厚生年金+基礎年金「ひと月15万円」の水準に届く人は何パーセント? 4月分から国民年金+1.9%、厚生年金+2.0%増額
「年180万円」の壁に届く割合と「年収106万円の壁」の行方を解説

厚生年金+基礎年金「ひと月15万円」の水準に届く人は何パーセント?4月分から国民年金+1.9%、厚生年金+2.0%増額
3月に入りましたが、まだ風の冷たさに冬の名残を感じますね。新年度を前に、ご自身の老後資金について改めて考える方も多いのではないでしょうか。
単身での老後生活を想定した場合、生活費の目安のひとつとして「ひと月あたり15万円」という金額がよく挙げられます。では、日々の生活を支える公的年金だけで、実際にこの金額を受け取れている人はどのくらいいるのでしょうか。
この記事では、最新データをもとに年金受給のリアルな実態を解説します。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
日本の公的年金制度の基本「国民年金と厚生年金の2階建て構造」とは
日本の公的年金制度は、全国民共通の「国民年金(基礎年金)」を1階部分とし、その上に会社員や公務員などが加入する「厚生年金」が乗る構造から、「2階建て」と表現されます。
それぞれの年金制度の基本的な特徴を見ていきましょう。
公的年金の仕組み:2階建て構造を解説

1階部分にあたる国民年金(基礎年金)
・加入対象:原則として日本国内に住む20歳から60歳未満のすべての人
・保険料:所得にかかわらず定額で、毎年度改定されます(2026年度は月額1万7920円)。
・受給額:保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金(2026年度は月額7万608円)を受け取れます。未納期間があれば、その分減額されます。
2階部分にあたる厚生年金
・加入対象:会社員や公務員のほか、一定の要件を満たすパートタイマーなども国民年金に上乗せして加入します。
・保険料:収入(標準報酬月額と標準賞与額)に応じて決まります(上限あり)。
・受給額:加入期間の長さや納めた保険料額によって、個人ごとに異なります。
このように、国民年金と厚生年金では加入対象や保険料の決まり方、受給額の計算方法が違うため、現役時代の働き方が将来受け取る年金額に大きく影響します。
また、公的年金の額は、物価や現役世代の賃金の変動に応じて毎年見直されるという点も、知っておきたい大切なポイントです。
2026年度の年金額改定:4月分から国民年金+1.9%、厚生年金+2.0%増額
公的年金の受給額は、毎年度、賃金や物価の変動を基に見直されます。2026年度は、国民年金(基礎年金)が前年度比で+1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が+2.0%と、4年連続で増額改定となりました。

2026年度の年金額
・国民年金(老齢基礎年金・満額):月額7万608円(1人分)
・厚生年金(夫婦2人分のモデルケース):月額23万7279円
国民年金の満額は月額約7万円です。仮に受給開始を75歳まで遅らせる「繰下げ受給」を利用しても、月額は約13万円となり、単独で15万円に到達するのは難しいのが現状です。
なお、厚生年金のモデルケースは、夫が平均的な収入で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯を想定したものです。また、昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額)は月額7万408円となります。
【年180万円の壁】厚生年金+基礎年金「ひと月15万円」の水準に届く人は何パーセント?
厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者の平均受給額は、国民年金(老齢基礎年金)部分を含めて月額15万289円です。
ただし、これはあくまで平均値です。受給額ごとの人数分布を詳しく見てみましょう。
厚生年金の受給額別に見る受給権者数の分布

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・1万円未満:4万3399人
・1万円以上~2万円未満:1万4137人
・2万円以上~3万円未満:3万5397人
・3万円以上~4万円未満:6万8210人
・4万円以上~5万円未満:7万6692人
・5万円以上~6万円未満:10万8447人
・6万円以上~7万円未満:31万5106人
・7万円以上~8万円未満:57万8950人
・8万円以上~9万円未満:80万2179人
・9万円以上~10万円未満:101万1457人
・10万円以上~11万円未満:111万2828人
・11万円以上~12万円未満:107万1485人
・12万円以上~13万円未満:97万9155人
・13万円以上~14万円未満:92万3506人
・14万円以上~15万円未満:92万9264人
・15万円以上~16万円未満:96万5035人
・16万円以上~17万円未満:100万1322人
・17万円以上~18万円未満:103万1951人
・18万円以上~19万円未満:102万6888人
・19万円以上~20万円未満:96万2615人
・20万円以上~21万円未満:85万3591人
・21万円以上~22万円未満:70万4633人
・22万円以上~23万円未満:52万3958人
・23万円以上~24万円未満:35万4人
・24万円以上~25万円未満:23万211人
・25万円以上~26万円未満:15万796人
・26万円以上~27万円未満:9万4667人
・27万円以上~28万円未満:5万5083人
・28万円以上~29万円未満:3万289人
・29万円以上~30万円未満:1万5158人
・30万円以上~:1万9283人
データを見ると、厚生年金を月額15万円以上受給している人の割合は49.8%と、全体の約半数にとどまります。厚生年金に加入していなかった人を含めると、この比率はさらに下がると考えられます。
2025年成立の「年金制度改正法」どうなる?「年収106万円の壁」の行方
2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」では、パートタイマーやアルバイトとして働く人々の働き方に影響を与える、いわゆる「年収106万円の壁」の撤廃に向けた改正が盛り込まれました。
パート・アルバイトに関わる「年収106万円の壁」の概要

出所:厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」に関するQ&A(キャリアアップ助成金関係)
「106万円の壁」とは、パートやアルバイトで働く短時間労働者の年収が106万円を超えると、社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養から外れ、自ら保険料を支払う必要が生じる目安のことです。
この制度により、保険料負担による手取り額の減少を避けるため、労働時間を調整する「働き控え」が起こりやすいという課題が指摘されてきました。
社会保険の適用対象となる企業規模は段階的に拡大しており、2024年10月からは従業員数「51人以上」の事業所が対象となっています。
今回の法改正では、このうち「賃金要件」を3年以内に撤廃し、「企業規模要件」を10年かけて段階的に撤廃することが決定しました。
短時間労働者の社会保険加入要件が拡大へ

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
2025年7月時点において、短時間労働者が社会保険に加入するためには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
・週の所定労働時間が20時間以上であること
・2カ月を超える雇用の見込みがあること
・学生ではないこと
・所定内賃金が月額8万8000円以上であること(賃金要件)
・従業員数51人以上の企業で働いていること(企業規模要件)
今回の改正によって、4番目の「賃金要件」と5番目の「企業規模要件」が撤廃されることになります。
いわゆる「106万円の壁」は、全国の最低賃金の動向を考慮しながら3年以内に廃止される見通しです。また、社会保険の適用対象となる企業規模の要件は、10年かけて段階的に拡大されていく予定です。
まとめ:将来の年金を見据えて今からできること
厚生年金は、加入期間が長いほど将来の受給額が増えるため、老後の生活を支える重要な柱となります。「ねんきんネット」などを利用すれば、ご自身の年金見込額をいつでも確認できるので、ライフプランを設計する上で役立つでしょう。
また、年金本体に加えて、所得などの要件に応じて受け取れる「年金生活者支援給付金」といった公的支援制度もあります。
こうした制度を正しく理解し、賢く活用しながら、理想のセカンドライフに向けて今から準備を進めてみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
・厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
・政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。」
・厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」に関するQ&A(キャリアアップ助成金関係)
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