愛子さまの笑顔のために85歳で7時間待機 それでも撮り続けたい“皇室追っかけ”が見つめるこれから

 安定的な皇位継承をめぐり、皇室典範改正に向けた議論が加速している。女性皇族の結婚後の身分や役割をどう位置づけるのかも、大きな焦点だ。制度の行方が注目されるなか、皇族方を沿道から長年見つめ、撮影してきた「皇室追っかけ」たちは、近年の変化をどう受け止めているのか。追っかけ歴33年の白滝富美子さん(85)と、追っかけ歴20年の30代会社員の男性に、レンズ越しに見た皇后雅子さま、両陛下の長女・愛子さま、秋篠宮家の次女・佳子さまの表情や素顔のエピソードを聞いた。

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■車窓越しに追うご一家の一瞬

 皇族方の訪問先を把握し、沿道からそのお姿をカメラに収める「皇室追っかけ」。1993年1月、現在の天皇皇后両陛下(当時の皇太子ご夫妻)の婚約発表を機に、白滝富美子さん(85)は雅子さまを追い始めたという。最近は、天皇ご一家を中心に追っているが、ワゴン車型の車両で移動される場面もあり、撮影が難しくなっているという。

「後部座席に乗っていらっしゃって、窓が下まで全部開かない。だから、雅子さまや愛子さまのあごから上のお顔しか写らないこともある。陛下はさらに後ろの席なので、ご家族3人を同時に収めるのはなかなか難しいんですよ」

 天皇ご一家と秋篠宮ご一家の双方を追っている30代の会社員の男性は、思わぬシャッターチャンスが、ふいに訪れることもあると話す。

「都内で信号待ちをしていた時、近くを偶然通りかかったんです。気づいた人たちにも、窓を開けてお手振りなさっていました。周囲への目配り、気配りを欠かされないんです」

 一方の白滝さんは近年、愛子さまの装いの変化が気になっていると話す。

「今年の春、長い髪をバッサリと切られましたよね。短くなっても、笑顔は素敵なままですね」

■仲間も減った追っかけの今

 2025年9月23日、東京・世田谷のJRA馬事公苑で行われた「第50回愛馬の日」のイベントに出席された愛子さまを、白滝さんは長時間待ち続けた。

「現場から動かず、7時間待ちました。おにぎりを持って行ったんですけど、結局、仲間と話したりしていてお昼に食べる暇もなく、ずっと小さな折りたたみ椅子に座っていました。足は翌週まで痛かったです。愛子さまの“出入り”は押さえられたんですけど、私がいた場所からは遠くて。大きな望遠カメラで撮影した人から、後で写真をもらいました」

 カメラを向けたいという情熱は、85歳になっても衰えないというが……。

「海外に出かけられている間は、追っかけに気を張らなくてもいいから、ちょっとホッとします」

 天皇皇后両陛下は6月13日から26日までの日程で、オランダとベルギーを公式訪問される予定だ。

 一方で、白滝さんは近ごろ、足腰の衰えも感じているという。

「年の初めの一般参賀は毎年行っていたんですが、今は足が遠のきました。皇居の荷物検査をするところから二重橋(正門)までの砂利道が歩けないんです」

 昔から共に活動していた仲間も、高齢化や病気で来られなくなった人が多い。陛下と雅子さまが結婚された頃には、子連れで沿道に立つ主婦たちもいて、“追っかけ主婦”という言葉が生まれたこともあった。

「当時の追っかけ主婦たちも、もう60歳前後ですよ。連絡も取れなくて、今どうしているのかわからない人たちもいます」

 白滝さんには3人の子どもと5人の孫がいる。それでも今も撮影を続ける背景には、愛子さまの将来をめぐる胸中もある。

 現在、国会では、21年の政府の有識者会議が示した「女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する案」や、旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える案などを軸に、皇族数の確保策をめぐる議論が進んでいる。女性皇族のあり方が焦点となっている。

■追い続ける先に見えるもの

「愛子さまが皇室におられて、あの笑顔を見られる限りは頑張りたいけど、もう歳なので、あと2~3年くらいしか追っかけができないかもしれない」

 前出の30代男性は、小学生のころから皇室を追ってきた。佳子さまにもカメラを向けており、今年4月、佳子さまが秋篠宮妃紀子さまとともに池袋の東京芸術劇場で開催されたチャリティーコンサートを鑑賞された際、感動したという。

「通常、皇族方が車から降りられると、お迎えの関係者に軽く会釈をして、そのままスッと建物の中へ入られるのですが、佳子さまは立ち止まってこちらの方を向き、にこやかに手を振ってくれたんです。歩いている最中も常に周囲を見渡して、遠くにいるファンに気づくと、わざわざ足を止めて応えてくださった。そんな佳子さまの自由な雰囲気に感動しました」

 男性は最近の女性皇族をめぐる議論に複雑な胸の内を明かす。

「佳子さまはダンスがお好きで、自己表現を愛するお人柄のようにお見受けします。一人の女性としての幸せを願う気持ちも、私の中にはあります」

 一方、秋篠宮家の長男・悠仁さまにも変化が表れ始めているという。悠仁さまは2025年9月6日に成年式を終え、2026年2月には大学の春休みを利用して京都を私的に訪問。明治天皇陵などを参拝し、成年式を終えたことを報告された。

「私も京都まで追っかけました。悠仁さまは、私たちを見つけると、とても柔らかい笑顔を見せてくれました。京都駅などの人混みでも、自ら進んで手を振っておられました。言われた通りに動くのではなく、自分なりに国民への接し方を考え、行動されているのだと強く感じた瞬間でした」

 訪問先でも悠仁さまは探究心旺盛で、熱心に質問をされ、予定時間が押してしまうこともしばしばだという。

 その一方で、男性は秋篠宮家の公務負担の大きさも感じている。

「秋篠宮家だけでも、ご家族4人がそれぞれ別々の公務で地方に向かわれる日がよくある。私も月のうち半分以上、シャッターチャンスがある日程が入ることもありますよ。これだけの公務をこなし、国民との接点を維持していくには、現行のままでは厳しいんじゃないでしょうか」

 制度の行方を見つめる“追っかけ”たちの心もまた、揺れている。

(AERA編集部・上田耕司)

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