「報復人事だ」社民党“大椿外し”に本人が激白 「SNS発信は情報公開、新しいドブ板だ」

 社民党党首選で43%の支持を得た大椿裕子氏が、党大会後の新体制で常任幹事から外れた。「報復人事だ」と語る大椿氏に、党内対立やSNS発信、社民党再建への思いを聞いた。

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――大椿さんは、社民党の副党首として党の意思決定機関である常任幹事会の一員でしたが、今年2月末に辞任しました。その後、4月29日に都内で開かれた社民党大会の新役員人事では、常任幹事に選任されませんでした。

 執行部は大会後の記者会見で「門戸は開かれていたのに大椿が立候補しなかっただけ」と説明したようですが、率直に言って、「報復人事」だと受け止めています。

 私は党首選で43%の支持を受けており、何らかの役職につけるのが通常でしょうが、大会前にラサールさん(ラサール石井幹事長)から「常任幹事会には入れない」と直接告げられました。代わりに「非正規・ロスジェネ問題対策局の局長を務めてくれないか」という提案がありましたが、常任幹事会の権限とは到底比較にならないものです。

 しかし、基本的に常任幹事会の人事は党首になった方が判断するものだと思うので、この結果は受け入れています。

――選任されなかった理由は何だったと思われますか?

 最も大きな理由は、これまで私が沖縄2区の問題をきちんと検証すべきだと訴え続け、党公認候補の決定過程に問題があったことを指摘してきた点ではないでしょうか。

 執行部にとって、私は「何を言い出すか分からない」「運営がやりづらい」存在だと受け止めているのでしょう。徹底した議論が必要な問題を一部の常任幹事だけで進めていることを、私が指摘することが目障りだったのだと思います。

――「沖縄2区問題」とは、2月の衆院選のことですね。社民党が沖縄県連常任幹事会の大多数の反対を押し切る形で瑞慶覧長敏(ずけらん・ちょうびん)氏を擁立した結果、オール沖縄勢力が分裂し、自民党候補が当選しました。

 沖縄2区問題は、今や社民党にとって触れてほしくないセンシティブな問題になっています。しかし、社民党沖縄県連合の中で方針が一本化出来ず、むしろ擁立反対の声の方が圧倒的に多かったにもかかわらず、党全国連合が擁立を決め公認を出したことは、「ボトムアップ」を掲げながら、それとは真逆のことをしたのではないでしょうか。その事を看過できませんでした。

 一部の人たちで議論し、異論を唱える声は封じるこの執行部の体質が、今回の人事にも表れているのではないでしょうか。

――党大会後の記者会見でラサール石井議員は、大椿さんが常任幹事会に選任されなかったとの指摘に「排除はない」と強調しましたが、大椿さんがSNSで積極的に発信している点を問題視し、「内輪のことを全部外に発信される」など、否定的な考えを示しました。

 「排除ではない」とおっしゃいますが、結局のところ私のSNSでの発信を理由にしているわけですよね。私から言わせれば、発信は国民に対する「情報公開」です。党が隠そうとしている、あるいはオープンな議論を経ずに乱暴に決定されている部分を、私は指摘しているに過ぎません。

――SNSでの発信について、どのようにお考えですか?

 SNSは、現代の政治家にとって自分の考えを伝える手段であり、新しい「ドブ板」だと思っています。議論をする上で重要な論点にもかかわらず、隠していたことを私が発信したことが気に入らないのでしょう。内輪で十分な議論が尽くされないまま、一部の人たちで重要なことが勝手に決められていく。その不透明さを変えたいという思いがあるから、あえて外へ向かって声を上げました。

 SNSだけに頼っている訳ではありません。会議で発言し、党首や幹事長にメールや電話で「大局に立った判断をしてほしい」と伝えてきました。それを「目障りだ」「やりづらい」などと感じ、結果的に「排除」と受け止められるような人事を進める執行部の感覚は、時代に取り残されるのではないでしょうか。

――4月6日に開票された社民党党首選の結果発表会見では、福島瑞穂党首に敗れた大椿さんの発言を認めない「発言封じ」もありました。

 あの時は、党首選を振り返って、反省点や課題を話そうと思っていました。また、私に投票してくれた43%の党員の民意をすくい上げてほしいこと、沖縄2区の問題には真摯に向き合ってほしいこと、党首選で討論会が行われなかったことへの率直な意見を伝えたかった。そして最後は、福島さんに「党首として頑張ってください」と締めくくるつもりでした。

 社会人として当然の対応をしようと思っていましたが、途中で席を立った事で「大人げない」とのご批判も受けています。しかし、無視され、雑に扱われることに、ただただ黙っていれば良いのでしょうか。私はそうは思いません。

――社民党は、国会では福島氏とラサール氏が参議院に2議席を保有するのみで、まさに“崖っぷち”にあります。今の社民党をどう見ていますか。

 率直に言って、現状維持に汲々としていて、新しいことにチャレンジしない非常に保守的な党になってしまったと感じています。

 2020年に立憲民主党への合流を希望する党員の離党を容認し事実上分裂して以降、とにかく「党の存続」に必死で、結果として波風を立てないことが一番という空気になっているように思うんです。これでは新しい支持など広がるはずがありません。

――そうした現状の背景には、どのような要因があるのでしょう。

 1950年代から80年代にかけ、労働組合の「総評」が社民党の前身の日本社会党の大きな支持母体だったころの運動スタイルから抜け出せていません。何十年も経つのに、新しい運動スタイルを見出せず、時代の変化についていけず迷走が続いています。

 党首が女性だから女性が活躍していると思われがちですが、中身はかつての労働運動の名残を引きずった部分があり、かなり硬直した「男社会」のままです。意思決定や発言の場で男性的な権威性が温存されています。組織を守ることに忙しく、本当に救わなければならない人たちの悲痛な声を十分に受け止めきれていません。それは自分自身の反省点でもあります。このまま危機感を持たず、変わることを恐れていれば、ジリ貧になっていくだけです。

――社民党が「変わった」と国民に感じてもらうために、新執行部に求めることは?

 厳しい状況の中で、任務を引き受けた新執行部の皆さんの活躍に期待しています。そのためにも、まずは党運営を安定させることが最優先でしょうが、そのためにも今の社民党が世間とどれだけ乖離しているか、その現実を冷静に見つめ直すことが必要です。

 福島さんは党大会で「社民党を壊そうとするあらゆる勢力と戦う」と強調していましたが、その「勢力」とは何でしょうか。陰謀論と受け止められるような姿勢ではなく、客観的な視点で自分たちを厳しく評価することがスタートラインだと思います。

――具体的には、どのような政策や課題に優先的に取り組むべきだと。

 何より「現実感覚」を取り戻すことです。社民党は、理想論だけを語る政党になっているという指摘を受ける事があります。「戦争反対」も「スパイ防止法法制反対」も重要です。それと同じくらい、いま取り組まなければいけないのは、日々の暮らしに窮している人たちへの具体的な政策です。

 特に、私がずっと訴えてきた雇用問題です。非正規で働き、「アンダークラス」と呼ばれ、先が見えない不安の中で生きている人たちの声を拾い上げ、政治の力でその仕組みを変えていくことです。ここを真っ先に、他党との差別化を図れるくらい本気で取り組んでほしい。「雇用を守れ、賃金を守れ」の声を、国民的な運動に昇華できるのは社民党しかありません。

 理想論だけでなく、日々の暮らしに困っている人たちの傍らに共に立ち、泥臭く運動をする政党に立ち返れるかどうか。そこが、社民党の再建の分かれ道だと、私は思います。

(聞き手/AERA編集部・野村昌二)

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