申請しないと0円?【60歳・65歳以上】年金とは別にもらえる公的給付5つ|再就職・収入減を支える制度

加給年金や年金生活者支援給付金、再就職手当などシニア向けの公的支援を整理。雇用保険の給付制度やiDeCo制度改正のポイントもわかりやすく解説

申請しないともらえないお金|シニア向け公的給付は意外と多い, 年金に上乗せされる給付2つ|老齢年金関連の支援制度, その1「加給年金」, その2「老齢年金生活者支援給付金」, 再就職や賃金減を支援|雇用保険から受け取れる給付3つ, その1:65歳未満がもらえる「再就職手当」, その2:60歳以上65歳未満が対象「高年齢雇用継続給付」, その3:65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」, 2025年制度改正のポイント|iDeCo・企業年金の見直し, iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施), 企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施), 企業年金の運用の見える化(5年以内に実施), シニア世代は確認を|申請しないと受け取れない公的給付制度

申請しないと0円?【60歳・65歳以上】年金とは別にもらえる公的給付5つ|再就職・収入減を支える制度

3月は年度末を迎え、退職や再就職、働き方の見直しなどを考える人が増える時期です。60歳や65歳を迎えるシニア世代にとっては、今後の収入や年金の受け取り方を改めて確認するタイミングでもあります。

近年は長寿化が進み、年金だけに頼るのではなく、働きながら年金を受け取るライフスタイルも一般的になってきました。ただし、賃金の減少や離職などによって収入が減る可能性もあり、老後の家計に不安を感じる人も少なくありません。

こうした状況に対応するため、国にはシニア世代を支える公的給付制度が複数用意されています。なかには年金に上乗せされる給付や、再就職時に受け取れる雇用保険の給付などもあります。

ただし、これらの制度の多くは申請を行わなければ受給できないため、制度を知らないままだと受け取れないケースもあります。

本記事では、60歳・65歳以上の人が対象となる主な公的給付制度を5つ整理し、制度の概要や手続きのポイントをわかりやすく解説します。

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申請しないともらえないお金|シニア向け公的給付は意外と多い

公的年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)は、私たちの暮らしを支える大切なセーフティーネットです。

ただし、支給要件を満たしたら自動的に振り込まれるわけはありません。年金を受け取るためには「年金請求書」を提出して請求手続きをおこなう必要があります。

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出所:日本年金機構「初めて老齢年金を請求するとき」年金請求書(国民年金・厚生年金保険 老齢給付)様式第101号

国や自治体による「手当」「給付金」「補助金」などの多くもまた、受け取るためには申請手続きが必要です。

申請期限や添付書類などのルールを守れなかった場合、本来受け取れるはずのお金が減額されたり、受け取れなくなってしまったりする可能性もあります。

公的な支援制度を必要に応じて確実に活用するためには、自分がどのような支援内容の対象となるかを理解し、手続きをしっかりおこなうことが大切です。

年金に上乗せされる給付2つ|老齢年金関連の支援制度

老齢年金を受給中のシニアが一定要件を満たす場合、通常の老齢年金に上乗せして受け取れるお金を「2種類」紹介します。

その1「加給年金」

加給年金は「年金の扶養手当(家族手当)」と例えられることがある制度です。

一定要件を満たした場合、老齢厚生年金を受給中の人が年下の配偶者や子どもを扶養する場合に年金に上乗せして受け取ることができます。

加給年金《支給要件》

厚生年金加入期間が20年(※)以上ある人:65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)

65歳到達後(もしくは定額部分支給開始年齢に到達した後)に被保険者期間が20年(※)以上となった人:在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)

(※)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年

それぞれ、上記で示したタイミングで、「65歳未満の配偶者」または「18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子」がいる場合、年金に上乗せされます。

ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上あるもの)、退職共済年金(組合員期間が20年以上あるもの)を受給する権利がある場合、または障害厚生年金、障害基礎年金、障害共済年金などを受給している場合、配偶者加給年金額は支給停止されます。

加給年金《2025年度の年金額》

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出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

「加給年金」の年金額(2025年度の年額)は以下のとおりです。

・配偶者:23万9300円

・1人目・2人目の子:各23万9300円

・3人目以降の子:各7万9800円

なお、老齢厚生年金を受給中の人の生年月日により、配偶者の加給年金額に3万5400円~17万6600円の特別加算額が支払われます。

振替加算とは

加給年金は対象となる配偶者が65歳になると支給は終わります。ただしその配偶者が老齢基礎年金を受け取る場合、一定の要件を満たせば老齢基礎年金に「振替加算」されます。

その2「老齢年金生活者支援給付金」

年金生活者支援給付金は、基礎年金を受給する人が一定の所得要件を満たす場合に受け取れるお金です。「老齢」「障害」「遺族」それぞれに給付金があり、支給要件が設けられています。

ここでは「老齢年金生活者支援給付金」にフォーカスしていきます。

老齢年金生活者支援給付金の支給要件

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出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

・65歳以上の老齢基礎年金の受給者

・同一世帯の全員が市町村民税非課税

・前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下(※2)である

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない

※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

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老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

2026年度、老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は月額5620円で、前年度より3.2%増額されました。

この基準額をもとにして、保険料納付状況等により給付金額が算出されます(下記①と②の合計額)。

老齢年金生活者支援給付金の給付額の計算式

・①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5620円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月

・②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1551円× 保険料免除期間 / 被保険者月数480月

例)国民年金保険料を全期間(40年間)納付した場合、2026年度は「月額5620円=年額7万7440円」の給付金が支給されます(昭和16年4月1日生まれまでの人は計算が異なります)。

なお、保険料免除期間に乗ずる金額は、毎年度の老齢基礎年金の額の改定に応じて変わります。

再就職や賃金減を支援|雇用保険から受け取れる給付3つ

働き続けるシニアが気になる、就労に関連する給付金や手当についても見ていきます。

シニアの就労を支援する制度は整いつつありますが、一般的には60歳を境に収入が下がる傾向があります(※)。また、就職活動や就労継続が、若い頃のようにスムーズに進む人ばかりではないでしょう。

そこで、シニアが知っておきたい雇用保険に関連する手当や給付金についても「3種類」紹介します。

※国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」による年齢階層別の平均給与:50歳代後半男性735万円、女性356万円、60歳代前半男性604万円・女性294万円、60歳代後半男性472万円・女性240万円

その1:65歳未満がもらえる「再就職手当」

再就職手当は、早期の再就職を促進するための手当で、「失業~再就職」「失業~事業開始」までの期間が短いほど、支給額が多くなります。

再就職手当【支給要件】

・対象者:雇用保険受給資格者で基本手当の受給資格がある人

・支給要件:対象者が雇用保険の被保険者となる、または事業主となって雇用保険の被保険者を雇用する場合で、基本手当の支給残日数(就職日の前日までの失業の認定を受けた後の残りの日数)が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給

再就職手当【給付率】

・手当の額:就職等をする前日までの失業認定を受けた後の基本手当の支給残日数により下記のとおり給付率が異なります。(1円未満の端数は切り捨て)

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再就職手当の額

なお、再就職手当を受け取り再就職先で6カ月以上雇用され、かつ再就職先での6カ月間の賃金が離職前の賃金よりも少ない場合は「就業促進定着手当」の対象となります。

その2:60歳以上65歳未満が対象「高年齢雇用継続給付」

高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満の人が就労を続ける際、賃金が60歳到達時よりも減少した場合に支給される給付金です。

高年齢雇用継続給付【支給要件】

・対象者:雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者

・支給条件:賃金が60歳時到達時の75%未満となった状態で働き続ける場合

高年齢雇用継続給付【支給率】

・支給額:最高で賃金額の10%(※)相当額

※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たす人は15%

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【早見表】高年齢雇用継続給付(2025年4月1日以降)

老齢年金を受給しながら、厚生年金に加入して「高年齢雇用継続給付」を受け取る場合、在職による年金の支給停止に加え、最大で標準報酬月額の4%(※)に相当する金額が支給停止となる点に留意しておく必要があります。

※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たす人は6%

その3:65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」

高年齢求職者給付金は、65歳以上の人が失業した際に支給される給付金です。

高年齢求職者給付金【支給要件】

・対象者:高年齢被保険者(65歳以上の雇用保険加入者)で失業した人

・支給要件:下記の全ての要件を満たした人

高年齢求職者給付金【いくらもらえる?】給付金額

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高年齢求職者給付金の額

・支給額

なお、65歳未満が受け取る「失業手当」は4週間に一度ずつ失業認定を受けてから給付されるのに対し、この高年齢求職者給付金は一括で支給されます。

2025年制度改正のポイント|iDeCo・企業年金の見直し

2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。

今回の改正には、いわゆる「年収106万円の壁」撤廃に向けた社会保険の加入対象の拡大、在職老齢年金の支給停止調整額の引き上げ、遺族年金の見直しなど、公的年金制度の大きな改正内容が盛り込まれています。

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出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

同時に、私的年金である「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」や「企業型DC」に関しても、いくつか改正が加わることになりました。

iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)

働き方に関係なく「70歳未満」に引き上げる

・現在のiDeCo加入条件

・加入可能年齢の引き上げ後

企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)

企業型DCで、加入者本人が掛金を上乗せする「マッチング拠出」の上限額を撤廃。事業主掛金の額を超え、拠出限度額の枠を十分に活用できるようにする。

企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)

企業年金の運営状況の情報を、厚生労働省がとりまとめて開示。他社との比較・分析が可能となる。

シニア世代は確認を|申請しないと受け取れない公的給付制度

60歳や65歳以降のシニア世代には、年金とは別に利用できる公的給付制度がいくつか用意されています。

たとえば、配偶者がいる場合に年金へ上乗せされる「加給年金」や、所得が一定以下の年金受給者を支援する「年金生活者支援給付金」などがあります。

また、再就職した場合に支給される「再就職手当」や、賃金が下がった場合に支給される「高年齢雇用継続給付」、65歳以上の離職者を対象とした「高年齢求職者給付金」など、雇用保険から受け取れる給付もあります。

ただし、これらの制度の多くは申請が必要で、条件を満たしていても手続きを行わなければ受給できません。

さらに、2025年にはiDeCo制度の見直しなど、老後資産形成に関する制度改正も予定されています。

3月は新年度前に制度を確認するよいタイミングです。自分が対象となる制度がないかをチェックし、必要な手続きを早めに確認しておくことが家計を守るポイントといえるでしょう。

参考資料

・日本年金機構「初めて老齢年金を請求するとき」年金請求書(国民年金・厚生年金保険 老齢給付)様式第101号

・日本年金機構「か行 加給年金額」

・日本年金機構「加給年金額と振替加算」

・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

・日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」

・厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」

・厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」

・日本年金機構「年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整」

・厚生労働省「再就職手当のご案内」

・厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」

・国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」

・厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」

・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

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