【申請しないと未支給に】60歳・65歳以上が対象となる「老齢年金とは別に受け取れる」5つ公的給付制度を解説! 支給要件をみる
年金が全額支給される基準「支給停止調整額」の変更点とは?

【申請しないと未支給に】60歳・65歳以上が対象となる「老齢年金とは別に受け取れる」5つ公的給付制度を解説!支給要件をみる
4月は新年度がスタートし、生活環境に変化がある方も多い時期です。
これを機に、家計の状況を見直したり、将来の生活設計を考えたりするのもよいかもしれません。
物価の上昇が続くなか、特にシニア世帯においては「年金収入だけでは将来が心もとない」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、60歳や65歳以上の方を対象とした公的給付制度は、老齢年金以外にも複数存在します。
しかし、これらの多くはご自身で申請手続きをしないと受け取ることができません。
この記事では、シニア世帯や働き続ける高齢者の方が対象となる代表的な公的給付制度を整理し、それぞれのポイントを分かりやすく解説します。
ご自身が対象となる制度がないか、この機会に確認してみましょう。
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【申請必須】シニア世代が対象となる公的給付制度の概要
公的年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)は、私たちの生活を支える重要なセーフティーネットです。
ただし、支給要件を満たせば自動的に支給されるわけではありません。年金を受け取るには「年金請求書」を提出し、請求手続きを行う必要があります。

年金請求書
国や地方自治体が提供する「手当」や「給付金」、「補助金」といった支援制度の多くも、同様に受け取るためには申請手続きが必要です。
申請期限や添付書類などの定められたルールを守らないと、本来受け取れるはずのお金が減額されたり、受給できなくなったりする可能性も考えられます。
公的な支援制度を必要に応じて確実に活用するためには、どのような支援が自身の対象となるかを理解し、手続きをきちんと行うことが大切です。
老齢年金に加えて受給できる可能性がある2つの給付金
老齢年金を受給しているシニア世代の方が、一定の要件を満たすことで、通常の老齢年金に上乗せして受け取れる可能性のある給付金を2種類ご紹介します。
1. 年金の家族手当「加給年金」とは
加給年金は、しばしば「年金の扶養手当(家族手当)」に例えられる制度です。
一定の要件を満たした場合、老齢厚生年金を受給している方が年下の配偶者や子どもを扶養している場合に、年金額に上乗せして支給されます。
加給年金の支給要件
・厚生年金加入期間が20年(※)以上ある人:65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)
・65歳到達後(もしくは定額部分支給開始年齢に到達した後)に被保険者期間が20年(※)以上となった人:在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)
(※)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年
それぞれ上記のタイミングで、「65歳未満の配偶者」または「18歳到達年度の末日までにある子ども、もしくは1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子ども」がいる場合に年金が加算されます。
ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上あるもの)や退職共済年金(組合員期間が20年以上あるもの)を受け取る権利がある場合、または障害年金などを受給している際には、配偶者加給年金額は支給停止となるので注意が必要です。
加給年金の支給額について

加給年金の支給額について
2026年度の「加給年金」の年金額は次のとおりです。
・配偶者:24万3800円
・子ども(1人目・2人目):各24万3800円
・子ども(3人目以降):各8万1300円
老齢厚生年金受給者の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額に3万6000円~17万9900円の特別加算が上乗せされます。
振替加算の仕組み
加給年金は、対象の配偶者が65歳に達すると支給が終了します。
しかし、その配偶者が老齢基礎年金を受け取る場合、一定の要件を満たせば老齢基礎年金に「振替加算」が行われます。
2. 所得が一定基準以下の人が対象「老齢年金生活者支援給付金」
年金生活者支援給付金は、基礎年金を受給している方が一定の所得要件を満たす場合に受け取れる給付金です。
「老齢」「障害」「遺族」のそれぞれに給付金制度があり、個別の支給要件が定められています。
ここでは「老齢年金生活者支援給付金」に焦点を当てて解説します。
老齢年金生活者支援給付金の支給対象となる条件

老齢年金生活者支援給付金の支給対象となる条件
・65歳以上で老齢基礎年金の受給者であること
・同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
・前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以後生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下(※2)であること
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下の方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下の方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
老齢年金生活者支援給付金の基準額について

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額
2026年度における老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は月額5620円となり、前年度から3.2%の増額となっています。
この基準額を基に、保険料の納付状況などに応じて給付金額が計算されます(下記の①と②の合計額)。
老齢年金生活者支援給付金の具体的な計算方法
・①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5620円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
・②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1768円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月
なお、保険料免除期間に乗じる金額は、毎年度の老齢基礎年金額の改定に応じて変動します。
就労する高齢者や再就職を目指す方が活用できる雇用保険の給付制度
働き続けるシニア世代にとって関心の高い、就労に関連する給付金や手当についても確認していきましょう。
高齢者の就労を支援する制度は整備されつつありますが、一般的に60歳を境に収入が減少する傾向が見られます(※)。また、就職活動や就労の継続が、若い頃のように円滑に進むとは限りません。
そこで、シニア世代が知っておきたい雇用保険に関連する手当や給付金を3種類ご紹介します。
※国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」による年齢階層別の平均給与:50歳代後半男性735万円、女性356万円、60歳代前半男性604万円・女性294万円、60歳代後半男性472万円・女性240万円
1. 65歳未満の方向け「再就職手当」
再就職手当は、早期の再就職を後押しするための手当です。「失業から再就職まで」または「失業から事業開始まで」の期間が短いほど、支給される金額が多くなる仕組みです。
再就職手当の支給要件
・対象者:雇用保険受給資格者で、基本手当の受給資格を持つ人
・支給要件:対象者が雇用保険の被保険者となるか、または事業主として雇用保険の被保険者を雇用する場合で、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、かつ一定の要件を満たす場合に支給されます。
再就職手当の給付率
・手当の額:就職などをする前日までの失業認定を受けた後の基本手当の支給残日数によって、給付率が以下のように異なります(1円未満の端数は切り捨て)。

再就職手当の額
なお、再就職手当を受給し、再就職先で6カ月以上雇用され、その6カ月間の賃金が離職前の賃金より低い場合には、「就業促進定着手当」の対象となる可能性があります。
2. 60歳から65歳未満の方が対象「高年齢雇用継続給付」
高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満の方が働き続ける際に、賃金が60歳到達時点よりも低下した場合に支給される給付金です。
高年齢雇用継続給付の支給要件
・対象者:雇用保険の被保険者期間が5年以上ある、60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者
・支給条件:賃金が60歳時点の75%未満になった状態で就労を継続する場合
高年齢雇用継続給付の支給率
・支給額:最高で賃金額の10%(※)相当額
※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たした人は15%

【早見表】高年齢雇用継続給付(2025年4月1日以降)
老齢年金を受給しながら厚生年金に加入し、「高年齢雇用継続給付」を受け取る場合、在職による年金の支給停止に加えて、最大で標準報酬月額の4%(※)に相当する額が支給停止となる点に注意が必要です。
※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たした人は6%
3. 65歳以上の方が対象「高年齢求職者給付金」
高年齢求職者給付金は、65歳以上の方が失業した場合に支給される給付金です。
高年齢求職者給付金の支給要件
・対象者:高年齢被保険者(65歳以上の雇用保険加入者)で失業した人
・支給要件:以下のすべての要件を満たした人
高年齢求職者給付金の給付額はいくら?

高年齢求職者給付金の額
・支給額
なお、65歳未満の方が受け取る「失業手当」は4週間に一度、失業認定を受けてから支給されますが、この高年齢求職者給付金は一括で支給される点が異なります。
2025年の年金制度改正で注目すべきポイント
2025年6月13日に、年金制度改革関連法が国会で成立しました。この改正は、多様化する働き方やライフスタイルに年金制度を適合させることを目的としています。
この改正には、パートなどで働く方の社会保険加入対象の拡大や、遺族年金の見直し(遺族厚生年金の男女差解消、子どもの遺族基礎年金受給要件の緩和)など、注目すべき点がいくつか含まれています。
今回はその中でも、働くシニア世代に大きな影響を与える「在職老齢年金制度の見直し」について見ていきましょう。
在職老齢年金制度の見直しの内容

在職老齢年金制度の見直しの内容
在職老齢年金とは、60歳以降に老齢厚生年金を受給しながら就労している場合、年金額(※)と報酬(給与・賞与)の合計が基準額を超えると、年金の一部または全額が支給停止になる制度です。
(※)老齢基礎年金は対象外で、全額支給されます。
年金が全額支給される基準「支給停止調整額」の変更点
支給停止調整額は、年度ごとに少しずつ見直されてきました。
・2022年度:47万円
・2023年度:48万円
・2024年度:50万円
・2025年度:51万円
・2026年度:62万円
今回の改正により、2026年4月からはこの基準額が、2025年度の51万円から62万円へと大幅に引き上げられることになりました。
厚生労働省の試算によれば、この変更によって新たに約20万人が年金を全額受給できるようになると見込まれています。
この引き上げは、年金の減額を懸念して就労を控えていたシニア世代が、より自由に働き方を選択できるようになる一助となると考えられます。
シニア世帯の家計を助ける「申請が必要な給付金」
老齢年金以外にも、シニア世帯の生活を支えるための公的給付制度は複数存在します。
加給年金や年金生活者支援給付金、雇用保険の各種給付は、条件を満たしていても申請しなければ受け取れない場合があるため、注意が必要です。
年度末を前にしたこの時期は、働き方や収入を見直す良い機会であり、関連する制度を確認するのに適したタイミングといえるでしょう。
年齢や働き方、世帯の状況によって対象となる制度は異なります。
ご自身やご家族が該当する可能性がないか一度確認し、もし案内が届いた場合は、早めに手続きを進めることが重要です。
公的制度を上手に活用し、老後の家計の安定につなげていきましょう。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
・日本年金機構「初めて老齢年金を請求するとき」年金請求書(国民年金・厚生年金保険 老齢給付)様式第101号
・日本年金機構「か行 加給年金額」
・日本年金機構「加給年金額と振替加算」
・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
・日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」
・厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」
・日本年金機構「年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整」
・厚生労働省「再就職手当のご案内」
・厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
・国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
・厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
・日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
・LIMO
関連記事
【60歳代・70歳代の貯蓄】「平均と中央値」はいくら?二人以上世帯・単身世帯《生活費のリアルな実態》をデータで解説
【2026年度版】「年金生活者支援給付金」前年度から+3.2%の増額改定。給付基準額と対象条件、申請手続きを詳しく解説!
赤字・債務超過のJDI株はなぜ乱高下する?プロが読み解く低位株の光と決算の闇