40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産形成のカギは「NISAとiDeCoの使い分け」

40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産形成のカギは「NISAとiDeCoの使い分け」
sakae.j/Shutterstock
<老後を見据えた資金管理をするうえで、40代はそれまでの積立から「質」を変えていく必要がある転換点。そこで重要となる「第二の積立」という考え方とは?>
「老後資金はまだ先の話だと思っていたが、気づけば40代に入っていた」──こうした声を、実際の相談現場で多く耳にします。20代・30代の頃は、仕事や子育て、住宅購入など目の前のことで精一杯で、老後について深く考える余裕がなかったという方も少なくありません。
しかし40代になると、定年までの残り時間が現実的な数字として見えてきます。住宅ローンや教育費といった大きな支出が続く一方で、「このままで老後は大丈夫だろうか」という漠然とした不安が頭をよぎり始める時期でもあります。
こうした背景の中で注目したいのが、NISAとiDeCoを活用した「第二の積立」という考え方です。これは、これまでの積立を否定するものではなく、人生後半を見据えて積立の「質」を高めていく取り組みと言えます。
なぜ40代から「第二の積立」が必要なのか
20〜30代では、毎月無理のない金額を積み立てる「第一の積立」で十分だったかもしれません。時間を味方につけ、少額でも長期で運用できたからです。しかし40代になると、運用できる期間は20年前後に限られます。ここからは、単純な積立額の多さだけでなく、「どの制度を使うか」「税制メリットをどう活かすか」が結果を大きく左右します。
特に40代は、所得水準が比較的高くなり、税金や社会保険料の負担を実感しやすい年代です。だからこそ、節税効果を含めた「実質利回り」を意識した資産形成が重要になります。
NISAとiDeCoの基本的な違い
NISAとiDeCoはいずれも国が用意した資産形成支援制度ですが、その役割は明確に異なります。
NISAの最大の特徴は、運用で得た利益が非課税になる点です。新NISAでは非課税枠が大幅に拡充され、長期・積立・分散投資を前提とした制度設計となりました。売却や引き出しに制限がないため、ライフイベントに応じて柔軟に資金を使える点が大きなメリットです。一方で、掛金そのものに対する所得控除はありません。
一方、iDeCoは老後資金づくりに特化した制度です。掛金が全額所得控除になるため、現役世代にとっては非常に高い節税効果が期待できます。例えば所得税・住民税の合計税率が30%の方であれば、毎月2万円の拠出でも年間7万円以上の税負担軽減につながるケースがあります。ただし、原則60歳まで引き出せない点には注意が必要です。

株式会社Best One作成
40代における使い分けの考え方
「NISAとiDeCo、どちらを選べばいいのか」と悩む方は多いですが、40代では「併用」が基本となります。
老後資金として確実に確保したいお金についてはiDeCoを優先します。引き出せないという制約は、裏を返せば「老後まで守られる資金」です。節税効果も加味すれば、40代の所得水準との相性は非常に良いと言えるでしょう。
一方で、教育費や住宅の住み替え、将来の独立・転職など、途中で使う可能性がある資金はNISAで運用するのが合理的です。運用益が非課税でありながら、必要なときには現金化できる柔軟性は、40代のライフステージに欠かせません。
「商品選び」と同じくらい大切な視点
制度を活用する際、「どの投資信託を選ぶべきか」「利回りはどれくらい期待できるのか」といった商品選びは、もちろん重要な要素です。特に長期運用では、コストや分散の度合いによって結果に差が出ることもあります。
ただし40代の資産形成で注意したいのは、商品選びだけに意識が偏ってしまうことです。本来考えるべきなのは、「このお金は何のために使う資金なのか」「いつ使う可能性があるのか」という目的の整理です。
老後資金として確実に残したいお金はiDeCo、将来使う可能性があるお金はNISA。このように目的に応じて制度を分けたうえで、その中で商品を選ぶことで、運用のブレは大きく減ります。制度の役割が明確になれば、商品選びも自然と絞り込まれ、相場の変動に振り回されにくい資産形成につながっていきます。
まとめ
40代からの資産形成は、決して遅すぎるわけではありません。むしろ、収入・経験・制度理解がそろう「最も効率的に動ける時期」とも言えます。NISAとiDeCoを正しく使い分けることで、これからの20年は「お金の不安を減らす時間」へと変えていくことができます。
まずは制度を理解し、自分の人生設計に合った「第二の積立」を始めてみてはいかがでしょう

中野 元
株式会社BestOne代表取締役
国内証券業における豊富な経験を基盤に、富裕層を中心とした資産コンサルティングに従事。
現在は、証券・保険・不動産といった金融・資産領域を横断し、税理士法人との連携による相続・事業承継までを見据えたワンストップ型の資産支援を行っている。
単なる資産運用にとどまらず、資産に込められた想いやご家族への意思、人生の節目における選択までを丁寧に汲み取り、お客様一人ひとりの人生設計に寄り添った長期的な伴走サポートを提供している。
中野 元