「現金を持っている企業」にチャンス到来? NISAで2026年に狙うべき“変貌株”の見つけ方
長期投資が可能で、運用益が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)。投資信託を買っている人が多いかもしれないが、このところ株価に勢いのある日本株が気になっている人もいるだろう。はたして、NISAの投資先として日本株はふさわしいのだろうか。また、NISAで日本株を買って儲けるためには、どんなことに注意すればいいのか。投資戦略に定評がある4人のプロに話を聞いた!(ダイヤモンド・ザイ編集部)
2026年の日本株は米国株超えも狙える!
将来的にもプラス要素が多く、長期で買いが吉!
今回、話を聞いたプロは、大和証券の橋詰大輔さん、野村アセットマネジメントの石黒英之さん、ニッセイ基礎研究所の井出真吾さん、UBS証券の守屋のぞみさんの4人。まず「日本株は、今NISAで買うのに適しているのか」を尋ねたところ、4人とも「構造的に変化しつつある日本株は、NISAで長期投資すべき市場である」という意見で一致した。
日経平均株価を長期の推移を見ると、2013年以降は上昇基調だ。「今後もこの流れは続く」と、ニッセイ基礎研究所の井出さんは予測。その一因は“インフレ定着”だという。
「脱グローバル化に伴うサプライチェーン再編によるコスト増などで、インフレは定着するでしょう。インフレは名目の売上高を押し上げるだけでなく、日銀の利上げを促します。これが、低金利というぬるま湯に浸かっていた日本企業を呼び覚ますトリガーになる」(井出さん)
インフレ下では現金の価値が目減りするため、現預金の有効活用が促される。これをさらに後押しするのが、今年予定されているコーポレートガバナンス・コード(上場企業の企業統治において順守すべき指針)の改訂だ。この影響を踏まえ、野村アセットマネジメントの石黒さんは、日本株の上昇を予想する。
「金融庁は余剰資金の活用方法について、より厳しい説明を求める方針です。その結果、企業が抱える現預金が成長投資や株主還元に回り、ROEが向上するはずです」(石黒さん)
こうした追い風もあり、石黒さんは「2025年に続き、2026年以降も日本株は米国株を上回る上昇が期待できる」と話す。
「今後の日本企業の成長を押し上げるテーマも多い」と、UBS証券の守屋さんは指摘する。「関税ショックの影響は想定より軽く、企業業績も回復基調です。また、フィジカルAIや経済安全保障(※サプライチェーンや重要技術を確保し、他国に過度に依存せず、さまざまな事態でも国民生活や経済活動を維持できる強靭さを備えること)分野への官民投資が、成長ドライバーになるでしょう」
加えて、外部環境も良好だと大和証券の橋詰さんは言う。「欧米の利下げの効果は、時間差で実体経済に広がっていきます。その結果、世界景気が底堅く推移し、日本企業は2ケタの増益を達成するでしょう」
今年以降もプロ4人の日本株への期待は高い。長期目線で、NISAを活用して日本株に投資するのがよさそうだ。
コーポレートガバナンス・コードの改定をきっかけとして
2026年の日本株は「割安株相場」に!
それでは、具体的にどんな銘柄を買えばいいのか。今年の日本株市場の動向に大きく影響しそうなのが、前述したコーポレートガバナンス・コードの改訂だ。
石黒さんによると「日本企業の総資産に占める現金比率は約24%と、欧米の2倍に達している」という。企業は今回の改訂により、現預金の具体的な活用方法の明示を求められる。その結果、これまで「キャッシュリッチなのに低評価」だった低PBR株は、株主還元を強化するか、成長投資や事業再編といった“攻めの資金活用”に踏み切るかを迫られることになる。石黒さんは、これを「落ちこぼれの割安企業が優等生へ進化するきっかけになる」とみる。
実際、2023年3月に東証が低PBR企業へ改善を要請して以降、TOPIXのROEは8.1%から9.2%へ上昇した。今後もROEの改善が進めば、海外投資家の見方が変わり、割安株への追い風が一段と強まるはずだ。
守屋さんも、米国株がAI関連株主導の「成長株相場」になりやすいのに対し、日本株はコーポレートガバナンス・コード改訂が後押しする「割安株相場」になりやすいと予測する。よって、今後は低PBRなどの割安株に特に注目すべきだろう。
2026年の日本株で注目テーマは「AI」や「防衛関連」など!
注目テーマの関連株を押さえて大幅上昇を狙おう!
続いて、気になるのが2026年にとりわけ上昇が期待できるテーマだ。おもに6つのテーマがあるので、順に紹介していこう。
まず軸になるのが「AI」。バブルを警戒する声もあるが、守屋さんはそれに反論する。「2000年頃のITバブル期には、一部銘柄のPERが70倍超まで跳ね上がりました。しかし足元では、米国の大手テック企業でもPERは30~40倍程度と、過熱感は限定的です」
なかでも注目したいのが、AIを現実世界の制御に活用する「フィジカルAI」だという。半導体関連やデータセンター、ロボティクス関連に注目だ。
さらに「防衛・経済安全保障」も外せない。米中対立が続くなか、防衛だけでなく先端技術の流出リスクへの警戒感も強まっている。経済安全保障の観点から、半導体などの重要物資・最先端分野のサプライチェーンを再構築する動きも加速しているのだ。
一方、井出さんは「関税問題緩和」に絡む銘柄に注目する。関税ショックの影響は今年前半に一巡し、厳しい環境下でコスト管理や戦略の見直しを進めてきた企業ほど、底力が評価されやすいという。特に自動車関連など、2025年に苦戦した業種は、2026年から業績回復が期待できる。橋詰さんも「『世界景気の回復』が見込め、商社など景気敏感株へ資金が回る可能性が高い」と指摘する。
日本独自のテーマとして押さえたいのが「インフレ恩恵・金利上昇」と、先にも取り上げた「企業変革」だ。インフレの定着と金利上昇の恩恵を受けやすいのは銀行。利ざや改善、資金需要の拡大が追い風になる。企業変革では、現金比率が高い低PBR株など、変革余地の大きい銘柄を押さえておこう。
ここまで2026年の日本株の展望や、主役となりそうなテーマ株について見てきた。なお、ダイヤモンド・ザイ3月号の大特集「2026年・初場所【最強日本株】」では、ここまで紹介してきた前提を踏まえて、プロ21人が「買い」と評価した銘柄を「大型優良株」「割安株」「高配当株」「株主優待株」「10万円未満株」「10倍株」という6つの番付に分けて紹介している。
長期で安定的に資産を増やしたい人には「大型優良株」と「割安株」がおすすめ。大型優良株は強いビジネスモデルを持っており、安定成長が期待できる。割安株は下値リスクが低く、企業改革が進めば長期での株価上昇も狙える。
利回り重視派には「高配当株」と「株主優待株」が向いている。長く保有することで、配当や株主優待を継続的に受け取れるのが魅力。もちろん、NISA口座で投資すれば配当は非課税だ。
また、「10万円未満株」は少額で複数銘柄に投資するのに最適。投資資金が限られている人も、NISA枠を使ってコツコツ買おう。
最後に、大幅上昇を狙いたい人は「10倍株」から選ぼう。値上がり益がどれだけ大きくなっても税金ゼロというNISAのメリットを活かせる。高成長が続く間は保有し、成長が鈍化する兆しが見えたら売るのが基本戦略だ。
本記事は、ダイヤモンド・ザイ3月号の内容紹介を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で運営しているものではありません。投資は自己責任において行ってください。