厚生年金+基礎年金「ひと月15万円(年額180万円)」の平均ラインに届く人は何パーセント?

2026年度の年金額改定:国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%の増額へ

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厚生年金+基礎年金「ひと月15万円(年額180万円)」の平均ラインに届く人は何パーセント?

日本の公的年金は、すべての人が加入する「国民年金」と、会社員などが上乗せで加入する「厚生年金」の2階建て構造です。

この厚生年金の金額は、老後の暮らし向きに大きく影響します。2026年度の年金額は、物価や賃金の変動を反映して4年続けて増額されることが決まりました。

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出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとにLIMO編集部作成

しかし、年金が増えても老後の生活への心配が消えるわけではありません。

J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、「年金だけではゆとりがない」と考える世帯の過半数が「物価上昇による支出増」を心配しています。加えて、医療費の増加や将来の年金カットに対する不安も依然として大きいのが現状です。

このような物価高や将来への不安に対応する生活費の一つの目安として「月額15万円」という金額がしばしば話題にのぼりますが、実際にこの額以上の厚生年金を受け取っている人は、全体のどのくらいの割合なのでしょうか。

さらに、将来への備えとして知っておきたいのが、2025年に成立した改正年金法です。遺族年金の男女差是正や在職老齢年金制度の見直しなど、私たちのライフプランに直結する重要な変更が含まれています。

この記事では、2026年度の最新の年金額の例を交えながら、厚生年金の受給額分布や制度改正の概要を詳しく解説します。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

【年金の基本】国民年金と厚生年金からなる「2階建て構造」とは

日本の公的年金制度は、基礎となる「国民年金(基礎年金)」とその上に乗る「厚生年金」で構成されており、その仕組みから「2階建て構造」といわれています。

それぞれの年金制度の基本的な特徴を確認しておきましょう。

公的年金の2階建て構造について

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1階部分:国民年金(基礎年金)の概要

・加入対象:原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人

・保険料:加入者全員が定額。ただし、毎年度見直しが行われる(※1)

・受給額:保険料を全期間(480カ月)納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金(※2)が受け取れる。未納期間がある場合は、その期間に応じて満額から減額される

※1 国民年金保険料:2026年度の月額は1万7920円です。

※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2026年度の月額は7万608円です。

2階部分:厚生年金の概要

・加入対象:会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所(※3)に勤務し、一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せして加入

・保険料:収入(上限あり)に応じて決まる(※4)

・受給額:加入していた期間や納めた保険料によって個人差が生じる

2階部分にあたる厚生年金は、会社員や公務員などが国民年金に加えて加入する制度です。国民年金と厚生年金とでは、加入対象者、保険料の算出方法、受給額の計算式などが異なります。

このため、老後に受け取る年金の額は、個人の加入状況や現役時代の収入によって変わってきます。

また、公的年金の受給額は、物価や現役世代の賃金の変動に合わせて毎年改定されるという点も理解しておくべき重要なポイントです。

※3 特定事業所:1年のうち6カ月以上、適用事業所における厚生年金保険の被保険者(短時間労働者や共済組合員は除く)の総数が51人以上になると見込まれる企業などを指します。

※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を乗じて計算されます。

2026年度の年金額改定:国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%の増額へ

公的年金の支給額は、毎年の賃金や物価の動きを考慮して改定されます。

2026年度分については、前年度と比較して国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の増額となり、4年連続でのプラス改定が決定しました。

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2026年度の年金額

・国民年金(老齢基礎年金(満額)):7万608円(1人分 ※1)

・厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※2)

※1 昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(対前年度比+1300円)となります。

※2 これは、平均的な収入(賞与を含む月額換算で45万5000円)の男性が40年間勤務した場合に受け取り始める年金額(老齢厚生年金と夫婦2人分の老齢基礎年金(満額))のモデルケースです。

国民年金のみの加入だった場合、満額(※3)でも月々の受給額は約7万円です。仮に繰下げ受給(※4)の上限である75歳まで受給開始を遅らせたとしても、月額は13万円に届きません。

※3 国民年金(老齢基礎年金)の満額:国民年金保険料を480カ月納付した場合に、65歳から受給できる年金額を指します。

※4 繰下げ受給:老齢年金の受給開始時期を66歳から75歳までの間で遅らせる制度です。「繰下げ月数×0.7%」の率で年金額が増額され、75歳で受給を開始すると増額率は最大84%になります。

厚生年金+基礎年金「ひと月15万円(年額180万円)」の平均ラインに届く人は何パーセント?

厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金受給者の平均月額は男女合計で「15万289円」となっています。

なお、この金額には、1階部分である国民年金(老齢基礎年金)も含まれている点に注意が必要です。受給額別の人数分布は、以下のグラフとリストの通りです。

厚生年金の受給額別・受給権者数の分布

【年金の基本】国民年金と厚生年金からなる「2階建て構造」とは, 公的年金の2階建て構造について, 2026年度の年金額改定:国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%の増額へ, 厚生年金+基礎年金「ひと月15万円(年額180万円)」の平均ラインに届く人は何パーセント?, 厚生年金の受給額別・受給権者数の分布, 2025年に成立した「年金制度改正法」の重要ポイント, 年金制度改正法の主な内容, まとめ:自身の年金額を把握し、将来に備えよう

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

・1万円未満:4万3399人

・1万円以上~2万円未満:1万4137人

・2万円以上~3万円未満:3万5397人

・3万円以上~4万円未満:6万8210人

・4万円以上~5万円未満:7万6692人

・5万円以上~6万円未満:10万8447人

・6万円以上~7万円未満:31万5106人

・7万円以上~8万円未満:57万8950人

・8万円以上~9万円未満:80万2179人

・9万円以上~10万円未満:101万1457人

・10万円以上~11万円未満:111万2828人

・11万円以上~12万円未満:107万1485人

・12万円以上~13万円未満:97万9155人

・13万円以上~14万円未満:92万3506人

・14万円以上~15万円未満:92万9264人

・15万円以上~16万円未満:96万5035人

・16万円以上~17万円未満:100万1322人

・17万円以上~18万円未満:103万1951人

・18万円以上~19万円未満:102万6888人

・19万円以上~20万円未満:96万2615人

・20万円以上~21万円未満:85万3591人

・21万円以上~22万円未満:70万4633人

・22万円以上~23万円未満:52万3958人

・23万円以上~24万円未満:35万4人

・24万円以上~25万円未満:23万211人

・25万円以上~26万円未満:15万796人

・26万円以上~27万円未満:9万4667人

・27万円以上~28万円未満:5万5083人

・28万円以上~29万円未満:3万289人

・29万円以上~30万円未満:1万5158人

・30万円以上~:1万9283人

データを見ると、厚生年金を月に15万円以上受け取っている人は全体の49.8%と、半数をわずかに下回る結果でした。厚生年金の受給資格がない人も含めると、この比率はさらに下がると考えられます。

2025年に成立した「年金制度改正法」の重要ポイント

2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決、成立しました。

この法改正は、働き方や家族の形、ライフスタイルの多様化に対応した年金制度を構築することを目的としています。また、私的年金制度の充実や所得再分配機能の強化を通じて、高齢期の生活の安定化を図ることも重要な狙いです。

今回の改正の全体像を確認してみましょう。

年金制度改正法の主な内容

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出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

社会保険の加入対象の拡大

・中小企業で働く短時間労働者などが厚生年金や健康保険に加入しやすくなり、将来の年金増額といった恩恵を受けられるようにする

在職老齢年金の見直し

・年金を受給しながら働く高齢者が、年金を減額されにくくすることで、就労意欲を高める

遺族年金の見直し

・遺族厚生年金の受給における男女差をなくす。また、子どもが遺族基礎年金を受け取りやすくする

保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

・高所得者がその収入に見合った年金保険料を負担し、現役時代の賃金水準に応じた年金を受け取れるようにする

その他の見直し

・子どもの加算や脱退一時金制度の見直し

・私的年金制度の見直し:iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢の上限引き上げなど

これらの改正内容から、公的年金が単に「老後の受給額」の問題だけでなく、現役世代の働き方やキャリアプラン、ひいては人生設計そのものと密接に関わっていることがわかります。

まとめ:自身の年金額を把握し、将来に備えよう

今回は、2026年度の年金額改定の内容、厚生年金で「月額15万円以上」を受給する人の割合、そして2025年の制度改正の概要について解説しました。

年金額が4年連続でプラス改定されたとはいえ、物価高や医療費負担増への懸念を完全に払拭するには至りません。実際の受給額分布を見ても、公的年金だけで「ゆとりのある老後」を送ることの難しさがうかがえます。

一方で、遺族年金の男女差解消や在職老齢年金の見直しなど、国の制度も社会やライフスタイルの変化に対応して進化を続けています。

老後の経済的な不安を少しでも軽くするためには、まず「自分が将来いくら年金をもらえるのか」を正確に把握することが不可欠です。

その上で、新しい年金制度のルールを正しく理解し、長く働き続けることや、NISA・iDeCoなどを活用した資産形成といった選択肢の中から、ご自身に合った老後への備えを計画的に進めていくことが大切です。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」

・厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」

・厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」

・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

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