みんなの家計の「貯蓄」が減っている…コロナ後の貯蓄減とは「全然違う」状況とは 内閣府GDP速報

 内閣府が16日発表した2025年10〜12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.1%増で、この成長ペースが1年続いた場合の年率換算は0.2%増だった。プラス成長は2四半期ぶり。ただ、足元の家計の貯蓄率はマイナスが続く。長引く物価高で家計が貯蓄を取り崩して生活費を工面している実態が浮かぶ。

◆物価高で「消費」が「所得」を上回り

 貯蓄率は、GDPの雇用者報酬データなどから推計した、その期の家計の可処分所得のうち貯蓄に回せた割合を指す。所得が消費を上回ればプラス。逆に消費の方が所得より多ければマイナスで、貯蓄の取り崩しを意味する。

 内閣府によると、貯蓄率は2025年7〜9月期まで4四半期連続のマイナス。10〜12月期分の公表はこれからだが、2025年通年でもマイナスとなる可能性もある。

 最近では2023年に、行動制限などで消費機会が減った新型コロナウイルス禍の反動から前向きな消費が拡大して貯蓄の取り崩しが発生した。だが、2024年末以降は物価高という後ろ向きな要因が背景にあり、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「同じ貯蓄減でも今は過去とは状況が全然違う」とみる。

◆年金だけで生活を賄えない高齢者が増えていることも影響か

 とはいえ、家計は近年、コロナ禍での定額給付金や減税などを受けて「余力」を蓄積してきた。貯蓄の取り崩しが必ずしもすぐに借金に頼らざるを得ないといった危機的な状況につながるわけではない。ただ、小林氏は「いつまでも無尽蔵に取り崩せるわけではない」とも忠告。物価高を上回る賃上げ環境を整えることが求められるという。

 物価高に加え、高齢化の進展も貯蓄の取り崩し要因となる。高齢者が引退後の生活を年金だけで賄えないことが背景にある。取り崩しの増加は、少子高齢化が一段と進んでいることの表れとも言え、小林氏は「社会保障制度を今後も維持できるのか、などといったことを示唆している」と指摘する。

 10〜12月期のGDP成長には、堅調な設備投資や住宅投資の前期からの回復が寄与。内需の柱である個人消費は0.1%増と7四半期連続プラスだったが、力強さを欠いた。名目成長率は前期比0.6%増、年率換算は2.3%増。年換算した実額は実質が589兆7276億円、名目が668兆9414億円だった。同時に公表された2025年通年のGDPは実質で前年比1.1%増、名目で4.5%増。(山中正義)

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