【インド】医療用ベッドのシェア3割へ[医薬] パラマウント、27年に商品開発も

パラマウントベッドインディアの北部ハリヤナ州バワル工場の外観=6日(NNA撮影)

医療・介護用ベッドメーカーのパラマウントベッド(東京都江東区)は、インド事業の拡大に注力している。2024年10月の北部ハリヤナ州バワルでの新工場稼働を契機に、民間・政府系病院向けの医療用ベッドの出荷を拡大している。同国では人口あたりの病床数は日本よりも大幅に低く、医療用ベッドは成長市場だ。パラマウントは27年をめどに現地で商品開発にも乗り出し、ニーズに応じた現地生産品のラインアップを拡充し、拡販を進める。現在は10%程度の市場シェアを30年までに3割に伸ばす方針だ。

インド人従業員たちの手によって、空中につり下げられたハンガーに金属製の部品がかけられた。従業員の手から離れた部品は空中をゆっくりと動き、2段階の塗装を経て戻ってきたときには病院に似つかわしい白色に変わっている——。北部ハリヤナ州バワルにあるパラマウントベッドの工場では、2段階の塗装を取り入れることにより、耐久性のあるベッドの量産を可能にしている。インド法人パラマウントベッドインディアの田毛正紀社長は、「病院ではベッドのさびなどの発生に敏感だ。自社での徹底した品質管理を通じて法定耐用年数の8年間は壊れづらくさびが出づらい製品を供給している」と力を込める。

■設立以来13期連続で増収

パラマウントベッドは、インドの経済成長の発展などに伴う病床数の拡大を見込み、13年1月に販売会社を設立することで現地市場に本格参入した。インドネシア、中国とともにインドをアジア注力エリアに位置付け、これまでに営業・アフターサービス拠点の拡充や製造体制を構築。主に病院向けに医療用の電動ベッドやその他医療機器を拡販してきた。

田毛氏は、「販売会社の設立当時、われわれにとってインドは輸出も行っておらず未進出の市場だった。すでに外資系メーカーが台頭する中、差別化を図るため現地に人を置いて事業を進める必要があると判断し販売会社を設立した」と振り返る。

NNAの取材に応じたパラマウントベッドインディアの田毛正紀社長=6日、北部ハリヤナ州(NNA撮影)

現在は、バワルにある年産能力2万台の工場に加え、サービス拠点と倉庫を展開。全国での販売に対応するほか、周辺国などへも輸出している。国内では直販に加え、30社以上に上る代理店を経由して主に病院に製品を販売しており、8割程度は新築病院向けだという。2~3年前からは政府系病院にも供給先を拡大し、現在は民間向けが8割、政府系向けが2割程度となる。

パラマウントベッドインディアの業績は堅調に推移しており、25/26年度(25年4月~26年3月)までの売上高は設立以来13期連続で増収。25/26年度のバワル工場の生産台数は約1万台に達した。

■開発製造販売の一貫体制を構築

パラマウントベッドが販売する医療用ベッドの特徴は耐久性の高さにある。塗料を入れたタンクの中に部品を浸す「電着塗装」と、粉末塗料を付着・焼き付けを行うことで塗膜を形成する「粉体塗装」の2段階の塗装技術を導入。耐食性や耐久性の高い製品の供給を可能にしている。インドでは17年12月に設立したハリヤナ州マネサールの組立工場で製品を生産していたが、24年10月に稼働したバワル工場に生産体制を移管し、塗装設備も導入した。

田毛氏によれば、医療用ベッドの法定耐用年数は8年間だが、実際はそれ以上使用されることも多いという。また国際規格を取得した製品である点や、ベッド以外のストレッチャーやマットといった備品とのパッケージとして販売できる体制も競合他社との差別化ポイントだとした。

こうした強みを武器に、パラマウントベッドは今後、現地生産する製品ラインアップを拡充することで拡販を進める戦略だ。27年をめどにインドで商品開発も開始し、現在は輸入で販売している製品も現地ニーズに沿うように最適化。開発スピードを上げつつ、価格競争力のある製品ラインアップを増やす。政府系病院向けや民間グループ企業の病院向けの供給も増やしていきたい考えだ。

またバワル工場では太陽光パネルの導入によるエネルギー効率化や水資源の有効活用などを推進。26年3月にインドグリーンビルディング協議会(IGBC)が実施するグリーンビルディング認証制度で上から2番目となる「ゴールド」認証を取得した。環境負荷の低さを付加価値とした製品として顧客にアピールできるようにしている。

バワル工場で生産している医療用電動ベッド(手前)=6日、北部ハリヤナ州(NNA撮影)

■29/30年度までにトップメーカーへ

日本の経済産業省によると、19年のインドの1,000人あたりの病床数は0.9床にとどまる。日本の12.5床(23年)を大幅に下回り、医療用ベッド市場の成長余地は大きく残っている。

パラマウントベッドによれば、インドの医療用ベッド市場は地場の競合他社がひしめくレッドオーシャン(競争の激しい市場)だ。市場規模は100億円程度で、パラマウントのシェアはうち約10%を占め第2位に位置。29/30年度までにはこの販売シェアを30%にまで高めることで、首位の座の獲得を見据えている。田毛氏は、「インド市場は大小多くの地場メーカーが参入していることからも価格勝負に陥りがちになる。一方、われわれはグローバルメーカーとしての意識を持ちながら付加価値の高い製品を販売していく」と意気込んだ。