大型冷蔵庫が不要になるインド「10分配送」の正体。アジアの物流戦略が日本に与えるヒント

「TechGALA 2026」のセッション「ラストワンマイルのその先へ」。

インドでは今、冷蔵庫の小型化が進んでいる。卵や牛乳などが10分以内に届くサービスが浸透し、買いだめの必要がなくなったことがその一因だ。

中国では配送ロボットがエレベーターに乗り、オフィスのデスクまで商品を届ける光景が日常になっているようだ。

こうした海外の変化を横目に、日本は物流の「2024年問題」による配送制限などの深刻な課題に直面している。では、どこから学び、何を変えるべきか。

1月27日に名古屋で開催された「TechGALA 2026」のセッション「ラストワンマイルのその先へ」では、Tech Japan代表取締役の西山直隆氏、匠新(ジャンシン)創業者兼CEOの田中年一氏、UC Berkeley Executive Education日本代表の西口尚宏氏が登壇。

進化を続けるインドや中国の物流現場から、日本が学ぶべき部分について議論を交わした。

アジアでも活発な「ラストワンマイル・スタートアップ」

Tech Japan代表取締役の西山直隆氏。

西山氏は冒頭、ブラックフライデーなどの商戦期で日本の配送業者に負担がかかり、小売業者側の販売制限などの事態を引き起こしていることに言及した。

「商品が売れても、運べないので販売を制限せざるを得ません。つまり、もはや物流は単なるバックヤード機能ではなく、企業の売上を決めるような経営課題になっています」(西山氏)

これに対し、西口氏はスタートアップ情報プラットフォーム「Crunchbase」をもとに世界のデータを提示。

西口氏が示したデータによれば、世界にはラストワンマイル(最後の配送区間)に関連するスタートアップ企業が約670社存在し、約400社が直近10年(2015年以降)に設立されているという。

西口氏が示したデータ。

企業の地域分布としては、アメリカ(約32%)に次いで多いのが、アジア・オセアニア地域(約31%)。

また、アジア・オセアニア地域のなかでは、インドを含む南アジアや中東地域で企業活動が活発化しているようだ。

スタートアップが増えている地域の共通項として、西口氏は「新しいものを生み出したいと思う人」がいるかどうかに尽きる、と語る。

「政府がどんなに準備しても、どんなイベントがあっても、新しいものを生み出したいという人がいない限り、スタートアップのエコシステムは発展しません」(西口氏)

インドのクイックコマースを支える「個人商店」

インドで普及するクイックコマース。

インドにも拠点を持つTech Japanの西山氏が紹介したのは、現地で普及する「クイックコマース(高速配送)」の実態だ。