあるのか?」と考えるとき、自分の利用頻度を数字に置き換えて判断する必要があります。
「自分は月に何回、100円相当のサービスを受けているから……」と、「式」をつくるための思考を巡らせます。この「数字の世界への翻訳」こそが、式を立てる力です。
問題文を読み、求めたいものをXと置き、数式を構成する……。学校の授業では中学生になってから方程式を学びますが、まさにその方程式ですね。この思考がうまく身につくようになれば、現実と数学をつなげる架け橋をつくることができます。ぜひこれを機会に身につけてください。
YouTubeのサブスクは
元が取れるのか?
定額でサービス受け放題の「サブスク」は便利なしくみですが、あまり利用しないのであれば支払う金額に対して得られる利益が見合わないこともあります。元が取れているのか、数式を立てて考えてみましょう。
[問題]定義して式を立てる
月額1280円で、広告が非表示になるYouTubeサブスクリプション。1日どれくらいYouTubeを見ると、元が取れるのでしょうか?
問題文の説明
YouTubeは、若者から中高年層まで幅広い世代に利用されている動画配信サービスです。いざ動画を再生しようとすると、毎回挟まれる広告にうんざり……。そんな経験、みなさんにもあるのではないでしょうか。
こうした煩わしさから解放されるための選択肢として、「YouTube Premium」という月額1280円の有料プランがあります。これに加入すると、広告の非表示だけでなく、バックグラウンド再生やオフライン再生、さらには音楽ストリーミングサービスも利用できます。
しかし、月額1280円というのは決して安い金額ではありません。とくにオフライン再生や音楽ストリーミングを利用しない人にとっては、ただ「広告が表示されなくなる」ためだけに払うわけで、その価値がどれほどなのか疑問に思うこともあるでしょう。
数字に強くなるために
欠かせない重要な発想
[解説]「元が取れる」とはどういうこと?
そこで考えたいのが、「広告が表示されなくなる」というメリットに対し、「月額1280円」がはたして安いのか、高いのか?つまり、「広告が表示されなくなる」価値はどれくらいなのかを数値で評価し、「月額1280円」と比較する必要があります。
自分が支払う金額に対して、どれくらいのリターンが得られるかは、一概に判断できるものではありません。「広告を見ないですむ快適さは月額3000円の価値がある!」といった客観的な指標があるわけでもなく、人によって価値観は異なります。たとえば、1分程度なら待てるという人もいれば、1秒でも待ちたくないという人もいるでしょう。
しかし、これらの主観的な感覚に思えることでも、数式を立てて計算することで、どれくらい得をしているのか具体的に見積もることは可能です。こうした「立式して考える」という発想は、数字に強くなるために欠かせない重要なステップです。
では、具体的に見ていきましょう。
まず、「元が取れているか」を判断するには、その状態を明確に定義する必要があります。つまり、支払った金額に対して提供されるサービスの価値が上回っている状態を考え、その関係を数式で表現するのです。
具体的には、以下のように表せます。
支払った金額≦得られた価値
次に、サービスの価値をどう評価するかがポイントです。ここから具体的な計算に入っていきます。
サブスクリプション料金≦サービス特典
先ほどもいったように「YouTube Premium」の特典はいくつかありますが、今回は「広告が表示されなくなる」のみだと仮定して考えていきます。
「YouTube Premium」に加入すると、興味のない広告動画を見ずに動画を再生できるようになります。このとき、本来は広告を見るために使っていた時間を使わずにすんでいるということになります。
つまり、私たちは「YouTube Premium」に加入することで「時間」を得ているのだ、といい換えることができます。この考えにもとづいて、先ほどの式を書き換えてみましょう。
サブスクリプション料金≦広告に費やさずにすんだ時間の価値
時給の概念を使えば
時間の価値を正しく測れる
次に考えなくてはいけないのは、「単位」です。
お金と時間というのは全く異なる概念であり、単位も全く異なるため、どちらの価値が高いかなどは比べることはできません。
しかし、実は意外と身近なところに、お金と時間を結びつける概念があります。それは、「時給」です。
「時給1200円」といったとき、それは「1時間働いたら1200円もらえる」という意味になります。働き手の目線でいうと、自分の時間を1時間仕事に提供し、その対価として1200円をもらうわけです。いい換えれば「その人の1時間の価値は1200円である」ということです。
では、仮に時給を1200円として、先ほどの式を書き換えてみましょう。
(サブスクリプション料金:月額1280円)≦(時給1200円)×(本来なら広告を見ていたはずの時間)
つづいて、本来なら広告を見ていたはずの時間の長さがどれくらいかを考えてみます。
YouTubeの広告がどれくらいの頻度で出てくるかに、明確な基準はありません。それぞれの動画を再生するときに1回と、長い動画では途中に広告が挟まれることもあります。動画の投稿主によっては広告動画をつけないという設定にしている人もいます。
そのため、自分がどれくらいの頻度でYouTubeの広告を見せられているのかを知りたいならば、自分で一度測ってみるとよいと思います。今回はざっくりと、「5分に1回ほどのペースで30秒の広告が流れる」と仮定して計算を進めています。
時給1200円として、1カ月で考えてみると、式は以下のようになります。
(サブスクリプション料金:月額1280円)≦(時給1200円)×(本来なら広告を見ていたはずの時間)
→(本来なら広告を見ていたはずの時間)≦(月額1280円)÷(時給1200円)
1280(円)÷1200(円/1時間)=1.06666……(時間)、これを60倍して分に直すと64分となります。つまり、1カ月に広告を見ている時間が64分を越えていれば、「本来なら広告を見ていたはずの時間の価値」がサブスクリプション料金(月額1280円)を上回ったことになり、「元が取れている」といえそうです。
これを1日あたりに換算すると、64(分)÷31(日)≒2.0(分/日)となり、1日あたり2分ほどの時間、広告が流れればよいということになります。
1日あたり2分間広告が流れるということは、2(分)÷0.5(分/1回)=4回により、1日あたり4回の広告が流れればよいということになります。
サブスクの損益分岐点が
ロジカルに導き出せた!
では4回広告が流れるためにはどれくらいYouTubeを視聴すればいいのでしょうか?YouTube広告はアプリを開いて最初に動画をクリックした際には必ず表示されるとしましょう。

同書より転載

『数字に強くなる30のトレーニング【東大生が徹底解明】』 (西岡壱誠、東大カルぺ・ディエム、TAC出版)
最初に広告が30秒、5分視聴してまた広告が30秒というパターンが何度も繰り返されています。そこで、5.5分をワンセットとし、4回広告が表示されたときのYouTubeの総使用時間を求めると、
3(回数)×5.5(分/回数)+0.5=17分
ということになります。
したがって1日あたりでいえば約17分ほどYouTubeを使用すれば元が取れるといえるのです!
[解答]
1日17分ほど動画を見ていれば元が取れるといえる(「5分に1回30秒の広告が流れる」と仮定した場合で、時給1200円で働いている人であれば)。