木造マンションは儲かるのか。都心で増加、デベロッパーが探る採算ライン

木造マンションが増えている。東京建物は、同社初となる木造賃貸マンションを公開した。
鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨造が主流だった都市部のマンション市場に、いま「木造」という新たな選択肢が広がり始めている。
老舗デベロッパーの東京建物は、三井ホームと組み、初の木造賃貸マンション「Brillia ist 洗足池の杜」(東京都大田区)を開発した。都市型賃貸マンションの領域に、本格的に木造を持ち込んだ格好だ。
ただし、建設コストはRC造に比べて「やや高い」というのが現実。木造住宅は環境負荷が低いとされるが、経済合理性がなければビジネスは続かない。なぜ今、都市のマンションに「木」が選ばれ始めているのか。
技術が変えた前提
「製造や建設、解体時の二酸化炭素(CO2)の排出量が少ないこと。そして、中層建築物で木造を採用することで、木材利用の促進にもつながる。そうした観点から計画を進めました」
東京建物 住宅賃貸事業部の佐々木亮将主任は、木造マンション開発の背景をこう説明する。出発点にあったのは、環境への配慮だった。
同社が手がけた「Brillia ist 洗足池の杜」は、地上5階建て、全42戸の賃貸マンションだ。間取りは1DK(28.26平米)から2LDK(50.14平米)。賃料は15万6000円〜25万6000円で、東急池上線洗足池駅から徒歩5分という立地もあり、周辺相場より1〜2万円ほど高い水準に設定されている。
建設には、三井ホームの木造技術ブランド「MOCX」を採用した。三井ホームは2021年から木造マンションブランド「MOCXION」を展開し、すでに78棟の実績を持つ。今回の物件では、木造をベースに一部RC造を組み合わせ、内装にも木材を取り入れた。
もっとも、「木造」と聞くと、耐火性や耐震性に不安を抱く人も少なくないだろう。
三井ホームによると、高強度耐震壁の開発により十分な耐震性能を確保。耐久性も、住宅性能表示制度の劣化対策等級で最高ランクを取得している。さらに、独自の遮音システムによって、遮音性能はRC造と同等の水準を実現したという。
見た目は「普通のマンション」

東京建物初の木造賃貸マンション、Brillia ist 洗足池の杜。
実際に訪れて、まず驚くのはその"普通さ"だ。外観は一般的なマンションと見分けがつかない。木造住宅特有の「木の家」らしい雰囲気はなく、言われなければ木造だと気づかないだろう。ただ、軒下や外装の一部に木材が使われており、よく見ると表情にどこか柔らかさがあった。

Brillia ist 洗足池の杜のエントランス。1階はRC造だが、内装に木材がふんだんに使われている。
エントランスに一歩入ると、印象が変わる。天井や壁に木材が採用され、無機質になりがちなマンション共用部とは異なる温かみが漂う。なお、1階の構造はRC造。防火性能とコストのバランスを踏まえた設計上の判断という。
一部の部屋を「木質化」

モデルルームを兼ねた1階の一室。床に無垢材を使用している。
この物件の最大の特徴は、専有部の「木質化」にある。ただし、全室ではない。1階と3階の住戸に集中して木材が使われており、これには明確な意図がある。